ベクトル方程式を一から学ぼう

 

数学で苦手な分野を聞くと、必ず「ベクトル」があがってきます。

更にその中でも「ベクトル方程式」は一二を争う「よく分からん!」となる不人気範囲です。

この記事はそんな人に向けて、図を用いて「実は特別な物では無い」事を理解して貰うために作成しました。

※続編(「空間でのベクトル方程式」を作成しました。左のリンク、または『この記事のまとめの項』から続けてご覧ください。

途中で分からない用語等が出て来たら、

これまでのベクトルの記事を集めた→「ベクトルシリーズ総まとめページ」で解決して、

またこの記事に戻って来て下さい。

ベクトル方程式とは

・「方程式」と「ベクトル」のおさらい

・ベクトル方程式

・直接のベクトル方程式

・円のベクトル方程式(定義)

・円のベクトル方程式解説part⑴

・円のベクトル方程式解説part⑵

・まとめ

方程式とベクトルのおさらい

「ベクトル方程式」に入る前に、「方程式」と「ベクトル」の意味をそれぞれチェックしておきます。

「方程式」とは数的な関係を等号で表した式を指します。そして「ベクトル」とは、「向き」と「大きさ」を持った(有向線分という)概念を指します。

参照:有向線分などベクトルの基礎(1)

またベクトルは、座標平面上の点に対応させたり、平面内に存在する「流れの向きと強さ」を表すことができます。

そして、ベクトルの関係は一般的に等号を用いて表すことができます

従って、このことを考えると、ベクトルで構成されている式も「方程式」とみなすことが可能です。

これを「ベクトル方程式」と呼びます。

ベクトル方程式の具体的な使用法

高校数学では基本的な図形(直線、円、球、、、)をベクトル方程式で表現して計算する場面が多々あります。

※単位ベクトルとは?

「向き」は普通のベクトルと同様にありますが、「大きさ」が「1」のベクトルを単位ベクトルといいます。

簡単な例としてkを実数、eを単位ベクトル

$$として\vec {r}=k× \vec {e}を考えてみましょう。$$

これは日本語で書き表すと$$「\vec {r}は\vec {e}のk倍の長さを持つベクトル」$$

と言えます。このように、あるベクトルをもとのベクトルの関数のようにして表すことができるわけです。

直線のベクトル方程式

$$先ほど例として挙げた\vec {r}=k× \vec {e}$$

の意味をもう少し考えてみます。

kを任意の値に取ってみると、

「$$\vec {e}$$の始点と終点を通る直線上のすべての点、

すなわち位置ベクトルを$$\vec {r}$$で表すことができる」

ことがわかるでしょうか。

直感的に言うと$$\vec {e}$$の長さをk倍させて伸び縮みさせることで

終点を直線上にある点に一致させることができるという事です。

高校数学で扱う直線を表すベクトル方程式は、もっと一般化させて色々と表現することができます。

 

直線を表すベクトル方程式

点A,Bに対応する位置ベクトルを$$\vec {A},\vec {B}$$と書くとする。

点A,Bを通る直線上にある点Pに対応するベクトル$$\vec {p}$$は任意の実数をtとして

$$\begin{aligned}\vec {p}=t\vec {A}+\left( 1-t\right) \vec {B}\\
=\vec {B}+t\left( \vec {A}-\vec {B}\right) \\
=\vec {B}+t\overrightarrow {BA}\end{aligned}$$

上にある式の変形を逆の順番、つまり下から行って上の式を導出したとも解釈できます。

二つのベクトルの和が始点と終点を結ぶベクトルであることに注意すると、

三段目の式とA→-B→=BA→であることから、

一方の点Bから直線の方向と一致するBA→を伸縮させていることをこの式は表現していると言えます。

(ここでのBAの事を方向ベクトルという事が多くベクトルdで表し、tを任意の数として、ベクトルaを通る直線のベクトル方程式p=a +tdとする事が多いです)

ベクトル方程式2

<図:直接のベクトル方程式の図形での解釈

色で分けて考えると、「黒=青+赤、赤は緑のt倍の長さ」となることがわかります。

なお、もうひとつの考え方も存在し、内分点のベクトルを考えてみると、

点PがAとBの間にあるうちは一つ目の式を、

「点A,Bをt:1-tで内分する点を表す式」と考えることができます。

これらのベクトル方程式の導出の考え方はxy平面上だけでは無く、xyz空間中でも適用することが可能です。

つまり、空間中に存在する直線を平面上と全く同じようにベクトル方程式として記述することができるのです。

空間図形でも平面図形と同じ手順で解ける」のもベクトルの優位性の一つです。

円のベクトル方程式

半径rの円の中心をAとすると、円周上の点Pはベクトル方程式で$$| \vec {P}-\vec {A}| =r$$

即ち、$$| \overrightarrow {AP}| =r$$

と表すことができます。

円のベクトル方程式⑴

上記のように、直線だけでなく、円もベクトル方程式で表現することができます。

式中のP→-A→は<図2>の赤いベクトルを表しています。ここで、$$| \overrightarrow {AP}| =r$$となるようにすると、点Aからrの距離にある点のみに点Pが対応するようになります。

平面上で、ある点から”等しい距離”に存在する”点の集合”は円以外にないので、

一つ目の式は円を表すベクトル方程式であることが理解できるかと思います。

ベクトル方程式円2 <図2:円のベクトル方程式の図形的な解釈>

円のベクトル方程式⑵

次に二つ目の式を見てみましょう。この式の考え方は上の物とは全く違っています。

点A,Bを結ぶ直線を直径とする円のベクトル方程式は$$( \vec {P}-\vec {A}) \cdot ( \vec {P}-\vec {B}) =0$$

少々ややこしく、分かりにくくはなっていますが、

ここで注目すべきポイントは<図3>中の$$赤の\overrightarrow {AP}と黄色の\overrightarrow {BP}です。$$

点A,Bを直径の端とする円を考えて、さらに点Pをその円周上に置いたとき、

角度∠APBは円周角の定理によって90度であることがわかります。

ここで、互いに直交(90°)するベクトルの内積は0になります。

(参照)ベクトルの内積と垂直条件

赤のAP→と黄色のBP→も互いに直交していることが分かったので、

$$\overrightarrow {AP}\cdot \overrightarrow {BP}=0 ⇔ \overrightarrow {AP}\bot \overrightarrow {BP}$$

これで、二つ目のベクトル方程式も確かに円を表すことがわかりました。

 

ベクトル方程式円5

<図3:円周角の定理の利用による円のベクトル方程式2>

※この2つ目の「円のベクトル方程式」の応用として、タレスの定理を使った「球面のベクトル方程式」があります。これは”平面上の円”の代わりに、”空間中に存在する球”をベクトルで表すものです。

この記事を読み終わった後に、ぜひ読んでみてください!

→<参考:「球面のベクトル方程式の求め方がわかる!」>

空間での平面や球面の方程式(続編を読む)

このように、これまで図形の問題は数学Aでの「図形の性質」か、数2の「図形と方程式」くらいしかアプローチする手段がありませんでした。

しかし、「ベクトル方程式」という強力な道具を手に入れて、

ベクトルで図形を表すことで、新たな手段で図形の問題が解けるようになります。

特に数Aの図形の性質などでは、ある程度「閃き」のようなものが要求されることがありますが、それを回避することができるようになるのです。

以下の記事では、このベクトル方程式を空間に拡張して「平面のベクトル方程式」について解説しています。

続編>>「【空間ベクトル】直線のベクトル方程式と平面の方程式の求め方【数B】」<<

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