万有引力/宇宙速度/ケプラーの法則解説シリーズ(3)

今回は、ケプラーの第一・第二・第三法則と、関係する数学Ⅲの楕円の性質を解説します。

以下の2記事 +この記事でケプラーの法則と万有引力の基礎はバッチリ身につきます!

第一回:第一宇宙速度と万有引力を向心力とする円運動

第二回:第二宇宙速度と万有引力の位置エネルギー

第三回:ケプラーの3法則と楕円<今ココです>

ケプラーの法則導入:楕円の性質(数Ⅲ)

ケプラーの法則の解説に入る前に、簡単に「楕円」について紹介しておきます。

範囲は数学Ⅲの「式と曲線」ですが、理系ならば必須の内容なので

未習の人も目を通しておいてください。

さて、楕円とは<図1>の様な形をした曲線で、

「焦点:F(Focus)と呼ばれる2つの点と、その2点以外の点との(仮に点Rとします)の距離の和が一定である点の軌跡」です。

もう少し簡単に言うと、「FR +F‘R=一定」になる点Rを無数に描いた時に現れる曲線のことです。

ケプラーの法則と楕円1−1

<図1:楕円>

楕円にはいくつか知っておくべき性質があります。

<図1>の楕円が、原点を中心にしているとすると、

(aからーa)の方が(bからーb)までの長さより長くなっています。

この時、(a,0),(-a,0)間を長軸、(0,b),(0,-b)間を短軸と言います。

さらに、(a,0)から(0,0)までのことを半長軸、その長さのことを長半径と呼びます。

これはケプラーの法則で頻繁に出てくるので覚えておきましょう。

ちなみに、焦点F,F'の座標はそれぞれ

$$焦点FとF'の座標( ±\sqrt {a^{2}-b^{2}},0) $$

となります。さらに詳しくは数学3「式と曲線シリーズ」で紹介していきます。

ケプラーの第一・第二・第三法則

では、ここからケプラーの3法則をそれぞれ解説していきます。

ケプラーの第一法則(楕円軌道上の運動)

ケプラーの第1法則は、「惑星は、太陽を焦点の一つ(F)とする楕円軌道上を動く」と言うものです。→<図2>

ケプラーの法則と楕円1−2

<図2:ケプラーの第一法則(太陽を焦点の1つとする楕円)>

ブルーで楕円(軌道)上を動いているのが惑星です。

この法則は、地球だけではなく火星や金星、土星など全ての惑星に当てはまります。

ちなみにもう一つの焦点には特に何も存在しません。この第一法則は知識としてもっておいて下さい。

ケプラーの第二法則(面積速度一定の法則)

第二法則は、別名「面積速度一定の法則」ともいい、惑星がケプラーの第一法則の通り運動している時、

単位時間(例えば1秒や1年)で動いた距離と、

太陽を結んだ扇形の面積が常に同じである!と言うことを言っています。

 

ケプラーの法則と楕円1−3

<図3:面積速度一定(角運動量保存則)>

<図3>を見て下さい。

『(ーa)から速度v1で進んだ太陽からの距離がr1の扇型の面積』=『(a)からv2で進んだ太陽からの距離がrの扇型の面積』このように、2つの扇形の面積は同じになります。

また、扇形の面積は単位時間が非常に小さい時、r1を底辺、v1を高さにした三角形の面積に近似でき、同様にr2を底辺、v2を高さにした三角形の面積に近似できます。

これを式で表すと、

$$\frac {1}{2}r_{1}v_{1}=\frac {1}{2}r_{2}v_{2}$$

となります。

この面積が一定である法則(面積速度一定の法則)は同一の惑星で、同一時間(単位時間)運動したものであれば、いつでも成り立ちます。

つまり、惑星が太陽に近いところを通っていればその分速度が大きく、

太陽より遠いところにいるときは速度が小さくなっているのです。

(もし太陽に近いところで速度が小さければ、扇型の面積はより小さく、遠いところで速度が大きければ面積がより大きくなってしまい、一定にはなりません!)

(+α):高校範囲外になりますが、この面積速度一定の法則は様々な運動で成り立ち、「角運動量保存則」と言う名前がついています。

興味のある人は調べてみて下さい。

ケプラーの第三法則

ケプラーの第3法則とは、惑星の公転周期をT、楕円の長半径をaとした時、

$$\frac {T^{2}}{a^{3}} $$

が常に一定となると言う法則です。

$$\frac {T^{2}}{a^{3}}=k (k=一定)$$

例えば、地球の公転周期は1年、

地球が運動する楕円軌道の長半径は およそ1.5×108(km)

木星の公転周期は11.9年

木星が運動する楕円軌道の長半径はおよそ7.8×108(km)

実際に計算してみると、

地球が3.375

木星が3.351

と、確かにほぼ同じになります。

ケプラー法則と万有引力の確認問題

これまでの「万有引力の法則〜ケプラーの法則」3回のまとめとして、定着用の問題を作りました。

一題で基礎的なことが色々と問えるので、(数字などは違えども)似た問題は超頻出です。

定着問題

今、<図4>の惑星Aを中心に人工衛星が速度v1で円運動している。

その後、周回軌道上の点Pで衛星を速度vpまで加速させると、

青色で示したAを焦点の一つとする楕円軌道上を運動し始めた。

万有引力定数をG、惑星Aの質量をM、人工衛星の質量をm、惑星の半径をR、とするとき

問1:人工衛星の速度v1を求めよ。

問2:加速後の点Pでの速度vpはv1の何倍かを求めよ。

問3:<図4>上に示した点Qでの人工衛星の速度vqを求めよ。

問4:青色の楕円軌道の周期T‘を求めよ

ケプラーの法則と楕円練習

<図4:ケプラーの法則まとめ問題図>

解答解説

問1:惑星Aを中心とする円運動

見直したい人は「第一宇宙速度と万有引力を向心力とした円運動」を読んでみて下さい!

