放射性崩壊の法則と半減期
半減期と微分方程式
・半減期の公式は導く
・放射性崩壊の法則
・任意の時間tでの原子数の式を導く
・半減期の定義の確認
・原子数の式から半減期の公式へ
半減期の式の理解
今回は高校化学/物理で出現する「半減期」を深く理解することを目的に執筆しました。
いわゆる「半減期の公式」だけを覚えても応用がきかないので、
なるべく本質的に、且つ高校範囲内に収まる様に解説しているので、更に詳しく・正確に学びたい方は大学で!
放射性崩壊の法則
放射性崩壊の法則というものがあります。今回はこの法則を出発点として半減期をはじめとする様々な式を導出していきます、
任意の時間tでの原子数の式を導く
$$-\frac {dN\left( t\right) }{dt}=\lambda \times N\left( t\right) \ldots \left( \ast \right) $$
この式は左辺に微分の式が入っているので微分方程式ですが、変数分離型の最も易しいタイプです。
変数分離して積分すると、
$$\int \frac {1}{N\left( t\right) }dN\left( t\right) =-\lambda \int dt$$
$$\Leftrightarrow \log \left| N\left( t\right) \right| =-\lambda t+Const.$$
Const.は積分定数で、右辺にまとめました。
$$\Leftrightarrow N\left( t\right) =e^{-\lambda t+Const.}$$
ここで、積分定数を初期条件であるN(0)つまりt=0の時の原子量に書き換えて
$$\Leftrightarrow N\left( t\right) =e^{-\lambda t}\times N\left( 0\right) ・・・(**)$$
これで任意の時刻t(知りたい時刻)での原子量を求める式ができました。
半減期の定義の確認
次に、半減期とは何かを考えると時刻t=0の時の原子の半分になるまでの時間なので、以下の式が成り立つはずです。
Tを半減期とおいて
$$\frac {1}{2}N\left( 0\right) =N\left( T\right) $$
(**)の式にTを代入して得る式$$ N\left( T\right) =e^{-\lambda T}\times N\left( 0\right) $$
を代入して整理すると
$$\begin{aligned}\frac {1}{2}N\left( 0\right) =e^{-\lambda T}\times N\left( 0\right) \\
\Leftrightarrow \frac {1}{2}=e^{-\lambda T}\end{aligned}$$
両辺自然対数をとって式変形して
$$\begin{aligned}\log \frac {1}{2}=-\lambda T\\
\Leftrightarrow -\log 2=-\lambda T\end{aligned}$$
$$従って、半減期はT=\frac {\log 2}{\lambda }$$
原子数の式から半減期の式へ
ここまでで、半減期がネイピア数を底とする対数log2を崩壊定数λで割ったものであることが分かりました。
ここからは、教科書でよく見る半減期の公式に変形していきます。
$$一旦右の式に戻ります\Leftrightarrow N\left( t\right) =e^{-\lambda t}\times N\left( 0\right)$$
$$e^{-\lambda t}\rightarrow \left( e^{-\lambda T}\right) ^{\frac {t}{T}}$$
$$\frac {1}{2}=e^{-\lambda T}を考慮に入れて$$
$$N\left( t\right) =N_{0}\left( \frac {1}{2}\right) ^{\frac {t}{T}}$$
化学の反応速度論へ
割と大変でしたが、この一連の計算は、「化学」の反応速度論(一次反応)でもほぼ同じ様に使うことが出来ます。
類題が京大で以前出ていたので、やや発展的な内容ですが慣れておくと良いと思います。
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