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安田周平
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電磁誘導の基礎と仕組み・考え方(1)

<この記事の内容>:コイルに磁石を近づける/遠ざける時に電流が流れる(誘導電流)という現象の仕組みや、「起電力を求める公式」など、電磁誘導の基礎を解説しています。

<これまでの電磁気分野>:右の記事「高校物理:電磁気の総まとめページ」で、これまでの電気・磁気に関する復習ができます。記事中で曖昧なところがあれば、ぜひ参照してみてください。

電磁誘導とは

電磁誘導とは、コイル(今回解説します)や閉じた回路(次回:導体でできた棒の例で解説します)を貫く磁力線・磁束が変化するときに、それを邪魔するように電気が発生する(=誘導起電力)現象の事を言います。

この説明ではよく分からないかと思うので、具体的な例としてコイルの電磁誘導をイラストを使いながら詳しく解説します。(後で読み返すと理解できるようになっているはずです!)

電磁誘導の仕組み

ここからは、具体的に電磁誘導の仕組みをできるだけ簡単に理解できるように、イメージを用いて具体的に解説していきます。

変化を嫌うコイルの性質

コイルには、”急激な変化を嫌う・妨げる”(イメージ)という特徴があります。

以下で詳しく解説しますが、磁力線が急に増えたらその数を減らそうとしたり、逆に急激に磁力線が減少すれば磁力線の数を増やしていく、といった具合です。

上の項で紹介したコイルの性質を頭に入れておくと、この仕組みもスッと理解できるはずです。

ここでは、以下の図のようなコイルに棒磁石(のN極側)を近づける様子を見ながら解説していきます。

N極を近づける

いま、以下の図1のように巻いたコイルの左側からN極を近付けていきます。

急にN極を近付けて磁力線を増やす(手順1)

<図1>

すると、コイルを左から右へ貫く磁力線が急に増えます。

変化を妨げるように反対方向の磁力線を作る

ここで”急激な変化を嫌う”性質でも解説した通り、(左→右の)磁力線を妨げるように、コイルは(左←右)の磁力線を作り出します。<図2参照>

コイルの性質より、反対向きの磁場が作られる様子

<図2>

誘導起電力の発生:レンツの法則によって誘導電流の向きがわかる

そして磁力線ができる(逆向きの磁場が作られる)という事は、コイルに”誘導電流”が流れているという事なので、その向きは下の図3のようになります。(この向きの決まり方をレンツの法則と言います)

誘導電流の向きとレンツの法則の解説図3

<図3>

今後問題が複雑になった時、この誘導電流の向きがわからなくなったら、「電流が作る磁場と右ねじの法則をわかりやすく!」←で紹介した右手を使った方法(コイルの巻いている向きに人差し指〜小指を揃え、妨げる磁場の向きに親指を向ける)を利用することで調べることができます。

"N極を近づける"以外の場合

ここまでは、N極をコイルの左側に急に近付けた時について解説してきました。

それ以外の3タイプ、すなわち『N極を遠ざける』・『S極を近づける』/『S極を遠ざける』場合はどうなるのでしょうか?

これらも電磁誘導の基本的な考え方『=変化を嫌う=妨げる向きに磁場が発生する』ことを理解できていれば同様に推測できます。

N極を遠ざける場合

N極を遠ざけるならば、左→右の磁力線は急に減るので元の状態を保とうと右向きの磁場が発生し、電流は先ほどと逆向きに流れます。

S極を近づける場合

 

『S極に磁力線は吸い込まれる』ようになっているので、コイルの左側からS極を近づける=コイルの内部を貫く”右から左向きの磁力線”が発生します。

したがって、これを邪魔するように”左→右の磁力線”が生まれて、電流はN極を遠ざけた場合と同じ方向を向いて流れます。

S極を遠ざける場合

ここまでくればもう型が見えてきたのではないでしょうか。

右から左への磁力線が生まれて、電流は初めの”N極を近づけた”場合と同じ方向へ流れます。

ファラデーの電磁誘導の公式(誘導起電力)

次に、ここでは電磁誘導によって発生する起電力(これを”誘導起電力”と言います。)を求める公式を紹介します。

$$E=-N\frac{dB}{dt}$$

(ただし、この公式のNはコイルの巻き数(回)Eが誘導起電力(V)\(\frac{dB}{dt}\)は時間tあたりのB:Bは磁束密度(T)の変化量です。)

マイナスがつく理由:仕組みのところでも解説しましたが、変化を妨げる=逆方向の磁力線を作り出す=電流は逆なので、逆向きを意味する”ー”がついています。

電磁誘導の問題編へ

ここまで学んできた法則・公式などをフルに利用して、実践的な問題を解く方法を「電磁誘導(2)問題編:導体棒の頻出問題」で解説しています。是非続けてご覧ください。

電磁誘導(レンツの法則)まとめ

今回はコイルと棒磁石を使った、最も基本的な(しかし重要な)電磁誘導の仕組みや法則を紹介しました。

次回は入試問題でも頻出の『導体棒が磁場を横切る』といった、少し応用的な問題について引き続き解説していきます。

関連記事一覧と次回へ

<磁気シリーズ一覧>

磁気第1回:「電流によって生じる磁界3パターンと右ねじの法則

磁気第2回:「フレミング左手の法則と電磁力/ローレンツ力

磁気第3回:「荷電粒子の運動の基礎

磁気第4回:「今ココです」

磁気第5回:「電磁誘導2:力学との応用!磁場を切って動く導体棒

 

電気・磁気の総まとめ:「高校物理・物理基礎の電磁気分野の解説まとめページ

 

今回も最後までご覧頂きまして有難うございました。

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