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熱化学を0から学べるシリーズ2~熱化学方程式~

 

前回「熱化学が0からわかる!(1)導入編」では、熱化学の範囲では一体どのような問題が出題されるのか、という話題から始め、熱が発生する理由(結合エネルギー)についても見てきました。

今回はいよいよ熱化学のメインとなる「熱化学方程式」について解説します。

「熱化学方程式」は一見とても単純に見えるのですが、気を付けないとうっかりと間違えてしまうようなポイントがいくつかあり、今回はそういったミスを起こさないように気を付けるべきポイントを強調しながら解説していくことにします。

熱化学方程式とは?

熱化学方程式とは、ある化学反応によって生じる熱を表すための式です。

一つ例を挙げてみましょう。

NaOH(固)+HClaq = H2O(液)+NaClaq+56.5(kJ)

上の式は塩酸に固体の水酸化ナトリウムを加えた時に起こる、中和反応に伴う“中和熱”を表した式です。

右辺に生成された"水"と"塩化ナトリウム"とともに、「56.5kJ」という表記がなされています。これが中和熱です。

(*塩酸について:塩酸は塩化水素HClを水で薄めたものです。良く引っかけ問題で出題されるので、注意しておきましょう。)

熱化学方程式と化学反応式の違い

さて、熱化学方程式の例を挙げましたが、まずはなんといっても化学反応式と混同しないことが大切です。

受験生としての経験を積んでいくほど「それくらい大丈夫だろう。」と思ってしまいがちですが、

ミスをしないように今一度確認しておきましょう。

1. 右辺と左辺をつなぐのは「=」である

これは最も受験生がうっかりミスをしやすいポイントなのではないでしょうか。一般的な化学反応式は左辺と右辺を「→」でつなぐのですが、熱化学方程式「=」で両辺をつなぎます

(数学でも”方程式”はx2+3x+2=0 のように右辺と左辺を”=”イコールで結びますね?)

初歩的な部分なのですが、熱化学方程式を回答欄に書く際に両辺を「→」でつないでしまったがゆえに、0点となってしまう場合も十分に考えられます。細心の注意を払うようにしましょう。

2. 熱化学方程式の係数は物質量(mol)を表す

これは少しイメージが湧きにくいポイントかもしれません。

一般的な化学反応式では、係数は各々の物質の粒子(原子や分子、イオン、電子e-など)の数の関係を、最も単純な比で表しています。

そのため化学反応式の各係数は小数や分数ではなく、必ず整数にしなければいけません。

一方で、熱化学方程式での係数の役割は、各々の物質の物質量(mol)を表します。

結果的には物質間の比を表しているのですが、必ず「係数は物質量である」と覚えておきましょう。

この理由は、熱化学方程式というものは、もともと基準となる物質1molに関する反応によって生じた熱量を表すための式であるからです。

(例;中和熱なら水が1mol発生する事を基準にします。)

3. 熱化学方程式では物質の3態を表す必要がある。

一般的な化学反応式とは異なり、熱化学方程式では物質の3態、

すなわち固体、液体、気体のいずれかに属しているのかを記述する必要があります。

例えば、固体の水酸化ナトリウムの場合には、「NaOH(固)」のような形で記述します。

具体的には、固体の場合は(固)、液体の場合は(液)、気体の場合は(気)を物質の末尾に記すようにします。

さらに、”aq”という表記も今後でてきます。これはaqua(アクア=水:ラテン語由来です)の意味で、熱化学方程式で使う際は、”多量の水(溶媒)”の意味です。

物質の液体である状態を表す(液)や、H2Oと混同しやすいので、十分注意しましょう。

なぜ物質の状態を記述するか

ではなぜ、同じ物質であるのに状態を書くのでしょうか。

それは、個体・液体・気体の3つの状態が異なることで、

保持しているエネルギーも違ってくるためです。<参考記事:「状態図の見方と物質の3態」>

まだいまいちピンとこないという方も、

このシリーズが進むに連れてのエネルギー図による説明を読むとより理解しやすいでしょう。

<第4回の記事で、熱化学の範囲に登場する全てのエネルギー・熱について解説しています>

→「熱化学(4)6種類の熱と3種類のエネルギーそれぞれを紹介!

簡単なイメージを挙げておくと、高温の水蒸気は水分子が超高速で動き回っています(これは運動エネルギーが非常に大きい状態です。)。

一方で、氷(凝固した水分子)はほとんど動くことなく、当然運動エネルギーもはるかに小さくなります。

このように、同じH2Oでも持っているエネルギーに差があるので、後ろに(状態)を記しておく必要があるのです。

水の生成反応で違いを確認

最後に、水の生成反応(水素と酸素から水が生成される)を例に挙げて、

熱化学方程式と化学反応式の違いを見ていることにしましょう。

化学反応式
$$2H_{2}+O_{2}→2H_{2}O$$

熱化学方程式
$$H_{2}(気)+\frac {1}{2}O_{2}(気)= H_{2}O(液)+283(kJ)$$

両辺をつなぐものが「=」になっており、また基準となる物質である、H2O(液)を1molとした式になっていることがわかるでしょうか。(H2Oを1molとしたため、帳尻を合わせる為に、Oの係数が1/2になっています)

また、物質の三態に関しても明記されています。

このように、化学反応式と熱化学方程式では全く別物であり、

それぞれの違いを即座に答えられるようにきちんと理解しておきましょう。

熱化学シリーズ(2)今回のまとめ

さて、今回は熱化学方程式とはどのようなものなのかについて、特に化学反応式との違いに主眼を置きつつ見てきました。特に以下の点をしっかりと頭に入れておいてください。

・熱化学方程式は基準となる物質1(mol)あたりの反応熱を表す式である。

・化学反応式の「→」と異なり、両辺を「=」でつなぐ。

・熱化学方程式の係数はそれぞれの物質の物質量(mol)を表しており、分数で表記されることもある。

・熱化学方程式では物質の3態を記述する。

熱化学(高校理論化学)が0からわかるシリーズ一覧

・第一回:「熱化学とは?(1)〜シリーズのイントロダクション〜

・第二回:「今ココです」

・第三回:「エネルギー図の書き方が分かる!知っておくべき5つのこととは

・第四回:「3種類のエネルギーと6種類の熱を徹底解説

・第五回:「(作成中)」

 

ご覧いただきありがとうございました。関連記事をぜひ引き続きご覧ください!

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