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執筆者・編集者プロフィール
安田周平
個別指導塾YES/YESオンラインスクール塾長・船場物産株式会社代表取締役社長。
理数・情報系記事とデータサイエンスの為の基本レベルの線形代数等の解説記事を執筆しています。

軌跡(1):その意味と基本問題の解法

<この記事の内容>:苦手意識を持つ人が非常に多い『軌跡』の基本的な意味や、図示の仕方を学ぶために、2段階の例題を使ってスムーズに理解できるよう解説しました。

2019/08/07(new!):軌跡第二回を作成しました。

軌跡の理解

ここでは、軌跡がどういうものなのか?を理解するための準備問題を紹介し、解いていきます。

導入問題

導入問題1:いまxy座標上に、点A(-3,1)と点B(5,9)がある。

この2つの点と等距離で、なおかつx軸上にある点Pの座標を求めよ。

少し(実際に図をかいて)考えてみてください。

解答解説

さて、以下のような図がかけたでしょうか。

次に行うことは、未知の点Pの座標のうち、わかっていないx座標を適当な文字でおいてあげることです。

(y座標は『x軸上にある』ということから”0”であることが元々わかっています)

ここで、点P(p,0)とおき、問題文の条件より、|AP|=|BP|であることから『三平方の定理』を用います。

点Pの座標(軌跡の導入問題)

 

つまり、「赤色の点線の大きさ=青色の点線の大きさ」であればいいので、計算を進めると・・・

例題1:二点から等距離でx軸上にある点P

(ここでは、二乗のまま計算を進めます。つまり\(|AP|^{2}=|BP|^{2}\))

$$BP^{2}=(5-p)^{2}+9^{2}$$,$$AP^{2}=(p-(-3))^{2}+1^{2}$$

この2つの値が等しい=等距離なので、展開して整理すると

\(p^{2}+6p+10=81+p^{2}-10p+25\)

\(16p=96\)

\(p=6\)

したがって、点Pの座標は(6,0)・・・(答)

軌跡:”条件を満たす”全ての点の集まり

上の導入問題では、点Pが『x軸上にある』という条件があったため、座標が1つに定まりました。

では、その条件を取り除いた場合、点Pはどのように表すことができるのでしょうか?

実際に問題を解きながら、考えていきましょう。

軌跡:導入問題2

導入問題1と同様に点A、点Bを定めた。

このとき、『それぞれの点から等距離である』という条件を満たす点Pはどのような軌跡を描くか。また、その式を求めよ。

解答・解説と軌跡の図示

さて、この問題2では”y座標の条件”、つまり『x軸上にある』という制限がなくなってしまいました。

では、実際に\(|AP|=|BP|\)を満たす様々な”点P”を座標上に描いてみます。

 

 

軌跡へ(例題2)

 

すると、上の黄色の点のように、

条件を満たす点Pは無数にあること

・その点の集合は『直線』になりそうであること(参考:下図)

が分かります。

 

等距離の無数の点が描く軌跡(例題2)

 

では、ここから実際に点Pの軌跡の方程式の求め方を紹介していきます。

step1:点Pの座標を(x,y)とおく

とりあえず、点Pの具体的な座標はわからないので(x、y)とします。

step2:条件式|AP|=|BP|に代入

次に、|AP|=|BP|より、先ほどと同じように(x、y)座標を使って|AP|,|BP|を計算し=で結びます。

\(\sqrt{(x-(-3))^{2}+(y-1)^{2}}=\sqrt{(5-x)^{2}+(9-y)^{2}}\)

両辺>0より、二乗して

$$(左辺)=x^{2}+6x+9+y^{2}-2y+1$$

$$(右辺)=x^{2}-10x+25+y^{2}-18y+81$$

step3:式を整理する→答

(左辺)=(右辺)より、これを整理すると、

$$6x-2y+10=-10x-18y+106$$

$$よって、y=-x+6\cdots (答)$$

つまり、この点Pの軌跡は『傾きが「−1」でy切片が「6」の直線である』ことが分かりました。

まとめと続編へ

・条件を与えられた時、それを満たす点が無数にあるならば上図のように『線』や『曲線』を描きます。(=軌跡)

・これからも様々な軌跡の問題や、二次曲線・複素数平面などの、【図形と方程式】以外の分野との融合問題を追加していきます。

軌跡との融合分野

以下の記事では、条件が1:1ではないときの軌跡について扱っています。

複素数平面(数学3)での軌跡:アポロニウスの円とは

二次曲線(1):円錐と放物線

図形と方程式の関連記事一覧

軌跡の続編

第一回:「今ココです」

>>第二回:「媒介変数(パラメータ)の消去を行う軌跡の問題(入門)

【領域】についてのシリーズは次のリンクよりご覧下さい。

軌跡と領域シリーズ(領域1)領域の意味と具体例をイラストで解説!

領域2:不等式で表された条件を満たす値(線形計画法)の問題と解法

 

図形と方程式の解法・解説記事総まとめ

 

今回も最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

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