場合の数/確率と対数の融合問題

前回に引き続き、頻出ジャンル問題の解法整理と演習を行っていきます。

難関大数学において、「場合の数と確率」分野はそれ単体で出題されるよりも他分野との融合問題として出題される事が多いです。

最も多いパターンは「場合の数と確率」と「数列」の融合ですが、今回は別のパターンとして「常用対数」との融合問題を取り上げたいと思います。

常用対数のおさらい

問題の前に、常用対数について少し知識をまとめておきましょう。

常用対数は底が10の対数であり、それ故に10進法と相性が良いので、非常に大きな数や非常に小さい数の桁数を求める時によく使用されます。

常用対数の使い方は→「常用対数を使って桁数、最高位の数字を求める方法」で詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。

(例題)

$$2^{100}は何桁の数か。但し \log _{10}2 = 0.3010 とする。$$

(略解)

$$ 2^{100}の常用対数を取ると、\log _{10}2^{100}=100\log _{10}2$$ $$100\log _{10}2= 100\times 0.3010= 30.1$$

$$従って、30\leq \log _{10}2^{100} <31$$

よって31桁。

では本題に進みましょう。

 

確率と対数の融合問題

ボタンを押すと「あたり」か「はずれ」のいずれかが表示される装置がある。「あたり」の表示される確率は毎回同じであるとする。

この装置のボタンを20回押した時、1回以上「あたり」が出る確率は36%である。1回以上「あたり」の出る確率が90%以上になるためには

この装置のボタンを最低何回押せばよいか。必要なら0.3010<log102<0.3011を用いてよい。        2016年 京大文系数学大問2

 

この問題の様に、「当たり」か「ハズレ」かどちらかしか起きない様な試行をベルヌーイ試行と言い、他にもコインの「オモテ」と「裏」等々があります。

この試行について発展的な興味のある人は、後で→ネイピア数ってなんの為にあるの? を読んでみて下さい。意外な形でeが登場して面白いです。

 

さて、本題に戻ります。問題文には直接は書かれていませんが、「1回以上」と言う事は「少なくとも一回以上」と読み替える事が出来ます。

「少なくとも」が場合の数・確率で出て来たらほぼ必ず「余事象」を使います。

step1 「少なくとも」と読み替える事が出来たら「余事象」を使う!

 

余事象の考え方は、直接その確率を求めにくい時に、それ以外の確率を求めて全体;1(100%)から引くと言うものでした。

今回は、条件として「20回ボタンを押した時(以降ボタンを押すことを試行と書きます。)、1回以上当たりが出る確率が36%=0.36」

が与えられているので、これを余事象を使って表します。

ここで、ハズレ」が出る確率をaと置きます(0<a<1)

なぜ「ハズレ」の方を文字式で表すか、少し上の余事象の考え方の所を見てみて下さい。〜それ以外の確率を〜とあります。

「少なくとも1回当たる」以外なので全て外れる確率を求めて全体から引くからです。

(1ーa20)=0.36   ・・・#1  #1で20回試行した時に1回以上当たりが出る確率を式で表す事が出来ました。

step2  次に問われている内容を確認します。「最低何回のボタンを押せば90%以上の確率で1回以上当たりがでるか?」

またしても「最低」、「1回以上」と言うワードが出て来ました。これはstep1と同様「事象を使うシグナル」です。

 

コラム:「解法暗記」よりも「読解数学」

前回の整数問題でもそうでしたが、確率や整数問題を難関大が好むのはこの様なシグナルを見落とさないか?

また、問題文をしっかり読解できているか?を確認したいと言うメッセージが込められているのではないかと筆者は考えます。

(理系にも二次試験で国語を課す大学は確率・整数をよく出します。偶然でしょうか?)

 

$$本題に戻ります。step2の文を数式に翻訳すると、1-a^{n}\geq 0.9・・・#2 となります。$$

$$#1より、a^{20}=0.64 ⇔ a=(0.64)^{1/20}  ⇔a=(4/5)^{1/10}  ・・・#3と変形できます。$$

$$#2、#3から、 1-\left( \frac {4}{5}\right) ^{\frac {n}{10}}\geq 0.9⇔ 0.1\geq \left( \frac {4}{5}\right) ^{\frac {n}{10}} で両辺常用対数をとって、$$

ここからは対数計算をするだけです。

log102が問題文中に与えられているので、logはそれに合わせて変形して行きます

−1≧(n/10)log10(4/5)・・・#4

−10≧n( log104ーlog105)⇔−10≧n{2log102ー(1ーlog102)} ⇔n≧{10/(1ー3log102)}・・・#5

#5と0.3010<log102<0.3011より、103<{10/(1ー3log102)}<103.5

従って、n≧104    よって 最低104回押せばよい。//

 

いかがでしたか?

この問題のポイントは「余事象の利用」、「題意を正しく式で表せるか」、最後に正確な対数計算ができるか。でした。

ほどもコラムで触れましたが

ある程度以上の大学入試になると「問題文を正確に読解し、それを分けて数式に翻訳する」と言う「国語力」が必要になります。

これは一朝一夕で身に付くものではないので、文系はもちろん理系であっても国語、特に現代文を早くから鍛えておく事が大切です。

この記事を読み終えたら、→場合の数と確率の良問総まとめページへ行く

今回も最後までご覧いただき有難うございました。

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※当記事の一部箇所で誤字が御座いました

(既に修正済)指摘頂き有難うございます。2018/04/03/13:10

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