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極限第2回:様々な関数の極限と不定形
前回に引き続き数学Ⅲの極限の基礎固めを行なっていきます。
第一回は↓からご覧下さい!
極限第一回:「極限とは?そして片側極限、関数の連続性まで基礎をチェック」
目次(タップした所へ飛びます)
極限の計算と不定形の解消
<第一回>
・極限とは何か?
・片側極限
・左右極限の一致と極限の存在
・関数の連続性
<今回>
・指数関数の極限の様々な公式
・指数の底による場合分け
・三角関数の極限と近似
・極限の計算問題
・不定形とは
・不定形の解消法
<第3回以降>
・発散の速さ
・はさみうちの原理
・追い出しの原理
・無限級数
・無限等比級数
極限の様々な公式一覧
極限分野を突破する上で必須の公式を紹介します。
・極限の基本公式
$$\lim _{x→ 0}x=0,\lim _{x→∞ }\frac {1}{x}=0$$
指数関数に関する極限公式と場合分け
$$\lim _{x→∞ }a^{x}$$
$$\begin{aligned}-1 <a <1→ 0\\
a=1→ 1\\
a >1→ +∞ \end{aligned}$$
収束する条件は-1<a≦1の時のみであることに注意しましょう。
実際にaを具体的な数値に変えてみると分かりますが、ー1<a<1の時0に収束、
a=1の時1に収束し、a>1の時正の無限大に発散、a≦-1の時、振動します。
三角関数の極限公式と近似
$$\lim _{x→ 0}\frac {\sin x}{x}=1$$
上の式は超重要公式です。意味を読み解くとsinxとxを限りなく 0に近付けた時、
sinx≒xと見なせる、と言う事をいっています。
これは三角関数のグラフを見ると感覚的に理解しやすいです。
y=sinxのグラフとy=xのグラフの原点に迫ると、ほぼ同じであるからです。
これは、物理などでもよく利用します。(「sinθ≒θと近似して良い。」などの形で、力学や光波の問題文中に登場します)
ネイピア数についての極限公式
$$\lim _{x→∞ }( 1+\frac {1}{x}) ^{x}=e$$
$$\lim _{x→ 0}( 1+x) ^{( \frac {1}{x}) }=e$$
5つ目の式で定義されているeという数は「ネイピア数」と呼ばれているものです。
ネイピア数について詳しく(現実にどんなふうに役立つのか)知りたい方の為に、
「ネイピア数って何の為にあるの?」を作成しました。
ネイピア数は上の記事で書いた性質の他にも数学に於いて重要な役割が有ります。
極限の計算問題
極限値を求める問題では、大抵がなんらかの工夫(式変形)をする必要があります。
以下の例題はその極一部です。一度考えてみてください.
例題1
$$\lim _{x→∞ }\frac {3x^{3}+x^{2}}{x^{3}+1}$$
例題1については、そのままの状態だと正の無限に発散するもの÷正の無限大に発散するもの
(不定形と言い、この記事の後半で詳しく解説します)となってしまい計算できません。
そこで、最も大きいx3で分母分子を割る事で、不定形が解消されて、極限値を求められる様になります。
$$\lim _{x→ ∞ }\frac { (3x^{3}/x^{3})+ (x^{2}/x^{3})}{ (x^{3}/x^{3})+(1/x^{3})}=\lim _{x→ ∞ }\frac {3+ (1/∞ )}{1+(1/∞ )}$$
よって、$$\frac {3+0}{1+0}=3$$
例題2
$$\lim _{x→ 0}\frac {sin3x}{sinx}$$
例題2は、sinが式中にあるので、$$\lim _{x→ 0}\frac {\sin x}{x}=1の公式が使えるように変形して行きます$$
$$\lim _{x→ 0}\frac {\sin 3x}{sinx}=\lim _{x→ 0}\frac {x}{\sin x}× \frac {\sin 3x}{3x}× 3=3$$
上でも述べた様に、極限値を求めさせる問題は工夫して解答する必要があるので、
普段から様々なタイプの計算をすることをおススメします。
不定形とは?
