反復試行の確率とその最大値
今回は入試でも良く問われる、
目次(タップした所へ飛びます)
反復試行の確率とその「確率の最大値」
の解法を例題を通して習得していきます。
反復試行とは
(独立)反復試行とは、同じ条件の下で他の回の影響を受けない(独立)、試行を繰り返す(反復する)事を言います。
(例)同じサイコロを何度も振る;袋から球を取り出して記録し袋に戻し又取り出て・・・を繰り返す;など。
反復試行の確率の公式
サイコロやコイン投げを想像しながら読んでみてください。(カッコ内は具体的な例です)
公式と具体例
いま事象P(3の目が出ることとする)の確率をp(3の目が出る確率=\frac{1}{6})とし、これを繰り返し(n回)行ったときに【k回】Pが起こる(3の目が出る)確率は、
$$P_{反復試行}=p^{k}\cdot (1-p)^{n-k}\cdot {}_n\mathrm{C}_{k}$$
で求めることが出来ます。
一見するとよくわからない、難しそう・・・と避ける人がいますが、それは非常にもったいないです!
これから、一つ一つの要素にわけて詳しく解説します。
なぜこの公式で反復試行の確率が求まるのか
カッコ内の具体例をもとに、このヤヤコシイ公式の意味を考えていきましょう。
\(p^{k}\)について・・・(1)
全部でn回サイコロを振る中で、その内“k回”3の目が出るという事は、
1/6がk回起こる→(1/6)のk乗を計算する。
一般化すると、\(p^{k}\)。
ここはそんなに悩む事はないはずです。問題は次からの(2)と(3)です。
\((1-p)^{n-k}\)について【余事象】(2)
ここでは、3以外の目が出る(これを余事象の確率と言いました。)ことを考えます。
n回中k回《3の目が出る》という事
→【全部の試行=n回からk回を引いた《(n-k回)は3以外が出る》】
→(1,2,4,5,6)のいずれかが出る確率は(5/6)で、これは(1-p=1-1/6)と一致します。
これが、\((1-p)^{n-k}\)の意味です。
\({}_n\mathrm{C}_{k}\)について・・・(3)コンビネーションの意味と理由
これはコンビネーションのCです。曖昧な人は→『順列と組み合わせ・PとCの違い』を読んでみてください。
コンビネーションが出てくることに疑問を持つ人がいるのですが、
次のように考えます:
pはk回、(1-p)は(n-k)回起こるのだったので、n回のうちk回がどこに入るかを選ぶ(順番は考えないので、順列のPではなくて組み合わせのCを用いる)というイメージです。
これらの積(積の法則:独立試行)
(1)と(2)は同時に起こる事はあり得ません。
これを”独立”と言い、積の法則で確率を計算します。すなわち\((1)\times(2)\times(3)\)
ではここから、例題を通して定着させていきましょう。
反復試行の例題
(例題1)サイコロを同時に4個投げるとき、6の目が2個出る確率を求めよ。
念のため確認:場合の数と確率の大きな違いの一つに、場合の数の時には区別しなかったものを、確率では区別する。と言うものがあります。
基本的に確率分野では、全て異なるものとして計算する事をお勧めします。
(解答1)
確率の問題なので、問題文に何も書かれていなくてもサイコロA、サイコロB・・・と区別して考えます。
まず、
6の目が出る確率が(1/6)
6以外の目が出る確率は(5/6)
4個のサイコロの内どの2つのサイコロが6の目が出るかは、(4C2)
で計算出来ます。
これらを合わせて、(4C2)×(1/6)2×(5/6)2 =(4・3)(5・5)/(2・1)(64)=25/216
よって、25/216・・・(答)
反復試行の確率+最大値の例題
※数列との融合問題でも有りますが、今回は漸化式を解いたりするわけでは無いので、基礎的な理解が出来ていれば充分です。
本格的な確率分野と数列分野の融合問題は、確率漸化式で扱います。興味があれば「数列と確率の融合!確率漸化式入門」をご覧下さい!
