積分法の基礎と計算公式
<この記事の内容>数学3で学ぶ積分法の基本的な考え方と、有名公式を解説していきます。
高校数学では、「積分計算は微分計算の逆である」と表現されることが多いです。
関数の形や性質を見定める微分法に引き続き、積分法も関数の特徴を調べたり、あるいは特定の知りたい量(面積や体積、グラフの長さなど)を求める際に非常に大切になってくる概念です。
積分法の前に極限→微分を確認したい人は、
「極限を得意にする記事6選!(〜微分法への橋渡し〜)」をご覧下さい!
目次(タップした所へ飛びます)
積分法の基本
一般に、F'(x) =f(x) のとき、「F(x)をf(x)の不定積分」と呼びます。この際に、積分の演算を表す記号”インテグラル”を用いて、\(\int f(x) dx=F(x)+C\)と表します。
ここで出てきたCは、積分定数と呼ばれる任意の定数(=ここではxが入っていない数字の事)です。
不定積分に出てくる”積分定数C”の意味
なぜCなる物が登場するか疑問に思う人もいると思います。
そこで試しにf(x)=x+3とf(x) =x+1をそれぞれ微分してみてください。
共にf'(x) =1になり、定数部分の1と3は消えて無くなります。
今度は積分は微分の逆なので、
f'(x) =1を積分するとします。この場合、
f(x)=x+(ここの数字はいくつにすれば良いのでしょう?)
1かも知れないし3かも知れません。100でも1000でも微分と積分の関係は変りません。
どの値でも微分すればf‘(x)=1になります。
つまり積分した後の定数の値はいくらでも考えられるため、ひとつにまとめてCという記号で表しているわけです。(積分定数の"定数:Constantの略"です)
先頭の∫の記号は数学者ライプニッツが導入したと言われ、「和」を表すラテン語の単語summaの頭文字Sを上下方向へ引き伸ばしたものが由来とされています。
(因みに、数列でよく出てくるΣシグマもおなじくsummaの頭文字から派生し、こちらはラテン語のsに対応するギリシャ語のΣを使っています。)
また、dxはxについて積分するという意味が主ですが、実は微分法にも登場するdxと同様の「非常に小さい数=微小量」という意味合いも持っています。
定積分と不定積分
次に、不定積分の他に定積分というものも定義されています。
計算方法や表記は不定積分とはほぼ同じなのですが、
定積分は右のように表されます$$\int ^{\alpha }_{\beta }f(x) dx=F(\alpha) -F(\beta) $$
ここでは不定積分には存在しなかった、積分する「区間」を表す「αからβまで」という意味で上下に文字がつきました。
定積分は不定積分のような「積分定数の付くあいまいな関数」の形ではなく、「とある定まった値」が得られます。
そして定積分の値をIと置くと、f(x)の不定積分の一種であるF(x)を用いてI=F(α)-F(β)と定義されます。
色々な関数の積分公式
では、具体的に大学受験で扱う積分を見てみましょう。なお、以下では不定積分として扱いますが、積分定数Cは省略しています。
今後さまざまな複雑な関数の積分をする事になりますが、その計算が正しいかどうかは両辺を微分してみて、もとの関数に戻るかどうかですぐにわかります。
なるべく積分したら微分して、元に戻るかの検算をする様にしてください
これは単にミスを減らすだけでなく、今後似た様な積分を行う時に計算速度がアップする効果があります。
多項式、べき乗の積分公式
多項式・べき乗の積分
\(x^{a}の不定積分について、\)
\(a\neq -1\Rightarrow \int x^{a}dx=\frac {x^{a+1}}{a+1}\)
\(a=-1\Rightarrow \int x^{-1}dx=\int \frac {1}{x}dx=\log \left| x\right| \)
aの値によって場合分けが生じたり、a=-1のとき絶対値が関係してくることには注意しましょう。
三角関数の積分公式
次に三角関数の不定積分を見てみます。
\(\int \sin xdx=-\cos x\)
\(\int \cos xdx=\sin x\)
$$\int \frac {1}{\sin ^{2}x}dx=\frac{-1}{\tan x}$$
$$\int \frac {1}{\cos ^{2}x}dx=\tan x$$
三角関数の積分はそれ自体が重要なだけでなく、今後紹介する「特殊な置換積分」でも活躍します。
指数関数の積分公式
指数関数の積分は、\(その底(2^{x}や3^{x}などの"2","3"部分です)をaとする時\)
a≠eならば
$$\int a^{x}dx=\frac {a^{x}}{\log a}$$
となり、a=eの時(eは有名なネイピア数です)
$$\int e^{x}dx=e^{x}$$となります。
入試で問われるのは多くはa=eの場合です。
これらの積分が正しいかはこれまでと同様、両辺の微分で確かめることができます。
ネイピア数の面白い性質は→「ネイピア数って何の為にあるの?」で紹介しています。
積分法(1)まとめと続編へ
今回は数学Ⅲ積分法第一回として基礎の基礎である色々な関数の積分公式を紹介しました。
ボリュームも割と多かったと思うので、よく復習しておいて下さい。
数学3の積分では計算速度と正確さが最終的に勝敗を分けるので、出来るだけ多くの類題をこなすことが重要です。
「部分積分」・「置換積分」へ
次回は、「手順」を始め更に沢山の計算法やテクニックを紹介していきます。
(NEW):「置換積分法の仕方と必須知識・公式」
今回もご覧いただき有難うございました。
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