今回のテーマは「イオン化エネルギー」と「イオン化傾向」の違いです。

イオン化傾向とイオン化エネルギーの違い

どちらも「イオン化」のしやすさを表すものですが、どこが違うのでしょう?少し、それぞれについて詳しく学んでみます。

(前回までの「イオン化傾向と酸化還元シリーズ」は、記事の最後にまとめています。)

「イオン化エネルギー」とは

「イオン化エネルギー」とは、単体の原子から電子を奪って陽イオンにするために必要なエネルギーの事でした。

(参考):「電気陰性度、電子親和力とイオン化エネルギーの違いを答えられますか?

従って、希ガスのような安定した原子は極端に大きな値を取ります。

そして、ハロゲンなどの最外殻電子があと一つで希ガス型の電子配置になることが出来る原子のイオン化エネルギーも大変大きいものになります。

一方で、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの希ガス型の電子配置よりも電子が少し余っているものは、電子を減らしたいので、少ないエネルギーで電子を放出する(イオン化エネルギーが小さい)のでした。

他にも、原子物理でもイオン化エネルギーを説明できます。

(参考2)「高校物理と化学がつながる!水素原子のエネルギー準位とイオン化エネルギー

「イオン化傾向」とは

一方で、イオン化傾向はどの様なものだったかと言うと、固体の金属原子が水溶液に溶けて陽イオンになる“なりやすさ”を順番に並べたものでした。

イオン化傾向とは?その意味と電池への応用

イオン化する「過程」の違い

上のイオン化エネルギーとイオン化傾向の復習を読みながら見てほしいのですが、イオン化エネルギーでは「単体の金属」から電子を奪って陽イオンにする為のエネルギーと書きました。

一方で、イオン化傾向では、「固体の金属」が水溶液へ溶けて陽イオンになる順序を表しています。

金属は普通固体で、金属結合によって結びついています。これを「単体」にするためには、気体の状態にしなければいけません。

すなわち、「イオン化傾向」と「イオン化エネルギー」では以下のように経る過程が違ってくるのです。

 

イオン化傾向:金属(固体)→(昇華)→金属(単体:気体)→(電子を奪う)→陽イオン→(水溶液に溶かす)→水和イオン

イオン化エネルギー:金属(単体:気体)→(電子を奪う)→陽イオン

この二つは、黄色で強調した部分は共通していますが、イオン化傾向の方が「昇華」させて、「水和」させるので反応は複雑になります。

この「昇華」「水和」時に必要な熱量の違いが、「イオン化傾向」と「イオン化エネルギー」の順序を変えているのです。

イオン化しやすさが異なる実例

イオン化傾向は、イオン化しやすい順に

Li>K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H)>Cu>Hg>Ag>Pt>Au でした。

基本的には「イオン化エネルギーを小さい順に並べたもの」と、「イオン化傾向」を並べるとほぼ同じ順番になるのですが、上述した通り“昇華熱や水和熱の影響”で順序が変わる事があります。

その有名な例として『アルカリ金属元素』を見て見たいと思います。

イオン化傾向では、Li>K>Na

イオン化エネルギーは、K>Na>Liの順になっています。

 

このような例も覚えておくと、ライバルに一歩差をつける事ができるとともに、色々な分野の復習にもなるので常に「ギモン」を持つ事が大切です。

まとめと酸化還元反応シリーズ

・イオン化傾向とイオン化エネルギーの違いは、出発点と到着点(イオン化する過程)の違い

・昇華熱と水和熱によって、順序が微妙に変わる。

イオン化傾向と酸化還元反応(電気化学)シリーズ

酸化還元反応シリーズ

第1回:「酸塩基反応と酸化還元反応の違いを答えられますか?

第2回:「イオン化傾向と酸化還元反応(電池)

第3回:「ダニエル電池の計算問題とファラデー定数

第4回:「電気分解とは?電池との違いと陽極/陰極でのルール

第5回:「イオン化傾向とイオン化エネルギーの違いとは?」<今ココです>

第6回:「酸化剤と還元剤を反応式から見分ける酸化数の徹底解説

(NEW)

酸化還元反応の単元総まとめページ」を作成しました!

 

今回も最後までご覧いただき有難うございました。

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