関数方程式の解法
<この記事の内容>:数学III「積分法の応用」範囲から、関数方程式の解法と関連記事をまとめました。
さらに、微分の定義などを使う難易度の高いタイプの解き方を詳しく解説しています。
<関連記事>:「数学III:微分・積分法の解説記事総まとめ」/「極限を得意にする8記事+α」
目次(タップした所へ飛びます)
関数(積分/微分)方程式の種類と解法
ざっくりと言うと、方程式はこれまで【x】のような未知数で構成されていて、その文字について解いていましたが、それがf(x)のような関数に置き変わったものです。
・これまでの方程式:xの値を求める
・関数方程式:f(x)どの様な関数かを求める
積分方程式
方程式の中に\(\int dx\)がある方程式を『積分方程式』と呼びます。
主に2種類の解法があり、それぞれについて必ずマスターしておきましょう。
詳しくは「積分方程式の解法2パターン」で解説しています。
解法1:\(\int dx=(文字)\)でおくタイプ
解法2:\(\int dx\) を微分するタイプ
微分方程式(参考+α)
積分方程式よりはかなり出題されることが少ない(教科書でも積分法の応用の最後に少しだけなっている程度)”微分”の形が方程式に含まれる微分方程式ですが、『変数分離形』の解法だけは理解しておきましょう。
詳しくは「微分方程式の基礎と応用まとめ」へ
関数方程式
今回のメインは、上で紹介した『積分方程式』の解法(=定数と置く、or、微分する)が使えないタイプです。
このたぐいの問題は一見複雑なのですが、ある程度パターンが決まっており(答えが有名な関数(logxやsinx、cosxなど)になる事が多い)、慣れてくると解く前から大体の推測ができることも多いです。
有名例題
今、以下の方程式
\(f(x+y)=f(x)\cos y+f(y)\cos x\cdots (式1)\)
で表される方程式中のf(x)を求めたい。次の1〜3の問題を解け。
ただし、x及びyは任意の実数を取ることができ、f(x)は連続であるものとする。
(1):f(0)の値を求めよ。
(2):f‘(0)=1である条件のもとで、f(x)がxで微分可能であることを示せ。
(3):f(x)を求めよ。
<有名問題>
(三角関数の極限を使うので↓は確認しておきましょう。)
\(\begin{aligned}\lim_{x\rightarrow0}\frac{\sin x}{x}=1\\\lim_{x\rightarrow0}\frac{1-\cos x}{x^{2}}=\frac{1}{2}\end{aligned}\)
解き方の手順
次のようにstep1〜step3の順に解いていくことによって、関数を調べることができます。
実際の入試では、たいていこの順番でそれぞれ小問(誘導)がつきます。
※:問題の式のカタチから、『ある定理』が見えている人がいるかもしれません。
step1:f(0)を求める
とりあえず問題の誘導に従いましょう。
(式1)の右辺と左辺にあるf(x)とf(y)、さらにf(x+y)の中身が全て0であるようなxとyを選びます。
これを満たすのは、x=0、y=0のみです。
したがって、
\(f(0+0)=f(0)\cos 0+f(0)\cos 0\)
コサイン0(rad)=1より、
\(f(0)=f(0)+f(0)\)
ゆえに、\(0=f(0)\)・・・(答)
step2:微分可能の証明と極限
xについて微分可能であることを示すので、必要ならば以下の記事を参照してください。
「微分可能と関数の連続を解説」/「微分係数と導関数を定義に従って求める」
$$\lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{(x+h)-(x)}$$
「定義に従って」微分をする場合は上の式を用いました。
ここからの式変形が最も重要です。
、f(x+h)はf(x+y)のy→hに置き換えたものなので、
$$\lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(x)\cos h+f(h)\cos x-f(x)}{h}$$
f(x)はy=0のときで、\(f(x)=f(x)\cos 0+f(0)\cos x\)なので、これを上の式のf(x)に代入する。
$$\lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(x)\cos h+f(h)\cos x-(f(x))}{h}$$
\((∵)\cos 0(rad)=1、かつ問1より、f(0)=0\)
さらに上の式を『先ほどの三角関数の極限』が使えるように近付けていきます。
$$\lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(x)(\cos h-1)+f(h)\cos x}{h}$$
\(\cos h-1 \)のところはマイナスを掛ければ\(\lim_{x\rightarrow0}\frac{1-\cos x}{x^{2}}=\frac{1}{2}\)が使えそうです。
また、\(\lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(h)}{h}\)の部分は、f(0)=0より
$$\lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(h+0)- f(0)}{h}=f’(0)$$と出来るので、
$$\lim_{h\rightarrow 0}f(x)\cdot(-h)\cdot\frac{1-\cos h}{h^{2}}+\cos x\cdot\frac{f(h+0)- f(0)}{h}$$
よって、二つに分けた分数のうち左側は-h→0より→0。
右側は\(f’(0)\cdot\cos x\)
問題文よりf‘(0)=1なので、
$$f’(x)=\lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(x)\cos h+f(h)\cos x-f(x)}{h}=\cos x$$
(これで「どの様なxについても微分可能」な事が示せました。)
step3:積分を利用してf(x)を決定する
後はstep2で示した導関数を積分した上で、積分定数を条件より決定すれば終了です。
$$\int f‘(x) dx=\int \cos x dx=\sin x +Const.$$
f(0)=0より、\(f(0)=\sin 0+Const=0 ∴ Const=0\)
以上の(1)〜(3)の結果から\(f(x)=\sin x\)・・・(答)
関数方程式まとめ
答は正弦関数(sin)でした。
問題の式から加法定理を連想できた人は想像通りの結果になったのではないでしょうか。
関数方程式では、上述したように《step2の微分可能である事を示す》ところがKeyとなります。
ある程度慣れると【答の関数の当たり】がつけやすくなるので、積分方程式とともに類題を何題か解いておきましょう。
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