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執筆者・編集者プロフィール
安田周平
個別指導塾YES/YESオンラインスクール塾長・船場物産株式会社代表取締役社長。
理数・情報系記事とデータサイエンスの為の基本レベルの線形代数等の解説記事を執筆しています。

積分法と面積をはさみうちで示す

数学Ⅲの範囲も極限→微分→積分と進んでくると、積分法で面積や体積、グラフの線の長さと言った様々な値を求めるようになって来ます。

今回は「はさみうちの原理」を利用して「積分によって面積が求まる理由」を解説していきます。

積分と面積を極限が結ぶ

・はさみうちの原理の振り返り

・y=f(x)のグラフとその面積S(x)

・任意の点tとh離れた(h>0)点

・二点での長方形とS(x)[図解]

・はさみうちと微分の定義

・積分定数

・まとめ

 

はさみうちの原理

今回の内容を理解するのには、はさみうちの原理(極限分野)の理解が必要なので、曖昧な人は先に→「はさみうちの原理」と「追い出しの原理」の解説 を読んでおいて頂くとよいです。

簡単に振り返っておくと、関数/数列が3つあり、

$$f\left( x\right) \leq g\left( x\right) \leq h\left( x\right)の関係である時に $$

$$\lim _{x\rightarrow \alpha }f\left( x\right) =\lim _{x\rightarrow \alpha }h\left( x\right) =\beta $$

$$f(x)とh(x)のxがx→αに近づく時に$$

$$f(α)とh(α)がβに成るのならば$$

$$\lim _{x\rightarrow \alpha }g\left( x\right) =\beta $$

$$その間に「はさまれている」g(x)も$$

$$又x→αでg(α)→βとなる。$$

というものです。

y=f(x)のグラフとその面積S(x)

ここからは図解入りで進めます。

今<図1>の様なy=f(x)のグラフがあり、その面積はS(x)で表せるとします。

<図1>の様にx=αからx=tまでの面積をS(t)として、その右端のx=tからhだけx軸正方向に動かした面積の増加分、

つまりf(x)とx軸の間でxの範囲(t+h)からtまでの面積を求めます。

積分ー面積2-1

 

<図1>

 

任意の点tとhだけ離れた点(t+h):(h>0)

ここで、<図1>中の「x=tからx=t +hまで」の面積を求めたい時、その面積はS(t+h)-S(t)で計算出来ます。<図2>ー<図3>

積分ー面積2-2

 

<図2>

積分ー面積2-3

<図3>

二点での長方形とS(t+h)-S(t)

そして、今度は<図4>の部分に注目します。

積分ー面積2-4

<図4>

丁度求めたい部分の面積は、

$$f\left( t\right) \cdot hの面積以上f\left( t+h\right) \cdot hの$$

面積以下である事が図からわかります。

$$ これと先ほどのS\left( t+h\right) -S\left( t\right) を考慮すると、$$

はさみうちの原理と微分の定義を使う

以下の不等式で求める面積を挟む事ができます。

$$f\left( t\right) \cdot h\leq S\left( t+h\right) -S\left( t\right) \leq f\left( t+h\right) \cdot h$$

ここで、h>0より不等式からhを割ると、

$$\frac {f\left( t\right) \cdot h}{h}\leq \frac {S\left( t+h\right) -S\left( t\right) }{h}\leq \frac {f\left( t+h\right) \cdot h}{h}$$

f(t)≦S(t+h)-S(t)/h≦f(t+h)となり、limh→0の極限を取ると、微分の定義から

$$\lim _{h\rightarrow 0}\frac {f\left( t+h\right) -f\left( t\right) }{h}=f'\left( t\right) $$

中項は=S‘(t)

$$\lim _{h\rightarrow 0}f\left( t+h\right) =\lim _{h\rightarrow 0}f\left( t\right) =f\left( t\right) $$

左辺は、=f(t)

右辺は、=f(t) となるので、

$$よって、はさみうちの原理より、S'\left( t\right) =f\left( t\right) が示せます。$$

$$(面積の微分がグラフの式と一致しました!)$$

更に、両辺を積分してみます。

∮S’(t)dt=∮f(t)dt

$$⇔S\left( t\right) =F\left( t\right) +C (Cは積分定数)・・・*$$

ここでt=αを入れてみると、S(α)=F(α) +C

S(α)は、αからα迄の面積なので、値は当然ゼロになります。

これより、0=F(α) +C ⇔C=ーF(α)

Cも求まったので、βからα迄の面積をこれまでの様に

S(β)とすると、*の式より、

$$S\left( \beta \right) =F\left( \beta \right) -F\left( \alpha \right) $$

αからβの面積は、グラフの式f(x)の不定積分F(x)のxに

βを代入したものから、αを代入したものを引いた値となり、

$$これまで使ってきた\int ^{\beta }_{\alpha }f\left( x\right) dxが$$

$$面積を表す事が示せました!$$

 

まとめと関連記事

この様に、「極限」を考える事で、微分と積分が結び付きました。

また、今回図形の面積をはさみうちの原理を使って評価しましたが、この方法も今後頻出するので、是非頭に入れておいて下さい。

>>「数学3の微分法・積分法とその応用まとめページ」<<

今回もご覧いただき有難うございました。

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