例えば、$$\lim _{x→∞ }( 5^{x}-2^{x}) のような場合を考えてみます$$。
5 ^xが正の無限大へ発散、2 ^xも正の無限大へ発散する事は分かりますが、
全体としてどの様な極限に向かうかは分かりません。
(∞は数字ではないので、簡単に引いたり割ったり出来ない)この様な時「不定形」と言います。
具体的には、0/0、∞ー∞、0×∞、∞/∞の様な形が出てくる事があります。
そこで、不定形がでてきたときは、以下の様な操作をする事で、不定形を解消します。
不定形の種類とその解消法一覧
ここからは、実際に4つのパターンの不定形を紹介し、それぞれの不定形の解消方法を解説していきます。
(1):(∞-∞)型の不定形
$$\lim _{x→∞ }\sqrt {x^{2}+2}-x$$
(2)∞/∞型の不定形
$$\lim_{x→∞} \frac{2x^{3}+x+2}{x^{3}+2x^{2}+1}$$
(3)指数部分が∞型の不定形
$$\lim_{x→∞} \frac{3^{x}+1}{5^{x}+2^{x}}$$
(4)0/0型の不定形
$$\lim_{x→ 3} \frac {\sqrt{x+22}-5}{x-3} $$
この極限x→3をとると、0/0 になります。 (0/0型不定形)
それぞれの不定形の解消法
(1)
このタイプでは、『分子の有理化』を行います。つまり、無理矢理分数の形に持ち込み、かつ、新たにできた分子の部分のルートが外れるように、工夫した式を分母分子に掛けます。
$$\frac {(\sqrt {x^{2}+2}-x)(\sqrt {x^{2}+2}+x)}{(\sqrt {x^{2}+2}+x)}=\frac {2}{\sqrt {x^{2}+2}+x}$$
この極限をとると、2/∞よりx→∞ の時、$$\lim _{x→∞ }\sqrt {x^{2}+2}-x →0$$・・・(答)
(2)分数形で∞/∞の場合は、分母にある最も次数が高いxで分母・分子を割ります。
すなわち、ここでは『x3』で割ります。$$\frac{2+(1/x^{2})+(2/x^{3})}{1+(2/x)+(1/x^{3})} $$
上の式で、分子の『2』と分母の『1』以外は全て極限をとると0なので、結局、
$$\lim_{x →∞} \frac{2x^{3}+x+2}{x^{3}+2x^{2}+1}=2$$・・・(答)
(3)指数部分が∞に飛ぶタイプの不定形では、分母にある、底(3xの3や5xの5など)が最大の◯xで分母分子を割ります。$$ \frac{(3/5)^{x}+(1/5)^{x}}{(1+(2/5)^{x}} $$
この極限をとると、1以外は全て0。0+0/1+0 =0/1より、
$$\lim_{x →∞} \frac{3^{x}+1}{5^{x}+2^{x}}=0$$(答)
(4)今度は、x→∞ではなく、x→3 に向かい、かつ0/0型の不定形です。
このような場合でも、(1)と同様に、『分子の有理化』を行うことで不定形を解消できます。
$$\frac {(\sqrt{x+22}-5)(\sqrt{x+22}+5)}{(x-3)(\sqrt{x+22}+5)}$$
$$=\frac {(x-3)}{(x-3)(\sqrt{x+22}+5)}$$
さらに、(x-3)で約分すると、$$\lim_{x →3}\frac {1}{(\sqrt{x+22}+5)}=\frac{1}{10}・・・(答)$$
極限と不定形まとめと次回(はさみうち)へ
大抵の不定形は上の4つ+αの形をしており、解消法も決まっています。
ぜひ、教科書や問題集で類題を探して定着するまで解いてみてください!
次回は、極限の中でも最重要と言える、はさみうちの原理・追い出しの原理に取り掛かります。
2018/06/02:極限第三回作成しました。下よりご覧下さい。
引き続き>>「極限(三)はさみうちの原理と追い出しの原理」<<を読む。
2019/01/31更新:極限分野を0から解説した記事をまとめました。
>>「0から始める数学Ⅲ極限:厳選6記事」<<
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