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線形(ベクトル)空間第二回「部分空間の定義・証明と基底・次元の意味」

<この記事の内容>:「線形空間とは?定義と線形従属・独立まで解説」に引き続き、「部分空間W」の意味・基底、標準基底の意味と求め方、そして『次元』の計算まで解説しています。

<これまでの線形代数シリーズ>:「【随時更新】線形代数を0から解説!高校数学から学び直す記事一覧」←の記事にまとめているので、足りない知識があれば都度ご確認ください。

部分空間とは何か?

まずはじめに、「部分空間(主にWで表されます)」の意味と定義を見ていきます。

部分空間の定義

”線形空間(線形空間の定義を満たした集合のことでした)V”のうち、以下の定義を満たすものをその名の通り”『部分空間』”といい、Wで表します。

(この時Wが空集合:φの時は部分空間とは定義されません。)

部分空間であるための条件

部分空間であるための条件は、線形空間Vから任意に選んだ2つの元(=要素)が以下の(1-1かつ1-2)を満たしているか、(2)を満たしているかのどちらかです。

(1-1)、Vのうち任意の元\(\vec{a},\vec{b}\)がWの元であるとき、\(\vec{a}+\vec{b}\)がWの元

式で書くと$$\vec{a},\vec{b}\in W,\vec{a}+\vec{b}\in W$$

(1-2)、Vのうち任意の元\(\vec{a}\)がWの元のとき実数kとの積、\(k\vec{a}がWの元\)

:同様に、$$〔\vec{a}\in W, k\in \mathbb{R} ,k\vec{a}\in W〕$$

の2つの条件を満たした時。

もしくは、上の1-1と1-2の条件を1つにまとめた、

(2):\(〔\vec{a}\in W,\vec{b}\in W,k,l\in \mathbb{R}\) のとき、\(k\vec{a}+l\vec{b}\in W〕\)

をみたした場合も”WはVの部分空間”と言えます。

まだこれだけでは抽象的に感じるかと思います。

実際にどのように問題を解く(『部分空間であるか』を判定する;証明する)のか、その手順を追いながら部分空間の定義を確認問題で身につけていきましょう。

部分空間であるかの証明(判定)

次の(一)は線形空間V\(\mathbb{R}^{3}\)の部分空間か?

(一)$$W=\left\{ \begin{pmatrix}
x \\
y
\end{pmatrix}|2x+3y=0\right\} $$

解答解説(一)

まずは上述した(1-1,1-2)の条件を満たしているか確認します。

任意の元2つをとる。$$\vec{a}=(a_{1},a_{2}),\vec{b}=(b_{1},b_{2})$$

$$2a_{1}+3a_{2}=0,と,2b_{1}+3b_{2}=0$$

ここで、

$$\vec{a}+\vec{b}=(a_{1}+b_{1},a_{2}+b_{2}) $$と表せるから、部分集合の式(2x+3y =0)に代入すると、

$$2(a_{1}+b_{1})+3(a_{2}+b_{2})$$

$$=\underbrace{(2a_{1}+3a_{2})}_{ここは0})+\underbrace{(2a_{1}+3a_{2})}_{ここも0})=0$$

$$より、\vec{a}+\vec{b}\in W$$

これで2つの元の和の条件を満たしたので、次は(1-2)の実数倍での条件を確認します。

\(k\in \mathbb{R} \)の時、\( k\vec{a}=(ka_{1},ka_{2})\)

