高校有機化学:(3)芳香族

<この記事の内容>:高校有機化学において、最重要の『ベンゼン』の特徴や構造、そして『脂肪族』炭化水素に対して、ベンゼン環を含む『芳香族』炭化水素/芳香族化合物について紹介していきます。

<前回までの内容と記事>:「有機(1):全体像と意味・分類の仕方」では高校の有機化学の概要を、「(2):”アルカン”〜”シクロアルケン”までの”脂肪族”を徹底解説」では最も基本的な『脂肪族・脂環式』炭化水素を詳しく解説しています。

芳香族の意味とベンゼン環

芳香族とは、ベンゼンを含む有機化合物にその名の通り『香り』(芳香剤などの”芳香”です)がするものが多いことから名付けられた、\(\mathrm{C_{6}H_{6}}\)を含み脂肪族・(鎖状・環状)以外の有機物質の集まりを言います。

(大学以上ではベンゼンが含まれない芳香族も学びますが、受験レベルではそこまで問われることは有りません。)

ベンゼンとは?構造と特徴

ベンゼン環は化学的に非常に安定しているので、付加反応のような環を壊すことが極めて難しいという特徴があります。

そのため、次の”芳香物の有名な化合物”で紹介するものを作る際には色々な工夫をする必要があることが多いです。

より詳しくは、「ベンゼン環の構造(π結合とσ結合)」も参考にして見てください。

製法

アルキンのC=2の時:慣用名アセチレン(プロピン)を3つ集めて(鉄)触媒下で反応させることでベンゼンができます。「アルキンの復習

ナフタレン・アントラセン

ベンゼン環が2つくっ付いた下<図1>左上の物質を

芳香族の構造式の例

<図1>

・ナフタレン(\(\mathrm{C_{10}H_{18}}\)、

<図1>の左下の3つがつながっているものを

・アントラセン\(\mathrm{C_{15}H_{24}}\)と呼び、特にナフタレンはよく出題されるのでしっかり覚えておきましょう。

芳香族の有名な有機化合物

ここでは、芳香族に属する膨大な種類の化合物の中から特に重要なものを紹介します。

(それぞれの詳細は、今後追加する別記事にて解説予定です)

有名な化合物の性質と特徴

第一回で扱った『官能基(functional group)』がベンゼンにくっ付くことで様々な性質を持つ化合物が生まれます。ここではそのうちの一部を紹介します。

フェノール

ーOH(ヒドロキシ基)がくっ付くことによって、『フェノール』が出来、弱酸性を示します。

また、フェノールは様々な化合物の出発点となることから、ベンゼンからフェノールを作り出す製法(入試で問われるのは4つ)がとても重要で、必ず覚えておく必要があります。

・クメン法

・クロロベンゼン経由

・ニトロベンゼン経由

・ナトリウムフェノキシド経由

※:それぞれ、「フェノールの製法」で詳説します。

トルエン・キシレン

ベンゼンの水素原子に\(\mathrm{ーCH3}\)(メチル基)が一個置換したものを『トルエン』、2個置き換わったものを『キシレン』と言います。(よくトルエンとキシレンのどちらがーCH3×2の方かど忘れしがちです。)

また、トルエンを経由して『トリニトロトルエン』や『ピクリン酸』など工業的に重要な物質ができます。

安息香酸・フタル酸

\(\mathrm{ーCOOH}\)(カルボキシル基)が置換されると、安息香酸、またカルボキシル基2つが隣り合った化合物をフタル酸・このフタル酸の”カルボキシル基”の部分が分子内脱水したものを”無水フタル酸”とよびます。

(ちなみに、中和滴定などの指示薬として活躍する『フェノールフタレイン:PP』は、上のフェノール2つと無水フタル酸が結合したものです!)

このように、有機化学を学んでいるとこれまで気にもとめていなかった化学物質が『どのような化合物からできているか』が分かったり、推測することができるようになってきます。

高分子化合物では、さらに身近な”たんぱく質”や”アミノ酸”、DNA、さらには衣服に使われる”ナイロンやレーヨン”、PETボトルなどの構造・機能や性質が分かってきます。こういったことが面白い!と思う人は是非有機分野を勉強して見てください。

話が少し逸れてしまいました。。

次は低分子化合物ですが、誰でも一度は使ったことがある薬の元であるサリチル酸を見ていきます。

サリチル酸

ベンゼン環に\(\mathrm{ーOHとーCOOH}\)が同時につくとサリチル酸となります。

このサリチル酸のカルボキシル基中にある水素を、アセチル基に置換したものがアセチルサリチル酸、

ヒドロキシ基をメチル基で置換したものを『サリチル酸メチル』と呼び、

・アセチルサリチル酸は痛み止め、

・サリチル酸メチルは湿布などの主原料として利用されています。

(成分名で検索すると有名な商品がヒットするはずです。)

有機その3まとめ

今回は、ベンゼン環を中心に芳香族化合物とその周辺をざっくりと紹介してきました。

構造決定を始め様々なところで芳香族化合物は主役になるので、次回以降の記事でも、芳香族をさらに掘り下げていきます。

(オルト位、メタ位、パラ位)などの命名ルール等々・・・

シリーズ一覧と合わせて読みたい記事

第一回:「有機化合物(1):全体像と学習

第二回:「脂肪族(アルカン・アルケン・アルキン)・”脂環式”炭化水素の整理

第三回:「(今ここです)芳香族とベンゼン環」

「(作成中):芳香族化合物の総整理2」

”不飽和度”とは?計算法と使いかた

今回も最後までご覧いただきまして、有難うございました。

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