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執筆者・編集者プロフィール
安田周平
個別指導塾YES/YESオンラインスクール塾長・船場物産株式会社代表取締役社長。
理数・情報系記事とデータサイエンスの為の基本レベルの線形代数等の解説記事を執筆しています。

理論化学(気体分野)状態方程式

 

今回のテーマは理想気体の状態方程式です。理論化学/気体分野の入り口です。

理想気体の状態方程式

理想気体の状態方程式とは、PV=nRTで表される式です。

ここでのPはpressure(圧力):単位(Pa)

VはVolume(体積):単位(L)

nは物質量:単位(mol)

Rは気体定数:単位(Pa・L/K・mol)※あとで導出します。

TはTemperature(絶対温度):単位(K)ケルビン。

(絶対温度Kを使うので、摂氏℃と間違えないように注意が必要です!)

を結びつけたものです。

「理想気体の」が付いている理由は、現実の気体は体積や分子間力を持つ事によってこの式が成立しないからです。(次回詳しく扱います!)

ボイルの法則/シャルルの法則を導く

因みに物理の熱力学や化学でもよく使う、「ボイル=シャルルの法則」や「ボイルの法則」、「シャルルの法則」は全て状態方程式より導出する事が出来ます。

ボイル・シャルルの法則

PV=nRT   この式で、不変なもの(定数)はnRなので、Tで両辺を割ると$$\frac {PV}{T}=nR=定数$$

$$ここから、\frac {PV}{T}=一定=\frac {P’V’}{T’}$$

これでボイル=シャルルの法則が導けました。

ボイルの法則

次にボイルの法則をボイル=シャルルの法則から導きます。

$$\frac {PV}{T}=\frac {P’V’}{T’}$$

上のボイル=シャルルの法則の絶対温度T(K)も不変の場合、Tを払って、PV=P’V’   、とボイルの法則が導けます。

シャルルの法則

また、体積一定の時ボイル=シャルルの法則$$\frac {PV}{T}=\frac {P’V’}{T’}$$のV(L)を両辺から割ると、$$\frac {P}{T}=\frac {P’}{T’} $$

上記のようにシャルルの法則が導出できました!

気体定数Rの求め方

気体定数R:単位(Pa•L/K•mol)この、一見するとヤヤコシイ単位が付いた気体定数Rを。

状態方程式を変形させて求めてみましょう。

まずR=の形にする為に、PV=nRTの式の(右辺)にRを残してあげると、

$$\frac {PV}{nT}=R$$

(標準状態)では、物質量n=1(mol)の時、

・圧力P=1013hPa(h:ヘクトという単位で100を意味します。つまり1013×100Pa)、

・V=22.4(L)、

・T=0(℃)=273(K)の条件で考えるので、

$$\frac {PV}{nT}=R$$に上の条件を代入すると

$$\frac {1.013×10^5×22.4}{1×273}=R$$

左辺を計算すると、気体定数Rの値はおよそ、

R=8.31×103と求まります。

非常に重要な定数なので、導出法はかならず理解しておく様にしましょう。

状態方程式を密度で表す

基本的に状態方程式はPV=nRTの形で使う事が多いですが、

モル数=質量w/物質量Mの関係を利用して、→ n(mol)=w(g)/M(g/mol)

この式をPV=nRTのnに代入して

$$PV=\frac {wRT}{M}の形で使ったり、$$

あるいは密度d(g/L)を使って

$$d=\frac {w}{V}より、PV=\frac {wRT}{M}に代入して$$

$$ P=\frac {dRT}{M}$$更に変形して、

PM=dRT

などとして使いこともあります。これらは覚えるのではなく

単位に注目して必要な場面ですぐ導く事ができる様にしておきましょう。

状態方程式を利用する確認問題

ここからは基礎レベルの確認問題を通して、

上のいろいろな形で表された状態方程式を自在に使いこなせる様にして行きます。

※第1問〜第3問に於いて、気体定数R=8.31•10^3とする。また、有効数字二桁で答えよ。

第1問:PV=nRTを使う確認問題

窒素56gを温度は127℃、5Lの容器に入れた時の容器内の圧力P(Pa)を求めよ。

第2問:分子量を状態方程式を使って求める(密度の利用)

27℃で密度d=5(g/L)である気体を、10Lの容器に入れた時、

容器内の圧力は2.5×105(Pa)であった。

この気体の分子量M(g/mol)を求めよ。

第3問:密度を状態方程式で求める

分子量Mが32の気体の温度が27℃で、容器内の圧力が7.5×105(Pa)であった。

この時の容器内の気体の密度d(g/L)を求めよ。

解答解説

 

第1問:PV=nRTの確認

これは、窒素のmol数が分かれば後は状態方程式の基本形を覚えているかだけの問題です。

窒素N2の分子量は28だから、28g/molより問題文の窒素は56/28=2mol

温度が摂氏で表されているので、絶対温度ケルビンに変更します。

127(C°)+273=400(K)

よって、PV=nRTにそれぞれ代入すると、

P×5=2×(8.31×103)×(127+273)

P=1329600

P≒1.33×106で、有効数字二桁より

答え:1.3×10^6(Pa)//

第2問:密度→分子量を求める

第2問は基本の形(PV=nRT)から(M=)の形に変化させる練習問題です。

PV=nRTの基本式を変形して

$$PV=\frac {w }{M}RT$$

$$p=\frac {wRT}{VM}$$

w/V=d(質量/体積=密度)より、

$$P=\frac {wRT}{MV}⇔ \frac {PM}{RT}=\frac {w}{V}=d$$

$$\frac {PM}{RT}=d$$

より最後の式に各々代入して、

2.5×105(Pa)× M/8.31•103(Pa•L/K•mol)×(27+273)=5(g/L)

これを計算していきます。

M=49.86より

分子量M=5.0×10(g/mol)

第3問:密度を求める

これは第2問で導いた式をそのまま利用します。

$$\frac {PM}{RT}=dを使って$$

圧力P=7.5×105 (Pa),分子量M=32(g/mol),R=8.31×103(Pa•L/K•mol),T=27+273(K)

上の各々の値を代入して計算すると、80/8.31=9.62,,,

有効数字二桁で答えて

密度d=9.6(g/L)

まとめと次回予告

今回の確認問題3問と式変形を習得すれば、

状態方程式を“道具”として自由自在に使える様になっているはずです。

実際の入試問題は、ただ計算させるだけの問題はほとんど無く、

色々な解法や公式を組み合わせて解いていく必要が出てきます。

だからこそ、途中の計算でミスする事は許されないので、

きっちりと復習(特に式変形の部分)しておきましょう。

次回の理論化学/気体分野は、「理想気体ではない」、

より現実的なファンデルワールスの状態方程式と、そのグラフetc...を紹介していきます。

関連記事:「飽和蒸気圧曲線と状態図の見方」、「蒸気圧降下と沸点上昇・凝固点降下の仕組み

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