常用対数と桁数・最高位の数字を求める解法
この記事では、対数の応用問題として頻出の常用対数を利用した、「桁数の求め方」と「その最高位の数字の求め方」を解説していきます。
(対数の復習を前半で行なっているので、指数・対数の知識が曖昧な人でも理解できます)
目次(タップした所へ飛びます)
(常用)対数とは
本題に入る前に簡単に対数(と常用対数)の性質をおさらいしておきます。
(指数・対数について詳しくは→「指数/対数とは?知識0から解説!」)
$$\log _{A}B$$
の Aをその対数の底と言い、対数の底はA>0、 A≠1である必要があります。
またBの事を真数と言い、B>0の条件(真数条件)があります。
$$この\log _{A}Bの意味は、$$
Aを◯乗すればBになる数がある時、
$$◯=\log _{A}B$$と表しているのです。
もう少し具体的に説明すると、
A=2、B=8とするならば、$$2を\log _{2}8乗すれば8になる。$$
$$すなわち、2^{\log _{2}8}=8 と 2^{3}=8 を比べると\log _{2}8=3$$
実際の問題ではこの様にきれいな数字が出てくることは少なく、
上の例の様に、暗算で3などと分からない場合がほとんどです。
そのような時に$$◯=\log _{A}B$$とおいておく事にしたわけです。
これが対数の基本的な考え方です。
特に対数の底が”10”の時は”常用対数”、対数の底が”e(ネイピア数)”の時は”自然対数”と言います。
自然対数は数学Ⅲで非常によく使う事になります。
更に、対数の重要な性質として、「対数の真数の掛け算は対数同士の足し算」&
「真数の割り算は対数同士の引き算」に出来ると言うものががあります。以下参照。
$$(例)\log _{A}10=\log _{A}(2×5) =\log _{A}2+\log _{A}5$$
常用対数の特徴
常用対数は上のおさらいでも見た様に、底が10である事から、
「桁数(=10のn乗)」を求める時に非常に相性が良いです。
log10Bは【10を何乗すればBになるか】を表した数なので、
10進法で桁数を問われた場合には「とりあえず常用対数をとって」、その値を求める事が定石です。
<参考:「n進法と10進法の変換&四則演算」>
常用対数の利用(桁数の求め方)
百聞は一見にしかず。実際に例題を通して常用対数の使い方を見ていきましょう。
なお、常用対数の値を求めるにあたって、具体的な対数の値は本文に必ず与えられています。
$$(しかもその殆どが \log _{10}2= 0.3010、\log _{10}3= 0.4771 です)$$
(例題1):326の桁数を求めよ。
ただしlog 102= 0.3010、log 103= 0.4771 とする。
まず常用対数を取ります。
$$\begin{aligned}\log _{10}32^{6}=6\log _{10}32\\
⇔ 6\log _{10}2^{5}=30\log _{10}2\end{aligned}$$
$$ここで、30× \log _{10}2= 30× 0.3010=9.03$$
従って10を (log10(32^6)乗)=(9.03 乗)したものが326なので、
$$9<\log _{10}32^{6}<10より、$$
$$\log _{10}10^{9}<\log _{10}32^{6}<\log _{10}10^{10}$$
109<326<1010
ゆえに、326=◯×109.03
従って、10桁//
<補足:整数分野のn進法のところでも「桁数」を求める問題が出題されます。ぜひ確認しておきましょう→「n進数での桁数を求める応用問題の解法」>
常用対数と最高位の数
次に常用対数を利用して、最高位の数字を求めてみます。
最高位とは?
「最高位」という言葉の意味について簡単に解説しておきます。
(質問が多いので、、理解している方は下の例題へskipしてください)
最高位とは、文字通りある数の一番上(最高)の数字です。
(例:349021なら最高位の数字は「3」ですし、234ならば最高位の数字は「2」です。)
最高位の数字を求める方法
最高位の数字は、桁数を求める際に注目する10のn乗の小数部分に着目します。
(例題2):1525の最高位の数字と桁数を求めよ。
ただしlog102= 0.3010、log 103= 0.4771 とする。
(解説2):まず常用対数を取ります。
log101525=
$$15を何とか2と3(条件の\log _{10}2=0.3010 $$
$$と\log _{10}3=0.4771 より)及び10( \log _{10}10=1)で$$
作る様にするのがpointです。
$$\begin{aligned}\log _{10}15^{25}=25\log _{10}15\\
= 25\log _{10}( 3× 10\div 2) \end{aligned}$$
<真数の掛け算/割り算は対数同士の足し算/引き算>だったので、
$$\begin{aligned}25\log _{10}( 3× 10\div 2) \\
= 25( \log _{10}3+\log _{10}10-\log _{10}2) \end{aligned}$$
= 25( 0.4771+1-0.3010)
$$よって\log _{10}15^{25}=29.4025$$
ここで1525は10を29.4025乗した数なので、桁数は例題1と同様にして、
29<log 101525<30より、
$$log _{10}10^{29}<log _{10}15^{25}<log _{10}10^{30}$$
従って、1029<1525<1030より、30桁・・・(答)と求まります。
なぜ最高位の数字が求まるのかをイメージする
次に最高位の数字は、「29.4025乗の0.4025の部分」に注目します。
1525= 1029.4015= 1029× 100.4015
と表せるので、100.4025が最高位の数字になります。
・【理解を助けるイメージ】:3× 1029なら30桁で最高位の数字は3になる事と同様です。
この問題では、イメージの3の部分が100.4025となっているだけです。
従って100.4025の値を求めればよいのですが、当然、直接計算出来ないので、
不等式で挟んで評価してみます。
今与えられている数字は真数が2と3の常用対数の数値:
log 102= 0.3010、と、log103= 0.4771
だけなのでこの2つを活用します。
$$10^{0.3010}<10^{0.4025}<10^{0.4771}$$
より、2<100.4025<3
よって100.4025は、2より大きく3未満なので、最高位の数字は2。
【解答2】以上をまとめて桁数は「30桁」最高位の数字は「2」が答えとなります。
まとめと指数・対数の関連記事
今回の内容は、入試でも頻出なだけでなく、
対数の性質や問題の解き方・考え方など、大切な要素がたくさん詰まっているので、
是非習得する様にしておいて下さい!
<関連記事:「指数・対数の基本と指数・対数方程式の解き方」>
<関連記事(続編):「指数・対数不等式の解法と相加相乗平均との融合」>
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