漸化式の解き方12回:一般項を予測して数学的帰納法で証明するタイプ
漸化式の解き方第12回は、これまでのタイプ1〜11が全て使えない時or上手く変形出来ない時に、
一般項を漸化式から推測して、数学的帰納法で証明する事で求める方法です。
数学的帰納法が苦手な人のために、専用の解説記事を用意し、更に例題中の式変形をかなり丁寧に書きました。
ぜひじっくりとご覧ください。
目次(タップした所へ飛びます)
数学的帰納法を使う漸化式の解き方
数学的帰納法については右の記事「数学的帰納法とは?そして証明のコツ」をご覧下さい!
これまでの漸化式の解き方は「数列の漸化式の解き方(一般項の求め方)一覧全12選」←のページにまとめています。
今回は実際に問題を解きながら解説していきます。
数学的帰納法 +漸化式
例題1:以下に初項と、n+1項、n項の漸化式を示す。一般項を求めよ。
$$a_{1}=\frac{1}{2} , a_{n+1}=\frac{8a_{n}-1}{25a_{n}-2} ,(n=1,2,3...)$$
解説1:大体4〜6項目まで書き出してみて、一般項を予測してみます。
4〜6項目まで書き出して規則性を調べる
一般項を予測するカタチの問題では、大抵の場合4〜6項目くらいまで書き出せば規則が見えてきます。(2、3個では法則がつかめないことが多いです)
$$a_{1}=\frac{1}{2} ,$$
$$a_{2}=\frac{8× \frac{1}{2}-1}{25× \frac{1}{2}-2} =\frac{2}{7} ,$$
$$a_{3}=\frac{8× \frac{2}{7}-1}{25× \frac{2}{7}-2} =\frac{9}{36} =\frac{1}{4} =\frac{3}{12} ,$$
※この第3項目を約分して、既約分数(分母分子がこれ以上割り切れない状態)である1/4にしてしまうと規則が見えなくなってしまいます。
$$a_{4}=\frac{8× \frac{1}{4}-1}{25× \frac{1}{4}-2} =\frac{4}{17} ,$$
$$a_{5}=\frac{8\times \frac{4}{17}-1}{25× \frac{4}{17}-2} =\frac{5}{22} ,$$
さて、ここまでで推測出来る事は、
(1)分母が2→7→12→17→22
(2)分子が、1→2→3→4→5
となっていることです。
ポイントは、(上でも書きましたが)第3項で完全に約分せず、3/12にすることに気付けるかです。
ただし、この様な場合はだいたいが「一般項を予測→数学的帰納法」のパターンである事が“問題文から読み取れる(ヒントがある)”ので注意深く文を読んでいけば問題ないでしょう。
さて、ここから一般項を予測します。
一般項の予測
分子はn(n=1,2,3...)、分母は初項2,公差5の等差数列になっているので
$$一般項a_{n}=\frac{n}{2+5(n-1)}=\frac{n}{5n-3},(n=1,2,3,,,)$$
である事が予測できます。
次に、数学的帰納法を用いて、nが全ての自然数で成り立つことを証明出来れば、一般項が求まります。
数学的帰納法で証明
以下一般項
$$a_{n}=\frac{n}{5n-3},(n=1,2,3,,,)...(※)$$
で表せることを、数学的帰納法を使用して証明していきます。
(ⅰ)n=1の時、$$a_{1}=\frac{1}{2\times 1-3}=\frac{1}{2}$$
より(※)は成立
(ⅱ)n=k(kは正の整数)の時、
$$a_{k}=\frac{k}{5k-3}$$で表せると仮定すると
<ここでpoint!:目標とするk+1番目の式をmemoしておきます。→「数学的帰納法で証明するコツ」>
$$<目標:a_{k+1}=\frac{(k+1)}{5(k+1)-3},>$$
n=k+1の時、
問題文の漸化式$$a_{n+1}=\frac{8a_{n}-1}{25a_{n}-2} $$より、
$$a_{k+1}=\frac{8a_{k}-1}{25a_{k}-2}$$
この式のakにn=kの時仮定した
ak=k/(5k-3)を代入すると、
$$a_{k+1}=\frac {8× ( \frac {k}{5k-3}) -1}{25× ( \frac {k}{5k-3}) -2}$$
$$\frac {\frac {8k-5k+3}{5k-3}}{\frac {25k-10k+6}{5k-3}}、$$分母分子に5k-3をかけて、
$$\frac {3k+3}{15k+6}=\frac {k+1}{5k+2}ここで$$
先ほどの目標とする式を思い出して、、
$$(目標の式):a_{k+1}=\frac{(k+1)}{5(k+1)-3}の形に$$
$$a_{k+1}=\frac {k+1}{5k+2}を変形すると、a_{k+1}=\frac{(k+1)}{5(k+1)-3}$$
よって、a(k+1)でも成り立つ。
よって数学的帰納法より、
$$一般項a_{n}=\frac{n}{5n-3},(n=1,2,3,,,)$$
流れはつかめてきたでしょうか。
ここでもう一題、定着用の類題を用意しました。
一般項推測+数学的帰納法型(2)
この問題は一般項を推測するのが難しいので、ヒントを読んで、一般項を把握したのちに“自力”で数学的帰納法を使って証明してみてください。
例題2:\(初項a_{1}=5,a{n+1}=2a_{n}+3^{n}\)の一般項を推測し、
数学的帰納法を用いてそれを証明せよ。
(6項目くらいまで自力で計算して、一般項を予測してみて下さい。わからない場合はヒントへ)
・・・
・・・
\(hints!一般項:a_{n}=2^{n}+3^{n} \)
(これを思い付くのはかなり難しいです)
ここからが本題の数学的帰納法で証明する領域です。
例題1や、前回の記事「数学的帰納法を使った証明のコツ」をよく読んで、自分で証明を紙に書いてみて下さい。
解答解説2
では証明していきます。
一般項が\(a_{n}=2^{n}+3^{n}\)であることを数学的帰納法で証明する。
(ⅰ)n=1の時、\(a_{1}=2+3=5\) より成立する。
(ⅱ)n=kの時、\(a_{k}=2^{k}+3^{k}\)が成り立つと仮定すると、
<※ここで目標とする式をmemoしておきます>
<:(\(目標の式:a_{k+1}=2^{k+1}+3^{k+1}\))>
n=k+1の時、問題文中の漸化式
(\(a_{n+1}=2a_{n}+3^{n}\))より
\(a_{k+1}=2a_{k}+3^{k}\)
この\(a_{k}\)に(ⅱで仮定した)\(2^{k}+3^{k}\)を代入すると、
\(a_{k+1}=2×(2^{k}+3^{k})+3^{k}\)
\(⇔a_{k+1}=2×2^{k}+2×3^{k}+3^{k}\)
ここで、3のk乗で右辺の一部をくくる。
\(⇔a_{k+1}=2×2^{k}+(2+1)×3^{k}\)
\(⇔a_{k+1}=2^{k+1}+3^{k+1}\)
したがって、n=k+1の時も成立するので、
\(一般項はa_{n}=2^{n}+3^{n}\)・・・(答)
まとめと漸化式の解き方一覧
・今回の例題2は、他の漸化式の解き方のタイプでも解けるのですが、仮に忘れていても今回の方法で解くことが出来ます。
・もちろん、今回の推測→数学的帰納法で証明でしか解けない問題も出題されるので、ぜひ身につけておきましょう。
・今回までで漸化式の解き方シリーズはほぼ網羅しました。
・一回で全てマスターする事は難しいので、以下のリンク先のまとめページを使って、何度も見直し、類題を解いて定着させて下さい!
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