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執筆者・編集者プロフィール
安田周平
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積和/和積の公式が暗記厳禁な理由とその対策

当然暗記不要!必要なものは”加法定理”オンリーです。

覚え方や語呂合わせ」に労力をかけずに、和積の公式・積和の公式をその場で作り出す方法を解説します。

加法定理の導き方と他の三角関数の公式は↓よりご覧ください。

「最重要公式!加法定理の証明法」

「もう三角関数の公式は覚えない!その理由と方法」

積和の公式・和積の公式を覚えてはいけない理由

和積・積和の公式は主に文系上位と理系には必須です。

数3の積分では和積・積和をよく使って式変形しますし、

文系でも知っていればアドバンテージになる問題が出ることがあります。

これは文系の難関校のみならず、実はセンター試験の数学2Bでもこれを知っていれば、何とか突破できた出題があったのです。

それは2015年度数ⅡBの 大問1です。何とこの年全国平均は39点でした!(当然過去最低点)

この様な大惨事になった原因が大問1の三角関数で、多く受験生にとって初見の問題でペースを乱したのですが、積和を知っていれば、何とか乗り切れたはずの問でした。

積和/和積の公式を覚えてはいけないワケ

(1)数ある三角関数の公式のなかでも恐らく最も複雑な上、

種類も多いので暗記してしまうのに労力がかかり時間が無駄になる。

(2)試験中など重要な時に符号や順番などを「ど忘れ」してしまうと、

その問題が解けないだけでなく焦りが生じてそれ以外の問題にも影響する。

では覚えないで済む対策を解説していきます。

積和の公式を加法定理から作る(証明する)

積和の公式は、以下で解説している通り、「積」→「和・差」に変換するものです。

この、 「積から和・差」に変形する主な理由は三角関数の積分(数3)です。

積分においては、積の形そのままではうまく解けないことが非常に多いのですが、

それを和や差に分解することで解決する問題が数多くあります。

そのための道具として、「部分分数分解」(←で解説しています)や、

今回紹介している積和・和積の公式を利用するのです。

積和の公式は三角関数の積を和(or差)に変える道具

積和の公式まとめ

<積和の公式4つ(sinαsinβの符号に注意!)>

例)sinα cosβ=1/2{sin(α +β)+sin(α-β)}

あと残り3つ[ cosαsinβ型とsinαsinβ型と cosα cosβ型があります]

積和の公式を作る(証明する)コツ

ここでは加法定理を2つ用意します。

※闇雲に加法定理を使うのではなく、以下のルールを覚えておくと便利です。

(ルール1-1):sinαsinβやcosαcosβのように、同じ三角関数の積を和に変えたいときは、cosの加法定理を2つ用意して足すか引く

(ルール1-2):sinαcosβやcosαsinβのように、異なる三角関数の積を和に変えたいときは、sinの加法定理を2つ用意して、足すか引く

(ルール2):足し引きする加法定理はsin同士か、cos同士のみ!(同じ種類の関数)。sinとcosの加法定理を足し引きする事はない

実際に上のルールに従って積和の公式を作ってみます。

ここでは、sinαcosβを和の形に変えたいとします。

ルール1より、別種の関数の積の形なのでsinの加法定理を2つ用意します。

sin(α+β)=sinα cosβ + cosαsinβ...#1と置く
sin(α–β)=sinα cosβ- cosαsinβ...#2と置く

#1と#2を足すと、、、

sin(α+β) +sin(α-β)=2sinα cosβ

両辺2で割って、

sinα cosβ=1/2{sin(α +β)+sin(α-β)}が導けました。

小まとめ

積和の公式は加法定理を2つ用意して、足すor引くのどちらかを行った後、

2で割ると導出できるので、(ルール1-1,2とルール2に注意して)残りも自分で導出してみてください。

和積の公式の作り方

和積の公式は、積和の公式が作れればあとは単なる式変形です。

和積の公式は三角関数の和(or差)を三角関数の積に変える

$$sinA+sinB=2\sin \frac {A+B}{2}\cos \frac {A-B}{2}$$

$$sinA-sinB=2\cos\frac {A+B}{2}\sin \frac {A-B}{2}$$

$$cosA+cosB=2\cos\frac {A+B}{2}\cos\frac {A-B}{2}$$

$$cosA-cosB=-2\sin\frac {A+B}{2}\sin \frac {A-B}{2}$$

例) sinx+siny=2sin{(x+y)/2} cos{(x-y)/2}

さて導出して行きましょう。

積和→和積への変形(証明)

和積の公式は先に積和の公式を書いておき、

sinαcosβ=1/2{sin(α +β)+sin(α-β)}・・・#1

α+β=X,

αーβ=Y ・・・#2とおいて、

(α+β)+(α-β)=2α=X+Y

より、α=X+Y/2

(α+β)ー(α-β)=2β=X-Y

より、β=X-Y/2

・・・#1 に ・・・#2を代入すると、

sinX+sinY=2sin{(X+Y)/2} cos{(X-Y)/2}が導出できます。(残り3つも同様に導けます)

和積の公式は積和を使う為、ワンランクややこしくなりますが、何度も自分で再現して下さい。

ノートや綺麗な紙に書く必要はなく、字も殴り書きのようで構いません。

(ただしここでの「繰り返して書く」と言うのは、ただ公式を何十回も書き写すと言う事では無く、手順を思い出しながら書くという意味です。)

例:まずサインの加法定理を2つ用意して、その2つを足して2で割った後にα+β=Xとおいて・・・と言う風にです。

三角関数の公式導出シリーズへ

第2回(今回)までで、二倍角、三倍角、半角、積和/和積の公式を扱えるようになりました。

第一回を復習する→「加法定理から二倍角・三倍角・半角の公式を導く方法

しっかり自分の物にするまで何回も「【丸暗記厳禁】三角関数の公式は語呂合わせ&加法定理から導く」←このページを見て、暗記ではなく導出できるようにして行きましょう。

次回は三角関数の還元公式を扱います。(記事完成しました)

還元公式

還元公式とは、別名:余角の公式、補角の公式、負角の公式などと呼ばれている物の総称です。

(還元公式の例:sin(θ±○)のように○に角度や弧度を代入するもの)

18種類以上ありますが、これらも暗記ゼロですむ方法を2種類紹介しています。

「三角関数の還元公式(余角/補角/負角)の暗記量を0にする方法」

公式総まとめ

以下の記事では、主な三角関数・三角比の公式を全て網羅しています。

<三角関数・三角比の公式は丸暗記せずに導き自然に覚える!導出法一覧>

お疲れ様でした。

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