<図4>より、惑星の半径がRで、円軌道の直径が4Rなので、

万有引力をF(ここでのFはforce:力です。念のため)とした運動方程式が書けます。

$$\frac {GMm}{( 2R) ^{2}}=m× \frac {v^{2}_{1}}{2R}$$

$$\frac {GM}{2R}=v^{2}_{1}$$

$$したがって、v_{1}=\sqrt {\frac {GM}{2R}}$$

問2:ケプラーの法則に本格的に入っていきます。

まず<図4>から読み取れるのは、長半径が5Rで短半径が4R、更に円軌道の直径が4Rである事です。

このタイプの問題の解き方は、「ケプラーの第2法則と、力学的エネルギー保存の式を連立させる」というほぼワンパターンです。

実際に立式していきます。

ケプラーの第二法則(面積速度一定)より、

$$\frac {1}{2}(2R)(v_{p}) =\frac {1}{2}(8R)(v_{q}) ,,,1$$

力学的エネルギー保存則より、

$$\frac {m}{2}v^{2}_{p}+( -\frac {GMm}{2R}) =\frac {m}{2}v^{2}_{q}+( -\frac {GMm}{8R}) ,,,2$$

1式より、vp=4vq ・・・3

2式より、$$\frac {v^{2}_{p}}{2}-\frac {v^{2}_{q}}{2}=\frac {GM}{2R}-\frac {GM}{8R},,,4$$

4式を整理して、$$v^{2}_{p}-v^{2}_{a}=\frac {3GM}{4R},,,5$$

5式に3式を変形した$$v_{q}=\frac {v_{p}}{4}を代入して$$

$$\frac {15}{16}v^{2}_{p}=\frac {3GM}{4R}$$

$$v^{2}_{p}=\frac {4GM}{5R}$$

$$v_{p}=\sqrt {\frac {4GM}{5R}}これでv_{p}が$$

表せたので、(問1)のv1と比べてみると、

$$v_{1}=\sqrt {\frac {GM}{2R}}$$

$$\frac {2}{\sqrt {\frac {5}{2}}}=\frac {2\sqrt {2}}{\sqrt {5}}=\frac {2\sqrt {10}}{5}$$

$$よって、v_{p}はv_{1}の\frac {2\sqrt {10}}{5} 倍である$$

問3:面積速度一定の法則を使います。

これはケプラーの第2法則と、問2で計算したvpからすぐに計算出来ます。

面積速度一定(ケプラーの第2法則)より、

$$\frac {2R×v_{p}}{2}=\frac{8R×v_{q}}{2}$$

$$よって、v_{q}=\frac{v_{p}}{4}$$

$$問2より、v_{p}=\sqrt {\frac {4GM}{5R}}だから$$

$$v_{q}=\sqrt {\frac {GM}{20R}}$$

問4:ケプラーの第三法則の総まとめ問題

 ケプラーの第3法則とは、

$$\frac {惑星の公転周期Tの2乗}{楕円の長半径aの3乗} でした。$$

これをを利用します。

円には長半径はありませんが、ふつうに半径を代入して問題ありません。

$$\frac {T^{2}}{(2R) ^{3}}=\frac {( T') ^{2}}{( 5R) ^{3}}$$

$$⇔\frac {125T^{2}}{8}=(T') ^{2}$$

元々の円運動の周期は右の式で表せるので、$$T=\frac {2π( 2R) }{v_{1}}$$

$$\frac {125}{8}× ( \frac {4π R}{v_{1}}) ^{2}=( T') ^{2}$$

$$ここで、v_{1}=\sqrt {\frac {GM}{2R}}より$$

$$\frac {125×16π ^{2}R^{2}}{8× \frac {GM}{2R}}=( T') ^{2}$$

$$⇔ \frac {500\pi ^{2}R^{3}}{GM}=( T') ^{2}$$

$$⇔ T'=10\pi R\sqrt {\frac {5R}{GM}}$$

よって、$$T'=10\pi R\sqrt {\frac {5R}{GM}}$$が答えになります。

万有引力、ケプラーの法則、宇宙速度シリーズのまとめ

これまで見てきた様に、高校物理で出てくる万有引力やケプラーの法則の問題は、

一見すると難しそうですが、ある程度パターンが決まっています。

上の確認問題が4つができれば、かなり基礎は固まっているので、

あとは類題を見つけて解いて行って下さい。

(難関大学でなければ、過去問にそのまま繋げることも可能です)

宇宙速度シリーズ一覧&関連記事

第一回:第一宇宙速度と万有引力を向心力とした円運動

第二回:第二宇宙速度と万有引力の位置エネルギー

第三回:ケプラーの3法則<今ココ>

<難関大/学部を目指す人へ>

この単元は良く単振動との融合問題が出題されます。

更に上を目指すなら、→「単振動を徹底解説」で通常の単振動の解き方と、

微積分を使った説明を載せています。ぜひご覧ください。

 

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