漸化式の解き方第三回
今回は、\(A_{n+1}=A_{n}+(nの式)\)で出題される、階差数列帰着型の漸化式の解き方を解説しました。
以前の漸化式シリーズは↓
総まとめ:「漸化式の解き方全パターンまとめ」
第二回:等比数列へ帰着型の漸化式の解き方
番外編:数列の和とΣ記号の意味と公式
目次(タップした所へ飛びます)
階差数列帰着型漸化式の解き方
・階差数列のおさらい
・今回の漸化式の良くあるカタチ
・階差数列帰着型の実例
・この漸化式の解き方
階差数列のおさらい
さて数列の漸化式の解き方第一回:等差/等比/階差数列でも解説しましたが、
一応簡単に階差数列についておさらいをしておきます。
ある数列 Anを並べた時に隣の項の関係が分からない時、
その項の差をとってみて、その項の差が数列になっている時、これを「階差数列」と呼びます。
例)An=1、5、13、25、41・・・だと一見規則が見えません。
ここで An間の差を取ると、4、8、12、16・・・と初項4、公差4の等差数列になっている事がわかります。
このような数列の事を「階差数列」と言うのでした。
今回の漸化式でよく見るカタチ
An+1=An+n+1
の様にAn+1= An +(nの式)になっていれば、今回紹介する方法で漸化式を解くことができる事が多いです。
階差数列帰着型の具体例
実際にどの様な漸化式なのか見ていきます。
\(例1)a_{n+1}=a_{n}+6n+3,a_{1}=2\)
\(例2)a_{n+1}=a_{n}+n^{2}+3n+1,a_{1}=4\)
\(例3)a_{n+1}=a_{n}+3^{n},a_{1}=5\)
これらの漸化式は全て階差数列の解き方で解く事が出来ます。
実際に、(例1)をA1から並べてみると、2、11、26、47・・・の隣項間の差は9、15、21、と【初項9、公差6の等差数列】{bn}になっており、階差数列と同じカタチをしています。
このタイプの漸化式の解き方
(※)ここからはシグマ公式を使うので、あやふやな人は
こちらから知識をかためておいて下さい→「数列の和とΣ公式を成り立ちから解説!」
An+1=An+(nの式)→階差数列帰着型とみて、
$$a_{n}=a_{1}+\sum ^{n-1}_{k=1}bk$$
ただし、n≧2。
(階差数列{bn}をbkにした式)として解きます。
最後に初項で成立するか絶対にチェック!(理由)
(※)このタイプでは、一般項を求めた後に初項がその式を満たしているか必ずチェックして下さい!
理由:Σ[k=1]から[nー1]まで足すことで一般項を求めているので、n=1の時は計算できない。
(n=1の時k=1から0番目まで足すことになり、Σが成立しない為)
そこで、一旦nが2以上の場合で漸化式を解いたのち、一般項にn=1を代入して、
その値が与えられている初項と同じであることを確認する必要があります。
では具体例1〜3を使って実際に解いていきます。
例題1
$$a_{n}=2+\sum ^{n-1}_{k=1}( 6k+3) $$
より、シグマ公式を使って、
$$a_{n}=2+\{ 6\times \frac {( n-1)(n) }{2}\} +3( n-1) $$
\(=2+3(n^{2}-n) +3n-3\)
\(よって、a_{n}=3n^{2}-1\)
この時、\(a_{1}=2と、確かにa_{n}=3n^{2}-1\)を満たしているので、一般項「an=3n2-1」は全ての項で成立する。
(例2)
$$a_{n}=4+\sum ^{n-1}_{k=1}( k^{2}+3k+1) $$
ここで、シグマ公式を使って、
$$a_{n}=4+\frac {(n-1)(n)(2n-2+1) }{6}+$$
$$3× \frac {(n-1)(n)}{2}+(n-1) $$
$$a_{n}=\frac {24+( n^{2}-n)( 2n-1) +9( n^{2}-n) +6n-6}{6}$$
展開して整理していきます。
\(a_{n}=\frac {24+2n^{3}-3n^{2}+n+9n^{2}-9n+6n-6}{6}\)
$$a_{n}=\frac {2n^{3}+6n^{2}-2n+18}{6}$$
$$よって、a_{n}=\frac {n^{3}+3n^{2}-n+9}{3}$$
同様にして初項を確認すると、a1=6だから全ての項で$$a_{n}=\frac {n^{3}+3n^{2}-n+9}{3}$$を満たしています。
(例3):例1,2との違い:階差数列{bn}が等差数列ではなく、等比数列になっている点だけ
従って\(3^{n}をb_{1}=3、r(公比)=3\)の等比数列
として計算していきます。
$$a_{n}=5+\sum ^{n-1}_{k=1}( 3^{k}) $$
ここで、等比数列の和の公式$$s_{n}=\frac {a_{1}( r^{n}-1)}{r-1}を使って、$$
$$a_{n}=5+\frac {3( 3^{n-1}-1)}{3-1}=5+\frac {3^{n}-3}{2}$$
$$よって、a_{n}=\frac {3^{n}+7}{2}$$
同様に、n=1の時を確認すると、a1=5を満たしています。
まとめと続編へ
この様にして An+1=An +(nの式)型の漸化式は解くことが出来ます。
•もう一度注意!最後に一般項が初項でも成り立つかのcheckは必ず行ってください!
次回は、数列の漸化式の解き方シリーズ
第四回、Sn(数列の和)の式から一般項{An}を作るタイプを扱います。