積分と不等式(数学Ⅲ応用)

今回から数学Ⅲ総仕上げシリーズをはじめます。

ひととおり数3を勉強した人向けに、積分法と極限、はさみうちの原理、二項定理などこれまでの分野が融合した範囲を解説して行きます。

重要な事項を振り返りつつ、良問を使用して「初見では難しいけれども、解説と背景にある解法を理解すれば次は間違えない」ことを目標にします。

問題も、ただ難しい奇問は扱わず、これからも出題されるであろう【演習する価値のある】ものを選んで紹介します。

その前に、、極限に少しでも不安があれば→「0から始める数3極限」の苦手な記事だけでも読んで見てください。

同様に、微分・積分については→「数学Ⅲの微分積分の記事まとめ」をご利用ください。

でははじめます!

積分法と不等式

積分法は、単に面積や体積を求めるためだけの道具ではなく、その性質を利用して大小関係や極限値の評価など様々な応用問題が出題されます。

 

まずは積分を使用した不等式について考えてみます。

$$区間a\leq x\leq b で、g\left( x\right) \leq f\left( x\right) ならば、$$

$$\int ^{b}_{a}g\left( x\right) dx\leq \int ^{b}_{a}f\left( x\right) dx が成立します。$$

積分と不等式1

$$さらに、g\left( x\right) \neq f\left( x\right) の時、\int ^{b}_{a}g\left( x\right) dx <\int ^{b}_{a}f\left( x\right) dx$$

$$そして、\begin{aligned}g\left( x\right) =0\\
\Rightarrow 0 <\int ^{b}_{a}f\left( x\right) dx\end{aligned}$$

$$これらの不等式は、x軸とf(x),g(x)にはさまれた$$

$$aからbの面積と考えて、比較すると$$

$$「視覚的に」理解しやすいと思います。$$

 

この不等式は非常に簡単ですが、大変多くの場面で活躍します。

その具体例が、一見計算できそうにない積分を求める問題です。

はさみうちの原理

実際に問題を解くにあたって、はさみうちの原理を理解していることが必要なので、簡単なおさらいをしておきます。

はさみうちの原理:関数編

$$関数の場合:f\left( x\right) \leq g\left( x\right) \leq h\left( x\right) が成立しているとき$$

$$\lim _{x\rightarrow \alpha }f\left( x\right) =\lim _{x\rightarrow \alpha }h\left( x\right) =\beta $$

$$つまり、g(x)の左右の関数が両方ともある値に収束するならば、$$

$$\lim _{x\rightarrow \alpha }g\left( x\right) =\beta  その間に「はさまれている」$$

$$関数g(x)も当然同じ値に収束するという原理です。$$

はさみうちの原理:数列編

$$数列の場合も考え方は変わりません。$$

$$a_{n}\leq b_{n}\leq c_{n} が成立している時、$$

$$\lim _{n\rightarrow \alpha }a_{n}=\lim _{n\rightarrow \alpha }c_{n}=\beta ならば、$$

$$その間の数列も、\lim _{n\rightarrow \alpha }b_{n}=\beta 同じ数に収束します。$$

では、実際にどの様な問題が出題されるかみてみましょう。

 

積分法と極限、はさみうちの原理の応用問題

問題1

$$極限値 \lim _{n\rightarrow \infty }\int ^{1}_{0}\frac {x^{n}}{1+x}dx を求めよ。$$

 

$$さて、実際に定積分してから極限値を求める、$$

$$という方法は使えそうにありません。$$

$$ここで、少し工夫して不等式を作ります。$$

$$0\leq x\leq 1において、0\leq \frac {x^{n}}{1+x}\leq x^{n} が成立します。$$

$$冒頭の不等式より、0\leq \int ^{1}_{0}\frac {x^{n}}{1+x}dx\leq \int ^{1}_{0}x^{n}dx$$

$$x^{n}の定積分ならば簡単に計算できますね!$$

$$ゆえに、0\leq \int ^{1}_{0}\frac {x^{n}}{1+x}\leq \int _{0}x^{n}dx=\frac {1}{n+1}$$

$$ここで、はさみうちの原理より、\lim _{n\rightarrow \infty }0=\lim _{n\rightarrow \infty }\frac {1}{n+1}=0$$

$$よって、その間にはさまれた\lim _{n\rightarrow \infty }\int ^{1}_{0}\frac {x}{1+x^{n}}dx=0$$

はじめの「工夫」して不等式を作る際、左辺は1+x≧1を用いています。

このように、一見計算できなさそうな積分であっても、上手く計算できるような不等式を見つけ出すことで極限値が求まる場合があります。

はさみうちの原理と二項定理の利用のコツ

この辺りのコツはさみうちや二項定理の記事にも解説しています。

基礎編は→「はさみうちの原理と追い出しの原理の使い方の「コツ」」を読む。

二項定理との応用編は→「二項定理とはさみうちの原理」を読む。

とくにこの例のようなnが絡む極限値の問題ではかなりの頻度で不等式によるはさみうちが使えます。

上の二記事でも紹介していますが数多くの類題を解くことで、自然とこの手の問題は解ける様になって行きます。

今回も最後までご覧いただき有難うございました。

数学Ⅲ総仕上げシリーズ第二回をお楽しみに!

 

 

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