三角関数が入った不等式の解き方まとめ
「三角方程式の問題を解く方法と関連公式」の続編として、
等式=の代わりに、≧不等号が入った三角関数の不等式の解き方をまとめています。
目次(タップした所へ飛びます)
三角関数を含む不等式とは
上述したように、三角方程式の不等式バージョンと考えてもらって構いません。
三角方程式は、θの値を求めればよかったのに対して、
不等式ではθの範囲を問われるので少しだけレベルアップします。
単位円を使って不等式を解く
三角関数を含む不等式では、三角方程式と同様に、
θを満たす単位円上に線を引いて値を求め、
角度の条件に気をつけながら《△π<θ<○π 》のような形で解答します。
ここでは実際に例題を見ながら解き方を身につけましょう。
三角関数の不等式の例題と解き方
以下の三角関数で表された不等式を解いて、条件を満たすθの値の範囲を求めよ。
ただし、0≦θ<2πとする。
(例題1)sinθが1/2以上の値をとるとき
(例題2)cosθが1/2以上の値をとるとき
(例題3)2cos2θー3sinθ-3≧0のとき
(例題4)cos2θ≦ーsinθ のとき
(例題5)sinθ +√3cosθ≧0 をのとき
単位円と三角比・三角関数の復習
三角不等式を解く際も、いろいろな三角比・三角関数の公式や相互関係を利用するので
「三角比・三角関数の公式の導出法と覚え方まとめ」を適宜利用してください。
三角不等式では、三角方程式よりもさらに単位円の重要性が増してきます。
sinθ=y
cosθ=x
<単位円とsinθ・cosθ>
解答解説
解答1:sinと不等式
(解答1)問1はsinθ≧1/2の時のθを求めるので、
単位円とy=1/2の交点をしらべると、θ=π/6、5π/6。
sinθは1/2以上なので、図1で青く塗った部分が問1で問われている範囲です。
<問1の単位円>
したがって、π/6≦θ≦5π/6・・・(答)
解答2:cosと不等式
(解答2)次に、cosθ≧1/2も同様に単位円を書いて同じく調べると
、x=1/2との交点θ=π/3、5π/3です。不等号が付いているので、
x≧1/2のところが求めるθの範囲です。
<問2の単位円>
ここで、注意が必要な点は、はじめに条件としてθの範囲が決められている(0≦θ<2π)ので、
”5π/3≦θ≦7π/3”と答えてしまうとバツになります。
そこで、解答は、『0≦θ≦π/3』,『5π/3≦θ<2π』・・・(答)のように、分けて書くようにします。
解答3:相互関係&因数分解の利用
(解説3)条件の不等式は、2cos2θ-3sinθ-3≧0より、
sin2θ+cos2θ=1(相互関係)を使って次数の低いsinθに合わせます。
その後、たすき掛けをして<参考:「因数分解の解き方と工夫まとめ」>不等式を解いていきます。
2cos2θ-3sinθ-3≧0⇔(2-2sin2θ)-3sinθ-3≧0
不等号の向きに注意して、2sin2θ+3sinθ+1≦0因数分解をすると、
(2sinθ+1)(sinθ+1)≦0
よってsinθの範囲が、-1≦sinθ≦-1/2 と求まります。あとは以下の図よりθの範囲は、
<問3の単位円>
7π/6≦θ≦11π/6・・・(答)
解答4:2倍角の公式の利用
(解答4)cos2θ≦-sinθ
ここでは、関数がサインとコサインでそろっておらず、
また角度も、θと2θが混ざってしまっているので、cosの2倍角の定理を用いて式変形をしていきます。
sinθに合わせるため、3種類あるcosの二倍角のうち『cos2θ=1ー2sin2θ』を使っていきます。
<参考:「2倍角・3倍角・半角の公式の導き方」>
1ー2sin2θ+sinθ≦0 移項して、
2sin2θーsinθ−1≧0 因数分解すると、(2sinθ+1)(sinθー1)≧0
より、sinθは、1≦sinθ、-π/2≧sinθとなります。
ここで、sinθは−1から1までの値しかとれないので、1=sinθ,-π/2≧sinθ≧1。
以下の図より、
<問4の単位円>
θ=π/2、7π/6≦θ≦11π/6・・・(答)
解答5:合成の利用
(解説5)この不等式も関数がそろっていません。
また、相互関係や倍角公式が使えないので、合成を使います。→「三角関数の合成の正体」
sinθ+√3cosθ=2sin(θ+π/3)
2sin(θ+π/3)≧0 両辺を2で割って、sin(θ+π/3)≧0。
今回は、θが(θ+π/3)になっているので、0≦(θ+π/3)≦π。
単位円を参考にしながら、問題文の条件(0≦θ<2π)より、0≦θ≦2/3 π または5π/3≦θ<2π・・・(答)となります。
三角方程式・不等式のまとめと三角関数の関連記事
・このように、三角関数を含む不等式(や方程式)では、相互関係や公式、因数分解などあらゆる知識を使ってsinやcosの範囲を決定し、単位円を利用してθを求めます。
・今回のパターン以外にも半角・3倍角・和積/積和の公式を利用するものなど、
たくさんの種類があるのでぜひ多くの類題を解いて、素早く解けるようにしましょう。
<要チェック!→「三角比/三角関数の公式一覧まとめ」>
<方程式と不等式シリーズ>
以下の記事は、三角関数以外の方程式の解き方をまとめています。ぜひ参考にしてください。
>>「高校数学での方程式/不等式の解法総まとめ」<<
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