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執筆者・編集者プロフィール
安田周平
個別指導塾YES/YESオンラインスクール塾長・船場物産株式会社代表取締役社長。
理数・情報系記事とデータサイエンスの為の基本レベルの線形代数等の解説記事を執筆しています。

整数問題の解法整理第2弾

 

今日は前回の整数問題の解法整理(因数分解型)の続編として、

整数条件を活かした絞り込み型と因数分解型との組み合わせ型を解説していきます。

(前回の簡単な復習)詳しくは↑をご覧下さい。

因数分解の公式や基本的な解き方については、右のリンクから確認してください!→「因数分解の仕方(たすき掛け/公式/コツ)まとめ」。

さて、不定方程式というのは条件式の数より変数が多い方程式の事でした。

普通なら解が無数に存在してしまうのですが、「整数」という最強の条件によって、一気に解を絞り込む事が出来るようになります。

絞り込み型

このタイプは、条件式の大小関係や、整数⊂実数を利用して判別式に持ち込む。など沢山の手法があります。

一つ一つ例題を通して習得していきましょう!

(例題1)

$$ \frac {1}{a}+\frac {1}{b}+\frac {1}{c}=1 かつa≤b≤c のとき$$

自然数a,b,cの組をすべて求めよ。

おそらくどの問題集にも類題が載っている超頻出問題です。

 

解き方の流れは、条件式(ここではa≦b≦c)を変形→最大or最小の文字を3つ並べて挟みこみ、文字消去→場合分け→因数分解型に帰着。です

 

まずa≦b≦cを逆数に変形して問題文の

$$\frac {1}{a}+\frac {1}{b}+\frac {1}{c}=1 $$・・・1に近づけます。

 

a,b,cは自然数より、逆数を取ると、$$\frac {1}{c}≤\frac {1}{b}≤ \frac {1}{a}・・・2$$

ここで1、2より$$\frac {1}{a}+\frac {1}{a}+\frac {1}{a}=\frac {3}{a}$$

$$\frac {3}{a}\geq\frac {1}{a}+\frac {1}{b}+\frac {1}{c}=1$$

$$\frac {3}{a}\geq 1\Leftrightarrow 3\geq a\geq 1$$

従って、a=1、2、3

ここでaが1、2、3のそれぞれに場合わけすると、

(ⅰ)a=1 の時、1のaに代入する1/1+1/b+1/c=1 ⇔1/b+1/c=0

これはb、cが自然数であるので矛盾。

(ⅱ)a=2 の時、1のaに代入して

1/b+1/c=1/2・・・3

更に、a≦b≦c から 2≦b≦c

ここまではすんなりと進みます。この後の処理の仕方で迷う人がいるのですが、

「とにかく因数分解型に帰着させる」事を考えます。

b、cは自然数なので3の両辺に2bcをかけて

2b+2c=bc ・・・これは、前回のかたち(無理矢理因数分解)そのままですね!

0= bcー2bー2c ⇔ (bー2)(cー2)=4

2≦b≦c より、0≦(bー2)≦(cー2)

従って、(bー2),(cー2)={1、4},{2、2}

(b,c)=(3,6)(4,4)

(ⅲ)a=3の時 1/3+1/b+1/c=1 ⇔1/b+1/c=2/3

両辺に3bcをかけて、2bc=3b+3c、

ここで前回と同じ様に(無理矢理因数分解で変数の積の係数が1でない時)忘れていたら↓で詳しく解説しています.)

 

2で割って、bcー3/2bー3/2c=0

$$\left( b-\frac {3}{2}\right) \left( c-\frac {3}{2}\right) =\frac {9}{4} と3≦b≦c よりb,cは3,3$$

従って、(ⅰ)〜(ⅲ)より

{a、b、c}={2、3、6}{2、4、4}{3、3、3} //

この問題のバリエーションとして、a、b、cに大小関係が与えられていない場合や

問題の式が等式ではなく不等式で与えられている場合等、様々なパターンがありますが、

基本的な手順は同じなので手許の問題集等で類題を見つけて解いて見て下さい!

(例題2)

a≦b≦c 但し (a、b、c)は自然数とする。この時  abc= a+b+c を満たす(a,b,c)の組を求めよ。

 

この問いも、条件式の大小関係を利用していきます。

abc= a+b+c≦c +c +c ⇔ abc≦3c

0<c より、両辺共にcで割る。(不等式の向きは変化しない)

「ab≦3」と、「a≦b、但し (a、b)は自然数」

から(a、b)の組は(1、1)、(1、2)、(1、3)に絞ること

ができる。

(ここから上3通りを『abc= a+b+c』にそれぞれ代入し、条件を満たすかチェックします)

(ⅰ) 1・1・c=2+c ⇔ c=2+c となり、このようなcは存在しないので、『解なし』。

(ⅱ) 1・2・c=3+c ⇔ c=3 これは題意を満たす。

(ⅲ) 1・3・c=4+c ⇔ c=2 ここでa≦b≦cより、

b=3なので、これも条件を満たさない。

(ⅰ)〜(ⅲ)より、条件を満たすのは、(ⅱ)の時のみだから、

(a、b、c)=(1、2、3)//

まとめと整数シリーズ一覧へ

今日の例題は不定方程式の整数解の絞り込み型2タイプの解説をしました。前回の因数分解型と合わせてよく復習しておいてください。

次回は、特殊解を見つけて、不定方程式の整数解を求める問題の解説記事をupします。

第1回:「不定方程式の解き方1:因数分解利用型

第2回:「今ここです」

第3回:「不定方程式解き方(ユークリッドの互除法利用型)

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今日もお疲れ様でした。

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