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執筆者・編集者プロフィール
安田周平
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整数係数の方程式の解(高次方程式+整数)

<この記事の内容>:「有理数の解を持っている」特に"3次以上の方程式”の解を求める際に、その解を見つける方法(テクニック)+証明を解説しました。

<この記事の対象とレベル>:

(1):『因数定理』など利用して高次方程式を解くときに「$$\pm \frac{a_{0}定数項の約数}{a_{n}最高位の係数の約数}$$」の中からxの候補を探しているが、仕組みを証明できない人

(2):その方法を初めて知るが、証明も含めて詳しく知りたい人。(少々難しいので、整数分野を強化したいハイレベルの高1〜高卒生向けです。)

高次方程式の解

まず、初めに身近な2次方程式と3次方程式を『因数定理』を使って解いていきます。その中で「解の候補の探し方」を紹介し、その証明に移っていきます。

解の候補の探し方

闇雲にxへ代入していっても時間と労力の無駄になるので、

$$\pm \frac{a_{0}定数項の約数}{a_{n}最高位の係数の約数}\cdots (※)$$」の中からxの候補をいくつか探します。

具体例で確認

例題1:\(x^{3}+3x^{2}+3x+1=0\)の解を全て求めよ。

例題2:\(x^{2}+7x+6=0\)の解を求めよ。

解答・解説

普通にたすき掛けや公式を使っても「(参考:)因数分解とたすき掛けのやり方を徹底解説!」解けますが、せっかくなので(※)を使って解いてみましょう。

解答1:\(\pm\frac{1}{1}\)から候補を探すと、まず1か−1であろう事が分かります。

実際、x=ー1を代入してみると、-1+3-3+1=0となって、解の一つがわかります。因数定理より(x+1)で\(x^{3}+3x^{2}+3x+1\)をわると\(x^{2}+2x+1\)。

ゆえに、\((x+1)^{3}=0 \)となるので\(x=-1の三重解\)。・・・(答)

解答2:\(\pm\frac{6}{1}\)から候補を探すと、まず\(\pm 1,\pm 6 \)あたりが解になる事が分かります。

そこで、\(-1を代入すると、1-7+6=0\)となって、\(x=-1が解の一つ、x=-6のとき,36-42+6=0\)、これで2つの解が分かったので、x=-1,-6。・・・(答)

定数項/最高次の係数:が成り立つ証明

さて、具体的な例でこのテクニックが使えることが分かりました。

ここから、方程式の次数を”n次”に一般化した上で(※)が『なぜ上手くいくのか』を証明していきます。

テクニックをn次に一般化する

問題:\(a_{n}x^{n}+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots +a_{2}x^{2}+a_{1}x+a_{0}=0\)のn次方程式(※※)について、xが有理数解を持つ。

このとき解は$$\pm\frac{a_{0}:定数項の約数}{a_{n}:最高次の係数の約数}$$の中から見つけられることを示せ。ただし\((a_{n},a_{0}≠0とする。)\)

有理数といえば

有理数の復習ですが、分数で表せる数の事なので『証明問題では互いに素な2つの整数(ここではmとl)を使用』して、解xを次のように置きます。\(x=\frac{l}{m}\)

最高次の係数について

では、ここから実際に証明していきます。

先ほどの有理数x=l/mを(※※)に代入すると

$$a_{n}(\frac{l}{m})^{n}+a_{n-1}(\frac{l}{m})^{n-1}+\cdots +a_{1}(\frac{l}{m})+a_{0}=0$$

このようになり、分数であると扱いづらいので、両辺に\(m^{n}\)をかけて分母を払います。\((m^{n}は正)\)

その後に、(今は最高次の係数について考えているので)\(a_{n}l^{n}\)のみを右辺へ移項します。

\(a_{n-1}l^{n-1}m+\cdots +a_{1} lm^{n-1}+a_{0}m^{n}=-a_{n}l^{n}\)

ここで、整数分野では非常に重要な「()()=●」のカタチに変形するという方法を使います。

(参考:「整数問題で必須の三つのアプローチ」)

上の記事の3種類の鉄則のうちの一つです。

次に(左辺)をmでくくると、

\(m(a_{n-1}l^{n-1}+\cdots +a_{1} lm^{n-2}+a_{0}m^{n-1})=-a_{n}l^{n}\)

両辺をmで割って、$$(a_{n-1}l^{n-1}+\cdots +a_{1} lm^{n-2}+a_{0}m^{n-1})=\frac{-a_{n}l^{n}}{m}$$

ここで、(左辺)は整数であるから右辺:$$\frac{-a_{n}l^{n}}{m}$$も整数。

さらに、lとmは互いに素であったので、\(a_{n}はmで割り切れる=mを約数に持つ\)・・・(一)

定数項について

次は定数項\(a_{0}\)の場合です。

同様に\(x=\frac{l}{m}\)を代入し、\(m^{n}\)を掛けて、今度は定数項の部分を(右辺)へ移項します。

\(a_{n}l^{n}+a_{n-1}l^{n-1}m+\cdots +a_{1}lm^{n-1}=-a_{0}m^{n}\)

”l”でくくり、

\(l(a_{n}l^{n-1}+a_{n-1}l^{n-2}m+\cdots +a_{1}m^{n-1})=-a_{0}m^{n}\)

両辺を”l”で割ると

$$a_{n}l^{n-1}+a_{n-1}l^{n-2}m+\cdots +a_{1}m^{n-1}=\frac{-a_{0}m^{n}}{l}$$

従って、(左辺)は整数であるから右辺:$$\frac{-a_{0}m^{n}}{l}$$も整数。

lとmは互いに素なので、\(a_{0}\)は\(lで割り切れてlを約数に持つ\)。・・・(二)

結論(2つの証明をまとめる)

ここまで来たらもう一息です。

(一)、(二)より\(a_{n}はm、a_{0}はlを約数にもつから\)、

$$\pm \frac{lを約数にもつa_{0}}{mを約数にもつa_{n}}$$の中から、n次方程式(※※)の解\(x=\frac{l}{m}\)が見つかる。・・・(終)

整数+高次方程式のまとめと関連記事

仕組み・証明のところはややハイレベルでしたが、整数問題を解く際に必要、かつ、重要な『ワザ』や証明の流れが含まれています。

できればテクニックとして丸覚えせずに、一度か二度は自力で証明できるようにしておくと数学力がついてきます。

以下の項で関連する分野をまとめているので、続けてご覧ください。

合わせて読みたい記事へ

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