(例題2)
(1/3)の確率で当たりが出るくじを引いて、当落を記録し、またくじを戻す事をn回繰り返す時、当たりが3回出る確率が最大になるnを求めよ。
(解答)
これは、「反復試行の確率の最大」としてよく問われる問題です。
n回中3回当たるので、コンビネーションを使って、どの回で当たるかの選び方が、(nC3)
この場合、3回あたり、(n-3)回ハズレるので、(1/3)3×(1-1/3)(n-3)。
よってこの例題の確率(Pnと置きます)は、
$$p_{n}=nC_{3}\times (\frac {1}{3})^{3}\times (1-\frac {1}{3})^{n-3}$$
Pn=(nC3)(1/3)^3*(1-1/3)^(n-3)と表せます。・・・#1
ここで今日の
必須technic1:確率の最大値を求める時は、n回目とn+1回目を比べる。
これは、Pnが最大の時を求めたいので、
P1<P2<・・・<Pn>Pn+1>Pn+2>・・・とPnまでは確率が増加し、Pn+1以降は確率が減少していく必要があります。
technic1+α;Pn+1ーPnと差をとる
nが幾つの時を境に差が正から負に変わるかを調べていきます。
@ここから計算量が増えるので、ミスに気をつけて下さい
。又、スマートフォンでご覧の方で数式が見切れている場合は、
縦画面から横画面にして頂くときちんと表示されます。@
#1より、$$p_{n+1}=(n+1) C_{3}×(\frac {1}{3}) ^{3}×(\frac {2}{3}) ^{n-2}$$
Pn+1=(n+1C3)(1/3)^3*(1-1/3)^(n+1-3)
$$p_{n}=nC_{3}× (\frac {1}{3}) ^{3}\times ( 1-\frac {1}{3})^{n-3}$$
Pn=(nC3)(1/3)^3*(1-1/3)^(n-3)
$$p_{n+1}-p_{n}=\frac{(n+1)\cdot(n)\cdot(n-1)}{6}\cdot (\frac{1}{3})^{3}\cdot ( \frac{2}{3})^{n-2}$$
$$-[\frac {n(n-1)(n-2)}{6}] \times ( \frac {1}{3}) ^{3}\times (\frac {2}{3}) ^{n-3}$$
$$=[ \frac {n×(n-1) }{6×27}×( \frac {2}{3})^{n-3}] (\frac {8-n}{3}) $$
Pn+1-Pn
={(n+1)(n)(n-1)/(6)}{(1/27)(2/3)^(n-2)}
ー{(n)(n-1)(n-2)/(6)}{(1/27)(2/3)^(n-3)}
={n(n-1)/182}{(2/3)^(n-3)}{(8-n)/3}
$$ここで、[ \frac {n×(n-1) }{6×27}\times ( \frac {2}{3})^{n-3}]$$ は常に正だから、
$$\frac {8-n}{3}に注目すると、$$
n<8でPn+1>Pn
n=8でPn+1=Pn
n>8でPn+1<Pn
となり、n=8の時、即ちP9=P8で最大になる事がわかります。従って(Ans, n=8、9)//
因みに・・・実際にP8とP9を計算してみると、
共に$$( \frac {2^{8}× 7}{3^{8}}) の確率で最大になります。$$
まとめと反復試行の確率の関連記事へ
いかがでしたか?
・確率の最大系の問題は、Pnを表せれば、後はPn+1と比べるのが定石です。
・今回はPn+1とPnの差を使いましたがPn+1/Pnの様に割って解く方法もあります。
また、反復試行の問題は、様々な類題があるので少しづついろいろなパターンを網羅していきます。
>>「【確率を】場合の数と確率の総まとめ【得点源に】」<<
であらゆる場合の数と確率の問題を解説しています。是非ご覧下さい!
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