剰余類が今回のテーマです
<この記事の内容>:高校数学A「整数」分野で登場し、以下の記事で紹介した「閃き・センス不要!整数攻略の3道具」の3番目である”剰余類”を詳しく見ていきます。
・「剰余類」の意味と例
・実際に使ってみよう
・余りに関する証明問題
・分類をショートカットする為の小技
・剰余類と合同式
「剰余類」の意味と例
「剰余類という言葉は聞いたことがあるけど、よく意味は分かっていない」という人や、「意味は知っていても実際にどの様な時にどう使うのか知りたい!」といった人達に向けて今回は、初めから解説していきます。
剰余類とは
簡単に説明すると、ある数で整数を割った余りが同じグループ(類)のことで、「ある数を法とする剰余類」という風に言います。
もう少し具体的に見てみましょう。
(具体例)整数Nを5で割ったとき
余りは1、2、3、4、0(割り切れる時)のいずれかなので、余りに注目して分けると、kを整数として
N=5k +1
N=5k +2
N=5k +3
N=5k +4
N=5k(+0)
にグループ分けできます。
それぞれNを5で割った余りが同じグループなので、「5を法とする剰余類」と言います。
また、この様なグループ分けを「剰余類に分ける」と表現します。
剰余類に分ける方法を実践する
では、剰余類に分けることをどの様に使うのか、簡単な問題を使って見ていきます。
(例題1)
整数nについて、\(n ^{2}\)を5で割った時の余りが全て
0、1、4のいずれかである事を証明せよ。
解答解説
nは無数にあるので、全てのn ^2を5で割って確認することはできません。
この様な時に剰余類の考え方が役に立ちます。
先ほど上で解説した、5を法とする剰余類に分けると、全てのnは、k(整数)を使って
n=5k
n=5k +1、
n=5k +2、
n=5k +3、
n=5k +4 と表せます。
分類をショートカットする小技
これから、実際にn ^2に代入して確かめていくのですが、5つを代入するのは少し大変です。
そこで、以下の様に書き換えます。
n=5k、n=5k±1、n=5k±2・・・(#1)
何故この様にまとめられるのでしょうか?
n=9の時を考えてみましょう。
n=5・(1)+4 とも表せますが、
n=5・(2)-1でも同じくn=9を表せていますね!
つまり、
n=5k+4 はn=5k-1に
n=5k +3はn=5k-2 と置けるのです。
すると、代入する値は「±」を使うことで(#1)の3つに減るので計算が楽になります。今後頻繁に使うので、ぜひ覚えておいて下さい。
証明問題での剰余類の利用
問は「\(n^{2}\)の余りが、0、1、4である事を示せ」
だったので、\(n^{2}\)に(#1)をそれぞれ代入して
(a):\( (5k±1)^{2}=25k^{2}±10k +1\)
右辺を5でくくると、\(5(5k ^{2}±2k) +1\)
【\(5(5k^{2}±2k)\)】の部分は5でくくれる=5で割り切れるので、
余りは1になります。同様に、
(b):\((5k±2)^{2}=25k^{2}±20k +4\)
\(5(5k^{2}±4k) +4\)
よって余りは4です。
(c):\((5k)^{2}=25k^{2}\)
\(5(5k^{2})\)
この場合は割り切れるので余りは0です
従って(a)〜(c)より全ての整数nについて\(n^{2}\)を5で割った余りは0、1、4のいずれかになる。(了)
剰余類と合同式
上の問題で剰余類の考え方を使いましたが、他の問題でも使い道は沢山あります。その前に、「合同式」を紹介しておきます。
剰余類も合同式も「余りが共通のものを主役にする」という意味で同じで、扱いやすくするために合同式を使う事が多いです。
そして、合同式は場合分けするには数が大きすぎたり、個数が多いときなどに大いに活躍します。
詳しくは「合同式を使っていますか?」をご覧下さい。
次回は、剰余類を使った証明問題を更に紹介します。
今回も最後までご覧いただき有難うございました。
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