場合の数と確率はここから始まる
さて、この記事を読んでくださっているという事は「場合の数・確率」がよく分からない!
「順列と組み合わせ」とか「区別して」とか何がどう違うのかサッパリ、という状態だと思います。
この分野は、初めにしっかりと言葉の意味を理解できれば、必ず得意になれます。一つ一つていねいに説明していくので、ぜひじっくりと読み進めて下さい。
(場合の数と確率の基礎シリーズ第2回〜第4回まで完成しました。記事の最後からぜひ続けてご覧ください!)
目次(タップした所へ飛びます)
順列と組み合わせってどう違うの?
まず初めにつまずくのはここでしょう。なんとな〜く解いても点が取れてしまったり、逆に色々勉強すればするほど点が取れなくなって行く、そんな特色がある範囲ですが、
ここをおさえれば、安定して得点源になります。
順列とは
「順番に列に並べる場合の数です。」
で分かれば苦労しません。
例をあげて説明して行きます。
今、ボール6個にそれぞれA,B,C,D,E,Fと文字を書いて中が見えない袋に入れます。
その袋から2個ボールを取り出します。そして、取り出した順に
1番目に取り出したボールを1と書いてある箱に
2番目に取り出したボールを2と書いてある箱に
入れます。順番に取り出して、(名前の違う箱に)並べましたね?
では、(1と書いてある箱に入っているボール、2と書いてある箱に入っているボール)を全通り書き出します。(この全通りのことを場合の数と言います)
(A,B),(A,C),(A,D),(A,E),(A,F)
(B,A),(B,C),(B,D),(B,E),(B,F)
(C,A),(C,B),(C,D),(C,E),(C,F)
(D,A),(D,B),(D,C),(D,E),(D,F)
(E,A),(E,B),(E,C),(E,D),(E,F)
(F,A),(F,B),(F,C),(F,D),(F,E)
はい。全通り書きました。(最初にAのボールを取り出し、次にBのボールを取り出す)場合から
(最初にFのボールを取り出し、次にEのボールを取り出す)
場合まで全部足し合わせると30通りになります。
さて、今何をしたでしょう?
順番に(袋から取り出して)、列(1、2とそれぞれ書かれた箱の列)に並べて場合の数を調べました。
かっこ()を読み飛ばしてみて下さい。
順番に列に並べて場合の数を調べました。
次に、上の見出し「順列とは」のすぐ下に書いてある言葉を読んで下さい。
順番に列に並べる場合の数です。
全く同じことを言っています。少しは順列の意味がわかったでしょうか?
最初読んだときは??だった順列の意味も、こうして実際に例を挙げてみると分かりやすくなります。
組み合わせとは
では組み合わせは一体どういうことを言っているのでしょう。
先ほどと同じ状況で考えてみます。すなわち、6個のボールに一つ一つA,B,C,D,E,Fと書き、中の見えない袋に入れて取り出します。
違うのはここからです。1番目に取り出したボールも、2番目に取り出したボールも区別せず、2つボールが入る箱に入れてしまいます。
そうすると、先ほどの順列の場合と違って、2つのボールは同じところに入っているので、どっちを最初に取り出したか分かりません。
「どの組みを取り出したか」しか分かりません。
これが組み合わせの正体です。
では、組み合わせの場合の数(=全通り)を数えてみましょう。順列の30通りのうち、例えば(A,B)と(B,A)は組み合わせでは同じものとして扱います。
なぜなら、「どっちを最初に取り出したか、順番がわからない」からです。すると、
(A,B),(A,C),(A,D),(A,E),(A,F)
(B,A),(B,C),(B,D),(B,E),(B,F)
(C,A),(C,B),(C,D),(C,E),(C,F)
(D,A),(D,B),(D,C),(D,E),(D,F)
(E,A),(E,B),(E,C),(E,D),(E,F)
(F,A),(F,B),(F,C),(F,D),(F,E)
のうち、一つ一つ同じものとして扱う組みを調べていくと、黄色でマークした15通りが、全ての組み合わせになります。
PとCの使い分け
さて、上で順列と組み合わせの違いが理解できたでしょうか。
理解できたらこう思いませんか?「こんなに面倒くさいことを、毎回やってられるか!」
それに応えてくれる素晴らしい方法があります。「PとC」です。
