高校数学と線形代数学の隙間を埋めよう

今の大学生は、ほとんどの人が高校で“行列”を学んでいないと思います。

旧課程では、現数Ⅲが数学Ⅲ・C(数Cに行列が入っていました)に分かれており、理系であれば必ず履修したのです。

そこで、旧数Cと大学の線形代数学の入り口を学ぶための記事シリーズを作ることにしました。

(※:入り口なので、厳密さよりも分かりやすさを優先させています。シリーズを読んで大まかに理解出来れば、スムーズに厳密な線形代数学に進める様にしました)

※:<線形代数入門第0回;集合と写像をわかりやすく>を作成しました。今後の線形写像などを学ぶ際に理解している必要があるので、余裕があればご覧下さい。

線形代数とは?

まず多くの人がつまずくのは「線形代数」という言葉です。

代数の意味

線形代数の「代数」はその名の通り「わりにxの様な文字を置いて計算する」という意味です。

簡単に言うならば、方程式を解くための学問と言えます。

線形とは

問題は、『線形』というコトバです。

今の所は、「直線」や、一次方程式の様なまっすぐな性質を持つもの、を線形と言うと思っていてください。

例えば、「微分積分のまとめ記事」の冒頭でも少し解説していますが、一番上の様な性質を線形性と言います。

微分の線型性

線形代数

とはいえ、いきなり言葉の意味にとらわれてしまうと、前に進めないのでこのあたりで「行列」の解説に進みたいと思います。

取り敢えず最初は、行列(以下で解説します)について学ぶ=「線形代数学」と考えておいてください。

行列の基礎

さて、行列とは一体どういったものなのでしょうか。行列(線形代数学)はもともと連立方程式を解くために生まれ、発達してきたものです。

連立方程式と行列を学ぶ理由

2x+6y=9

3x+y=4

この連立方程式を解く際には、普通は「代入」したり、「加減法」を使って解いていきます。

2式を6倍して、1式を引き、xを求めて、元の2式にxを代入することでyが求まります。

この様に、人間が連立方程式を解いていく際には色々な試行錯誤をしながら解を出します。

これくらいの方程式では普通に解けてしまうので良いのですが、もっと複雑な問題ではどうでしょうか?

未知数(文字)が何十個も出てきたりすると「試行錯誤」をするのは大変困難になってきます。

そこで、行列を使うと非常に複雑な問題であっても「単純な計算を繰り返すだけ」で解を求めたり、

解が無い(不能)、解が無数にある(不定)などを判定することができるのです。

points!「単純な計算を繰り返す」という行為は人間にとっては苦痛でしかないのですが、機械はそれを驚く程早くこなします。

線形代数、行列を学んでいく事でコンピュータがどの様にして動くのか(アルゴリズム)や、今話題のAIなどと非常に深いつながりがある事が分かります。

行列と列ベクトル

行列は言葉通り、行と列に成分といわれるものを配置したものです。

<行と列の考え方>

行列では、横方向の並びのことを“行”、縦方向の並びのことを「列」と呼びます。実際に数字で見てみましょう。

行列の「行」と「列」

$$① 2×2行列\begin{pmatrix}
1 & 2 \\
3 & 4
\end{pmatrix}$$

$$ ② 3×3行列 \begin{pmatrix}
1 & 0 & 2 \\
3 & 4 & -1 \\
2 & 2 & -4
\end{pmatrix}$$

$$③ 2×4行列\begin{pmatrix}
1 & 9 & 9 & 3 \\
0 & 2 & 2 & 6
\end{pmatrix}$$

①においての行は(1,2)や(3,4)のことをいい、列は(1,3)や(2,4)のことを指します。

また、行や列の数によってそれらの行列に名前が付けられます。

例えば①は2×2行列、②は 3×3行列 と呼ばれるのです。

この考え方の基礎自体は既に高校で学習しています。

(ベクトルの成分表示を思い出してみて下さい:「ベクトルの成分表示とは?その意味と足し算・引き算」)

$$2次元ベクトルは、2行1列\begin{pmatrix}
x \\
y
\end{pmatrix}$$(x、y)

$$3次元ベクトルは、3行1列\begin{pmatrix}
x \\
y \\
z
\end{pmatrix}の行列と言えます。$$

行列の成分を記号で表す

2×2行列や、3×2行列などのうちは数が少ないので良いのですが、勉強を進めていくうちに、とても大きな数の行列を扱ったり、特定の「場所」の成分(=2行目3列目の数字などのことです)を書く必要が出てきます。

