パラメーター表示された曲線のグラフと面積
<この記事の対象者>:数三を学習していて、媒介変数(パラメーター)表示された曲線の描き方・増減表の作り方などがわかりづらい・苦手な人。
<内容>:基本的な『dx/dt』の計算の仕方などから解説し、『2つの媒介変数の式から→増減表の作成→”x-y”座標平面に曲線を描き→その面積を求める』レベルまで、イラストを豊富に用いながら解説します。
関連記事:「数学Ⅲの微積分とその応用まとめ」/「媒介変数と軌跡(図形と方程式)」
目次(タップした所へ飛びます)
媒介変数(パラメーター)とは?
例えば、馴染み深い:\(y=x^{2}\)を”t”で表してみると、\(x=t、y=t^{2}\)のように、x、yそれぞれをtという媒介(間に入って2つをつなげる)変数(パラメーターとも言います)の式で表すことができます。
試しに、上の”x=tをy=t2”に代入すると”y=x2”と言う二次関数に戻ります。
実際に出題される【媒介変数表示された曲線】はもっと複雑で、簡単に代入してy=のカタチにすることが難しいことが多いです。
そのため、媒介変数表示された問題では、x,yを別々に微分するという、これまでとは少し違った方法をとります。
パラメーター表示された関数(曲線)の例
(例題1):→この項で解説します。
\(x=\cos t\)
\(y=\cos 2t\)
ただし、0≦t≦2π
特別な増減表の作り方
この項では、<例1>を使って”媒介変数表示”された曲線の“増減表”の作り方を紹介します。
媒介変数(パラメタ)表示での増減表の作成法は、先ほども述べたように通常の場合と少し違います。
具体的には「y=f(x)」の増減表を作る時に上から”x”・”dy/dx=f'(x)”・”y”とするのに対して、
「x=(tの式)、y=(tの式)」の場合には、”t”、”dx/ dt ”、”dy/ dt”、”x”、”y”と埋めていきます。
(増減表の順番や作り方は参考書や教科書によって異なるので、一旦このやり方を理解したら、自分が作りやすい方法を選んでください。)
手順1:x=,y=のそれぞれをパラメーターの文字tで微分する
x=cos(t) をtで微分、つまり”dx/dt”を求めます、
見た目ほどややこしいことはなく、普段”x”で微分している”変数”の部分が”x”から”t”に置き換わっただけです。
costをtで微分すると、-sin(t)
y=cos2(t)をtで微分すると、合成関数の微分を使って<参考:「合成関数の微分法の解説」>、
dy/dt=2・cos(t)・-sin(t)
:(外側のcos2(t)の微分)×(cos(t))の微分をしているだけです。
手順2:dx/dt=0の前後での符号を確認し、→/←を書き込む
次に、”dx/dt”が求まったので、符号の変化位置を確認します。
以下の増減表のように、”dx/dt”が”正”の時は増減表に右矢印(→:x軸正方向)を、
”dx/dt”が”負”の時は左矢印(←:x軸負方向)を書き込みます。
手順3:dy/dt=0の前後での符号を確認し、↑/↓を書き込む
同様に、”dy/dt”の時も、符号の変化位置を確認します。
以下の図のように、dy/dtが”正”の時は増減表に上矢印(↑:y軸正方向)を、
”dy/dt”が”負”の時は下矢印(↓:y軸負方向)を書き込みます。
まとめ:横向きの矢印と上下方向の矢印を合わせてグラフを作る
<例題1の増減表の一例>
グラフを描く
上で作った増減表1をもとにグラフを描いていきます。
一番下の欄をみると、tが0からπ/2に進むとグラフは(1,1)から(0,0)へ左下向きに、
tがπ/2からπに進むと(-1,1)へ左上向きに進むことが分かります。
同様に、
πから3π/2へは(0,0)へ右下へ、
3π/2から2πへは(1,1)へ右上に進みます。
これらをまとめて、t=0からにt=πまで(青矢印の順に)書き込み、そこから折り返してt=2πまで赤矢印の通りにグラフを作成していきます。
<媒介変数のグラフ(例1)>
作成したグラフを見ると、確かにパラメーターを消去したy=x2のグラフ(右)の(-1≦x≦1)の部分である事がわかります。
(左の)定義域の(0≦x=cos(t)≦2π)が、(右の)定義域の(-1≦x≦1)に対応しています。
媒介変数で表されたグラフと面積
ここまでで、ごく基本的な『媒介変数表示された曲線(関数)』のグラフの書き方・増減表の作り方を紹介しました。
ここからは、例題1の復習をしながら増減表(少し省略した、別のパターンを紹介します。)→グラフを描く→グラフによってできる面積を計算
の順番で解説していきます。
求積問題への応用と増減表:type2
応用問題2:以下のように表される
\(x=t^{2}+2\)
\(y=-t^{3}+2t\)
\((0≦t≦\sqrt{2})\)
↑曲線のグラフを描け。
また、曲線とx軸、y軸で囲まれた部分の面積(Sとする)を求めよ。
解説2:増減表type2の作成まで
これまで同様に、x・yのそれぞれをtで微分し、dx/dt,dy/dtをうめていきます。
はじめの問題では、かなり丁寧にうめていきましたが、慣れてくると以下の様に簡略化した【必要最低限】の増減表でグラフをかける様にしておきましょう!
結果的に上↑のような増減表が作成できます。
解説2-2:グラフ作成と面積の求め方
次に、グラフは『tの流れに沿って』なめらかに線を引いていきます。
次は面積です。簡単に積分出来る形の関数ではないので、tのまま積分することを考えます。
つまり→「置換積分の復習・解説」の様に置換積分を利用して求積問題を解いていきます。
$$\int_{2}^{4}y dx =\int_{0}^{\sqrt{2}} y \frac{dx}{dt}dt$$
※:積分区間が変わるのでミスしない様に注意!
$$=\int_{0}^{\sqrt{2}} -2t^{4}+4t^{2} dt =\frac{16\sqrt{2}}{15}$$
$$結果的にS=\frac{16\sqrt{2}}{15}$$
まとめと次回「弧長」へ
・類題をこなして、入試・数検等で頻出の”有名曲線”を描く練習をしておきましょう。
・次回は、この記事の“媒介変数表示された”曲線の長さ(弧長)・求積(体積version)などさらに応用した分野について解説していきます。(作成中)
関連記事まとめ・続編へ
>>「数学Ⅲ:微分法・積分法とどの応用記事まとめ」<<
次回:「(作成中)パラメーター応用2:弧長と体積」
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