$$2(ka_{1})+3(ka_{2})=k(2a_{1}+3a_{2})=k0=0$$

$$より,k\vec{a} \in W$$

が成り立つので、部分空間である。

基底と次元

部分空間の次は、『基底』と『次元』の定義に入っていきます。

基底の定義

ここでは、『基底』の定義を紹介します。

定義1:線形空間Vの元を\(\vec{a_{1}},\ldots,\vec{a_{m}}\)とする時、m個の元(ベクトル)は全て線形独立であること。

かつ、

定義2:Vの任意の元(=どんなベクトルでも)を実数$$〔k_{1},\ldots,k_{m}|k_{j}\in\mathbb{R}〕$$ と、

$$\vec{u}=k_{1}\vec{a_{1}}+\ldots+k_{n}\vec{a_{m}}$$の線形結合で表せる時、

$$\vec{a_{1}},\ldots,\vec{a_{m}}$$の”元の組”をこの線形空間の基底と定義します。

次元の定義

また、この時の基底ベクトルの個数(ここではm)を線形空間Vの次元といい、\(\dim V =m \)と表します。

任意の元が必ず1通りの線形結合で表される理由

2番目の条件のとおり、必ず一通りの線形結合で任意の元を表せるのですが、その証明を簡単に紹介します。

今、任意のベクトルをu、k,lを実数として、ベクトルuが

\(\vec{u}=k_{1}\vec{a_{1}}+k_{2}\vec{a_{2}}+\ldots+k_{m}\vec{a_{m}}・・・(1)\)

\(\vec{u}=l_{1}\vec{a_{1}}+l_{2}\vec{a_{2}}+\ldots+l_{m}\vec{a_{m}}・・・(2)\)

の2通りで表せるとします。

このとき、(1)式から(2)式を引くと、

\(0=k_{1}\vec{a_{1}}-l_{1}\vec{a_{1}}+\ldots+k_{m}\vec{a_{m}}-l_{m}\vec{a_{m}}\)

とでき、それぞれの元でくくると

\(0=\vec{a_{1}}(k_{1}-l_{1})+\vec{a_{2}}(k_{2}-l_{2})+\ldots+\vec{a_{m}}(k_{m}-l_{m})\)

ここで、\(\vec{a_{1}}~\vec{a_{m}}\)は線形独立なので、係数は全て0になります。(参考:「線形従属と線型独立の定義」)

よって、$$(k_{1}-l_{1})=0 なので、 k_{1}=l_{1}$$ となり、以下同様に全ての係数が等しいため、ただ一通りに表されることがわかります。

基底・次元を問題を通して定着させましょう。

基底・次元を求める例題

総合確認問題

次の4つの元\(〔\mathbb{R}^{4}の元であるa1,a2,a3,a4 〕\)で生成される部分空間Wの基底と次元を求めよ。

$$a1=\begin{bmatrix}
1 \\
2 \\
2 \\
3
\end{bmatrix},a2=\begin{bmatrix}
3 \\
2 \\
2 \\
1
\end{bmatrix},a3=\begin{bmatrix}
3 \\
0 \\
4 \\
1
\end{bmatrix},a4=\begin{bmatrix}
2 \\
2 \\
3 \\
2
\end{bmatrix}$$

 

解答解説

まず、4つの元を並べた行列に行基本操作をおこない、階段行列を作ってランクを求めます。(参考:「階段行列と自由度・ランクの求め方」)

$$\begin{pmatrix}
1 & 3 & 3 & 2 \\
2 & 2 & 0 & 2 \\
2 & 2 & 4 & 3 \\
3 & 1 & 1 & 2
\end{pmatrix}$$を変形(行基本操作)することで、

$$\begin{pmatrix}
1 & 3 & 3 & 2 \\
0 & 1 & \frac {3}{2} & \frac {1}{2} \\
0 & 0 & 1 & \frac {1}{4} \\
0 & 0 & 0 & 1
\end{pmatrix}$$

上のような階段行列を作れるので、ランクは4。4次の正方行列でrankが4なのでa1~a4までの4つの元は全て線形独立。ゆえに、このWの

基底は\(<a_{1},a_{2},a_{3},a_{4}>\)の組で、\(次元は4(\dim V=4)\)

まとめと続編「標準基底 +α」へ

・今回も前回に引き続いて、『定義』や証明がメインだったので、抽象的で難しいと感じた人も多いかと思います。

・その場合は、次回以降の具体的な内容に触れてからもう一度取り組むことでスっと理解出来ることがあるので、時間を置いて再度読み直しをしてみてください!

・次回はよりイメージしやすい基底の変換や標準基底などを解説します。

線形代数の関連記事はこちらから

まとめページ:「0から学ぶ線形代数:解説記事総まとめ

前回:「ベクトル空間の基礎と線形従属・独立

次回:「標準基底と基底の変換・取り替え行列をわかりやすく!」(NEW!)

更新中:「線形写像の意味からKer,Imまでイラストで解説

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