Pとは:Permutation(英語で順列の意味です)
上記の通り、PとCの違いは順列を求めるときに使うのがP、組み合わせの場合の数を求めるときに使うのがCです。
$${}_n P_kとは、n個の中からk個取り出して、$$
列に並べるという意味です。
Pを使えば、先ほどの30通りの計算も一瞬で出来てしまいます。
ただしこの公式を使う前に、「!」という記号を知らないといけません。
(注:読み方は『階乗』です『ビックリ』ではありません。。)
n!=n×(n-1)×(n-2)×・・・3×2×1
つまり、nから1まで、数字を1つづつ引いて掛けていきます。
例えば、5の階乗ならば、5!と書き、5×4×3×2×1を計算します。
よって、5!=120
では、実際にPの計算法を見ていきます、
$${}_n P_k=\frac {n!}{( n-k) !}$$
先ほどの6個から2個を取り出して並べる順列の時で考えると、n=6で、k=2となります。
$$従って、{}_6 P_2=\frac {6!}{( 6-2) !}$$
$${}_6 P_2=\frac {6!}{( 4) !}$$
$$=\frac {6!}{4!}=\frac {6× 5× 4× 3× 2× 1}{4× 3× 2×1}きれいに$$
分母分子から4× 3× 2× 1が消えて、
$$\frac {6!}{4!}=6× 5=30$$
この30は先ほど求めた順列の30通りと一致します。
ちなみに実際に順列を計算する時は、ここまで丁寧に計算する必要はなく、
n=6,k=2の時点で、6からk=2個分の数字を掛けると考えて、6× 5=30(通り)として問題ありません。
Cとは:Combination(英語で組み合わせの意味です)
Cは組み合わせの場合の数を求めるときに使います。
Pと少し違う部分がありますが、先に式を書きます。
$${}_n C_k=\frac {n!}{( n-k) !( k!) }$$
一見複雑に見えますが、先ほどからやっている事を思い出してみれば簡単です。
6個の中から2個取り出して、列には並べないので重複する部分が出てきます。
今回は2個取り出したので、(A,B)と(B,A)は同一のものとするのでした。
従って一つ一つの組みに対してどれだけ重なって計算しているかを考えると、
2個の時は2!分重なっているので、nPk÷(2!)を計算します。
ちなみに3個取り出したとすれば、(A,B,C),(A,C,B),(B,A,C),(B,C,A),(C,A,B),(C,B,A)の6通りを同一とみなすので、
3!で割ります。
$$n=6,k=2より、{}_6 C_2=\frac {6!}{( 6-2) !( 2!) }$$
$$簡単にすると、{}_6 C_2=\frac {6!}{( 4) !( 2!) }$$
$$\frac {6!}{4!2!}=\frac {6× 5× 4× 3× 2× 1}{( 4× 3× 2× 1) ( 2× 1) }$$
ここで、分母分子の4!=4× 3× 2× 1 の部分は打ち消しあうので、
$$最終的には、{}_6 C_2=\frac {6× 5}{2× 1}=15$$
こちらも、先ほどの組み合わせの場合の数と一致しました。
まとめ:場合の数と確率の続編へ〜
いかがでしたか?色々な内容が詰め込まれているので、場合の数が苦手な人にはかなり量が多かったかもしれません。
一度に理解する必要はありません。
何度も読んでわかってきたら簡単な類題を解いてみる、という事を繰り返してみてください。
この記事も見ないで、解けるようになれば大きな成長です。もちろん次々と簡単にPやCが使えない問題がでてきます。
が、今回の内容をしっかり身につけてさえいれば、これから書いていく「場合の数と確率の連載」を読む基礎力が付きます。
後は、連載を読んでもらえば、少なくともどんな大学の入試問題でも対応できるようになります。
場合の数と確率超入門第二回(円順列とじゅず順列)完成しました!
続き、第二回:「円順列とじゅず順列の違いと解き方」を読む。
第三回:「n桁の整数を作る場合の数の求め方」を読む。
第四回:「2から9までの倍数判定法と、場合の数の融合」を読む。
総まとめはこちら→<「場合の数と確率の記事まとめ」>
今回も最後までご覧いただき、有難うございました。
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