その様な時のために、行列を以下の様にしておくと便利なのです。

$$A=\begin{pmatrix}
a_{1,1}, & \ldots & a_{1,n} \\
\vdots & & \vdots \\
a_{m,1} & \ldots & a_{m,n}
\end{pmatrix}=\left( a_{i,j}\right)$$

$$ただし、i=1,2,3,\ldots (m-1),m$$

$$j=1,2,3 \ldots (n-1),n$$

 

行列の足し算・引き算

ここでは、行列同士の足し算と、引き算、さらに行列にスカラーをかける手順を解説していきます。

注意!:行列同士の足し算・引き算は行と列の数が同じもの出ないと計算できません。

$$\begin{pmatrix}
1 & 3 \\
2 & 4
\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}
2 & 2 \\
1 & 1
\end{pmatrix}$$

の様に、2行2列の行列と2行2列の行列は計算できますが、

$$\begin{pmatrix}
1 \\
2
\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}
1 & 4 \\
3 & 4
\end{pmatrix}$$

この様に行数と列数が揃っていなければ計算不可です。

足し算

行列の足し算は、非常に簡単で、同じ成分を足していくだけです、実際に上の例で見てみましょう。

$$\begin{pmatrix}
1 & 3 \\
2 & 4
\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}
2 & 2 \\
1 & 1
\end{pmatrix}$$

$$=\begin{pmatrix}
1+2 & 3+2 \\
2+1& 4+1
\end{pmatrix}$$

$$=\begin{pmatrix}
3 & 5 \\
3& 5
\end{pmatrix}$$

行列のスカラー倍

行列のスカラー倍も大変シンプルです。

以下の例の通り、各成分にスカラーを掛けていくだけです。

(例)

$$3\times \begin{pmatrix}
1 & 2 \\
2 & 2 \\
3 & 5
\end{pmatrix}$$

$$=\begin{pmatrix}
1\times 3 & 2\times 3 \\
2\times 3 & 2\times 3 \\
3\times 3 & 5\times 3
\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}
3 & 6 \\
6 & 6 \\
9 & 15
\end{pmatrix}$$

引き算

行列の引き算も基本的に普通の引き算です。が、AーBを計算するのではなく、A +(ーB)という考え方で計算します。(理由は追って解説していきます)

$$(例)\begin{pmatrix}
2 & 5 \\
4 & 3
\end{pmatrix}-\begin{pmatrix}
1 & 2 \\
2 & 2
\end{pmatrix}は、$$

$$\begin{pmatrix}
2 & 5 \\
4 & 3
\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}
-1\times 1 & -1\times 2 \\
-1\times 2 & -1\times 2
\end{pmatrix}$$

$$\begin{pmatrix}
2 & 5 \\
4 & 3
\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}
-1 & -2 \\
-2 & -2
\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}
1 & 3 \\
2 & 1
\end{pmatrix}$$

線形代数の関連記事と(行列同士の掛け算・逆行列へ)

先述しましたが、ベクトルも行列の一部ということができ、以下の記事

・「外積とは?ベクトル同士の掛け算の正体と内積との違い」も「行列同士の掛け算」と密接に関わってきます。

次回は、線形代数入門(2):行列同士での掛け算です。

足し算や引き算の様に一筋縄ではいかないところですが、必ず乗り越えられる様に丁寧に解説していきます。

行列の掛け算を徹底的にわかりやすく解説!線形代数入門2

逆行列と行列の割り算:線形代数入門3

≪線形代数入門4≫「一次(線形)変換とは?イラスト付きで分かりやすく解説

固有値と固有ベクトルの計算・求め方をわかりやすく解説

>>「【随時更新】線形代数シリーズ:0から学べる記事総まとめ【保存版】」を読む<<

 

今回も最後までご覧いただきまして、有難うございました。

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