積分シリーズ(3)置換積分のやり方

<この記事の内容>「積分法(数学Ⅲ)の基本公式と基礎」、「部分積分法の手順と公式・コツ」に引き続き、数学3の積分法で必須となる「置換積分法とその応用」について解説していきます。

置換積分法のやり方と注意

これまで基本的な積分公式としていくつか挙げてきたものだけでは、一見計算できないようなパターンは実はいくつもあります。

そのような場合、「置換積分」という方法を使ってあげる事で、最終的にうまく計算出来る様になる事があり、大学受験では必須の計算方法です。

置換積分の手順

置換積分の手順は以下の様になります。また、関係する公式も挙げます。

置換積分は実例(やり方)を見るのが一番理解しやすいので、f(x)=(xー2) ^ー2の定積分(積分区間は3から5)を以下で解いていきます。

$$例題:f(x) =\frac {1}{(x-2) ^{2}}のとき、\int ^{5}_{3}f(x) dxを求めよ(※)$$

この例題を置換積分法を使って計算します。

$$まず、ここで t=(x-2) ⇔x=t+2とおき\frac {dx}{dt}を求める$$

(これは、xの式をtで微分するという意味です)

$$\frac {dx}{dt}=\frac {(t+2)}{dt}=1⇔ \frac {dx}{dt}=1$$よってdt=dxとすることができます。

【積分区間の変更】

さらに、積分区間について考えます:定積分の場合は積分区間を変更します

これは、もとの積分の形では「xに対応する区間」でしたが、文字をtに置換したことで「tに対応する区間」に変化させる必要があるからです。

たとえば、積分区間が0→1までで、xについて積分するとき、x=sin tと置いた(置換した)とします。

このとき、tは0→1ではなく、0からπ/2まで動くと言えます。

従って、0≦t<2πとすれば積分区間は”0からπ/2”となります。

では例題の(※)に戻ります。

$$積分区間を変更すると:\begin{aligned}x:3→ 5\\
t:1→ 3\end{aligned}$$

小まとめ

これまでの操作をまとめると、
$$(※)は\int ^{3}_{1}\frac {1}{t^{2}}dt と置換でき、$$
$$これを計算すると、\begin{aligned}\int ^{3}_{1}\frac {1}{t^{2}}dt=\int ^{3}_{1}t^{-2}dt\\
=[-t^{-1}] ^{3}_{1}\end{aligned}$$
$$=[-\frac {1}{t}] ^{3}_{1}=-\frac {1}{3}-( -\frac {1}{1}) =\frac {2}{3}$$

<定積分の復習>途中で出てきた[F(t)]の意味

$$[F(x)] ^{α}_{β}=F(α) -F(β) $$
要するに、[]中の積分後の関数に(右上の数字を入れたもの)ー(右下の数字を入れたもの)という意味です

置換積分の主な公式と必須知識(実践編)

置換積分の有名な公式は以下のものです(追加中)。次に、三角関数の公式を使って積分を行う知識を紹介します。

$$\int \frac{f’(x)}{f(x)} dx=log|f(x)|+C$$

$$\int (f(x))^{a}f’(x)=\frac{(f(x))^{a+1}}{a+1}+C$$

公式の解説

1つ目の公式:分母にf(x)、分子にその微分した関数f'(x)があれば、”log|f(x)|+C”となります。

(実際に微分すると、絶対値の中の関数が分母、その微分形が分子に来ます。これは、「合成関数の微分の要領」です。)

2つ目の公式:f(x)のa乗と、f(x)の微分形が掛け算の形になっているタイプです。

逆からたどると、f(x)のa+1乗を微分した際にa+1が前に出るので、調整するために分母にa+1を置いています。

これらの公式は一見するとそうと分かりづらい場合もあるので、類題を多く解いてすぐに公式を思い浮かべられるようにしっかりとマスターしておきたい公式です。

三角関数の応用的な積分

三角関数の不定積分は積分の公式だけでなく、三角関数の公式そのものを用いて解決できることが非常に多いです。

問題とhints(三角関数の公式の重要性)

