三角関数の合成についての3つの質問

 

(1)図を描かなくても三角関数の合成をする事が出来ますか?

(2)三角関数の合成と加法定理の関係を理解出来ていますか?

(3)cos型で三角関数の合成は出来ますか?

・・・・

(1)〜(3)全てYESならば、三角関数の合成に関しては特に問題は無さそうです。この記事は流し読みして一番下の関連記事を読んでみて下さい。

(1)〜(3)のうち1つでもNOがあれば、この記事をしっかり読んで全てYESにしましょう!

特に(2)三角関数の合成と加法定理の関係は確実に理解しなければならない事項です。

では最重要の

三角関数の合成と加法定理の関係

から始めましょう。

結論:三角関数の合成は、加法定理の「角度の和差→三角関数の積どうしの和差」という操作を逆向きにしたものである

 

$$\sin \theta +\sqrt {3}\cos \theta =$$

ここで、何も考えずに

sinと cosの係数をxy平面上に置き、原点から線分を引いてx軸正方向と線分がなす角と距離を出して、sin(θ)+ √3cos(θ)=2sin(θ+π/3)

としている生徒が沢山います!

答えはそれで正しいので良いのではないか?と思うかもしれません。

が、理解を伴っていないのにやり方だけ覚えて入試を迎えた受験生に悲劇が起こった年があります。

1998年のセンター試験数学2Bでの事、いきなり三角関数をsinではなく cosで合成させる問題が出されたのです。

多くの受験生は面食らい、平均点は41点と2015年の39点に破られるまで20年近く最低記録でした。

(ちなみに2015年の原因も三角関数です。更に言えば、加法定理についての問題でした)

結局、テクニックだけ覚えていても上記の様に少し問題をひねられるとボロボロになります。

もう一年受験生をしたく無ければしっかり理屈を分かった上でテクニックは使いましょう。

話を元に戻します。

図を使わず式をたてて合成してみます

sin(θ)+ √3cos(θ)=

$$\sin \theta +\sqrt {3}\cos \theta =$$

ここで、sinと cosの係数を2乗して、ルートした

数字で括る操作をするのですが、

$$\sqrt {1^{2}+\left( \sqrt {3}\right) ^{2}}=2$$

$$なぜ\sqrt {1^{2}+\left( \sqrt {3}\right) ^{2}}=2$$

で括っているか理解して操作していますか?

三角関数の合成公式の意味!

加法定理の右辺の式を無理矢理作り出す為に√sinの係数の二乗+cosの係数の二乗で括る

上の例を使って計算すると、

sinθ+√3 cosθ=2(1/2 ×sinθ + √3/2 × cosθ)

$$\sin \theta +\sqrt {3}\cos \theta =2\left( \frac {1}{2}\times \sin \theta +\frac {\sqrt {3}}{2}\times \cos \theta \right) $$

となり、掛け算の順番を少し入れ替えると、

=2(sinθ×1/2+ cosθ×√3/2)

$$=2\left( \sin \theta \times \frac {1}{2}+\cos \theta \times \frac {\sqrt {3}}{2}\right) $$

この式とsin(α+β)型の加法定理の式を並べてみると、

$$\sin \left( \alpha +\beta \right) =\left( \sin \alpha \cos \beta +\cos \alpha \sin \beta \right) $$

sin(α+β)= sin αcosβ+ cosαsinβ

ここで2式の右辺を見比べると、

ちょうどsinθがsinαcosθがcosα、更に、1/2が cosβ(β=π/3)√3/2がsinβにそれぞれ対応している事がわかります!

そして、加法定理は普段左辺から右辺に変形させる事が多いですが、今回はその逆を行う事で、

sinθ+√3 cosθ

=2(1/2 ×sinθ + √3/2 × cosθ)

=2sin(θ+π/3)

と上手く合成することが出来ました。

この様に三角関数の合成の背景には加法定理の存在が有るという事が分かれば、cos型で合成せよという問いでも焦る事なく対応できるはずです。

(確認例題): sinθ+√3 cosθをcos型で合成せよ

cos型で合成なので、cosの加法定理を考えて、そのかたちに近づける様に変型していきます。

cos(α-β)= cosα cosβ+ sinαsinβ

$$\cos \left( \alpha -\beta \right) =\left( \cos \alpha \cos \beta +\sin \alpha \sin \beta \right) $$

√3 cosθ+ sinθを2で括って、

2(√3/2× cosθ+1/2×sinθ)

$$\sqrt {3}\cos \theta +\sin \theta =2\left( \cos \theta \times \frac {\sqrt {3}}{2}+\sin \theta \times \frac {1}{2}\right) $$

同様に対応させて

sinθ+√3 cosθ=2cos(θ-π/6)

$$\sqrt {3}\cos \theta +\sin \theta =2cos\left( \theta -\frac {\pi }{6}\right) $$

これでcos型の合成を問われても問題ありません!

勿論、試験中にわざわざこの様な丁寧な合成をする必要はありません。

しかし、「仕組み=加法定理の存在」を理解した上で、最初に書いた図を使ったテクニックを使う人と、ただ単に丸暗記して使う人との差は非常に大きいです。

それが如実に表れたのが2015年や1998年のセンター2Bでのcos型で合成せよという問いであったと思います。

これはどんな公式やテクニックにも言える事ですが、必ず自力で証明や導出ができる様にしてから使う様にして下さい。

そうすれば咄嗟に度忘れしても、又、一見公式が使えなさそうでも、動揺せずに試験に取り組めます。

尚、加法定理の証明は以下の記事で扱っています。こちらも参考にして見て下さい。

更に参考:三角関数の公式の導出記事一覧

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