はさみうちの原理と追い出しの原理
極限値を求めたり、証明する際に必須のはさみうちの原理と追い出しの原理の解説をします。
更新:はさみうち、追い出しの原理と二項定理を利用して極限の証明をする方法についての記事を作成しました。この記事を読み終えたら是非ご覧下さい。
目次(タップした所へ飛びます)
はさみうちの原理と追い出しの原理とは?
・はさみうちの原理とは?
・例題1(三角関数をはさみうち!)
・例題2(少し複雑な数列をはさみうち!)
・「挟む」関数/数列の見つけ方
・追い出しの原理
・例題3(追い出しの原理の利用)
・まとめ
・はさみうちの原理とは?
数学3の極限を学び始めると、すぐに「はさみうちの原理」と「追い出しの原理」に出会います。
今回はこれら2つの解説をしていきます。
はさみうちの原理とは何か。
今、何か関数f(x)や数列Anの極限を求めたいとします。
例題1:三角関数をはさみうち
例として、$$例題1ここでは\lim _{x\rightarrow \infty }\frac {sinx}{x}$$
を求めたいとしましょう。容易に想像できる$$\lim _{x\rightarrow \infty }x$$
などと違って、極限値がいくらになるのか想像しにくいです。
この様な時に「はさみうちの原理」が活躍します。
下に式を書きますが、流れとしては極限値を求めたい数列や関数を"上と下から"別の極限値が求めやすい数列・関数で挟んでやります。
そして、その求めやすい2つの数列・極限が同じ値に収束するならば、当然その間に「挟まれている」求めたい関数・数列もその値に収束するはずです。
$$どんなxについても\begin{aligned}f\left( x\right) \leq g\left( x\right) \leq h\left( x\right) \end{aligned}$$
が成り立つ時
$$\lim _{x\rightarrow a}f\left( x\right) =\lim _{x\rightarrow a}h\left( x\right) =\alphaならば$$
$$\lim _{x\rightarrow a}g\left( x\right) =\alpha に収束する$$
これを先ほどの例題1に当てはめて考えると、まずsinxは常に−1から1の間を動いていることがわかります。
そこで、まずsinの範囲を利用して求めたい関数を作っていきます。
$$-1\leq \sin x\leq 1$$
\(x\rightarrow \infty \Rightarrow x\neq 0\)となり、安心してxで割ることができます。
$$\frac {-1}{x}\leq \frac {\sin x}{x}\leq \frac {1}{x}$$だんだんと目標のカタチに近付いてきました!
$$\lim _{x\rightarrow \infty }\frac {-1}{x}=0,\lim _{x\rightarrow \infty }\frac {1}{x}=0より$$
$$\lim _{x\rightarrow \infty }\frac {\sin x}{x}=0$$
例題2:少し複雑な数列の極限
数列も関数と同様にはさみうちの原理が使えます。ここでは、an=n!/n ^nの極限値を求めてみます。
$$\lim _{n\rightarrow \infty }\frac {n!}{n^{n}}$$
$$\begin{aligned}n!=1\times 2\times \ldots \times \left( n-1\right) \times n\leq 1\times n\times \ldots \times n\\
=n^{n-1}\end{aligned}$$
$$0 <\frac {n!}{n^{n}}\leq \frac {n^{\left( n-1\right) }}{n^{n}}=\frac {1}{n}$$
$$\lim _{n\rightarrow \infty }\frac {1}{n}=0$$
よって、はさみうちの原理より
$$\lim _{n\rightarrow \infty }\frac {n!}{n^{n}}=0$$
挟む関数/数列の見つけ方のコツ
例題1、2を見て、直ぐに目的の数列/関数を上手く「挟み込む」方法を思い付きましたか?
はさみうちの原理は、メカニズムは理解しやすいのですが、案外”何で挟むか“で悩む事が多いです。
従って、はさみうちの原理を得意にするには類題を沢山解いて、ある程度挟むパターンを頭に蓄積する事が重要です。
このサイトでは、はさみうちを使った証明問題などの記事を書いているので、問題集と共に参考にして是非はさむ「コツ」を習得して下さい!
追い出しの原理
これも考え方は「はさみうち」とほぼ同じで、
ある関数/数列がすべてのx/nに対してf(x)<g(x)かつ、limx→∞f(x)=∞の時
$$f\left( x\right) <g\left( x\right) ,\lim _{x\rightarrow \infty }f\left( x\right) =+\infty $$
g(x)の極限も無限大に発散する、つまり小さい方の関数でさえ無限大に発散するのだから、大きい関数も当然無限大に発散する。
という事です。小さい関数/数列が大きい関数/数列を無限大へ追い出しているように見えるので「追い出しの原理」と呼ばれています。
上では、正の無限大へ追い出しましたが、負の無限大に追い出すことも同様に可能です。
その場合は目的の関数より大きい関数で上から抑える様にすればOKです。
(f(x)<g(x) limx→ー∞g(x)=ー∞の時追い出しの原理よりf(x)→ー∞)
例題3:追い出しの原理の例題
$$\lim _{x\rightarrow \infty }\left( 5^{x}-2^{x}\right) =?$$
$$5^{x}\left\{ 1-\left( \frac {2}{5}\right) ^{x}\right\} \geq 5^{x}\left\{ 1-\left( \frac {2}{5}\right) \right\} $$
$$5^{x}\left\{ 1-\left( \frac {2}{5}\right) \right\} =5^{x}\times \frac {3}{5},\lim _{x\rightarrow \infty }5^{x}\times \frac {3}{5}=+\infty $$
よって追い出しの原理より、
$$\lim _{x\rightarrow \infty }\left( 5^{x}-2^{x}\right) =+\infty $$
はさみうちと追い出しの原理の応用へ
はさみうちの原理は頻出で、数学Ⅲの色々な問題を解く際に必要になってきます。
しかし、先ほども書きましたが挟み方は案外思いつかない事があるので、問題集で数をこなす様にして是非習得して下さい!
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