以下に例題を示しますが、はじめて見た場合ではどう工夫すればよいかわかりにくいため、誘導をつけます。

$$①:\int \frac {1}{\sin x}dx$$

まず①は、三角関数の相互関係「sin^2x+cos^2x=1」を用いて変形し、置換積分が利用できるようにします。<参考:「三角比・三角関数の公式の導出法一覧」>

$$②:\int ^{2π}_{0}\sin 5x\sin 3xdx$$

②は三角関数の積和の公式を用いて和に書き換えます。

<参考:「積和・和積の公式の覚え方・導き方」>

$$③:\int ^{2π}_{0}\sin mx\sin nxdx(m=n=1)$$

$$即ち\int ^{2π}_{0}\sin x\sin x dx=\int ^{2\pi }_{0}(\sin x)^{2} dx$$

より、③は半角公式を用います。

<参考2:「2/3倍角と半角の公式の覚え方・導き方」>

解答解説(相互関係・倍角・積和の利用)

では、解答を以下に示して解説していきます。

問1

$$①=\frac{1}{2}\log \frac{(1-\cos x)}{1+\cos x}$$
まず、1について。分母・分子に(sinx)をかけることで、分母がsin2xになることから、先ほど紹介した相互関係の式を導入でき、sinx/(1-cos2x)となります。

ここでcosx=tとおくと有理関数の積分になり、さらに部分分数分解(参考:「部分分数分解の手順とコツ」)を利用して解くことができます。

問2:

②=0

②については、hintsの通り積和を使って、次のような形に変形します。

$$sin m \times sin n=\frac{1}{2}(cos (m-n)-cos(m+n))だから、$$

$$\frac{1}{2}(\int_{0}^{2\pi} cos2xdx -\int_{0}^{2\pi} cos8xdx)$$

この計算を進めると、最終的に=0となります。

問③:

③=π

③は先に示したように、半角の公式を用いて2乗を外し、

$$\int_{0}^{2\pi} \frac{1-cos2x}{2}dx$$これを計算して、$$=[\frac{x}{2}-\frac{sin2x}{4}]_{0}^{2\pi}=π$$

特殊な置換積分(知らないと思いつかないタイプ)

ここまで様々な方法を紹介して来ました。

が、計算可能ではあるものの”前もって知っておかなければ解けない”不定積分や定積分が存在します。

例題の形式では示しませんが、どうして計算できるのかひとつひとつ説明していきます。

$$\int_{0}^{1}\frac{1}{1+x^{2}}dx=\frac{\pi}{4}…①$$

$$\int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{1-x^{2}}}dx=\frac{\pi}{2}…②$$

x= tanθと置く積分

①番目では、x=tanθと置換することで上手く積分することができます。

dx/dθ=1/1+cos2θ,dx=dθ/1+cos2θ

$$\int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{1+\tan^{2}θ}\frac {1}{\cos^{2}θ}dθ$$

$$1+tan^{2}θ=\frac{1}{cos^{2}θ}$$

より、$$\int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{\frac{1}{cos^{2}θ}}\frac {1}{\cos^{2}θ}dθ=\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}θdθ$$

を用いると分母・分子が約分できます。

結果として、不定積分はθに落ち着き、xに対応するθの範囲を考えることで定積分の値が求められます。

x= sinθと置く積分

実は2番目もほぼ同じ方法で、x=sinθと置換することで三角関数の相互関係の一つ:sin2x+cos2x=1が利用できます。$$\frac {dx}{dθ}=(\sinθ)'=\cosθ$$

(残りの部分は上のx= tanθの場合を参考にしながら自力で解いてみてください!)

上の二つに関しては、テスト中などに自力で思いつくのはほぼ不可能なのでしっかりと頭に入れておきましょう。

まとめと微分積分の関連記事

・まず置換積分の基本(xの式=tと置く)などを練習し、その際に積分区間の変更等に慣れて行きましょう。

・次に、置換積分と相性が良い「三角関数・三角比」を利用するタイプに取り掛かりましょう。

・忘れている公式などがあれば「三角比と三角関数の公式の覚え方・導き方総まとめ」をうまく使って置換積分をマスターしましょう!

積分法の関連記事一覧

前回:「積分法の基本公式(数学Ⅲver)

次回:「部分積分法の意味と解き方のコツ

>>「積分方程式はたった2パターン解法で攻略!」<<

微積の総まとめは→「数学3で学ぶ微分・積分とその応用記事まとめ」のページにあります。

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