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執筆者・編集者プロフィール
安田周平
個別指導塾YES/YESオンラインスクール塾長・船場物産株式会社代表取締役社長。
理数・情報系記事とデータサイエンスの為の基本レベルの線形代数等の解説記事を執筆しています。

二次曲線シリーズ第2回:双曲線の特徴と式の導出

<今回の内容>:前回の「二次曲線と円錐の関係と『放物線』」に引き続き、今回は3つの二次曲線のうちの一つである”双曲線”の式の導き方と特徴を解説していきます。

双曲線とは

双曲線とは、円錐を上下に2つ重ねて斜めに切ると断面に現れる二次曲線で(図1参照)、その概形は下のグラフの通りです。

円錐の切り方と断面の二次曲線(双曲線と放物線)

<双曲線と円錐(再掲)>

双曲線(=1のタイプ)

<双曲線のグラフ1>

双曲線の定義

双曲線の定義は、”焦点F”と”もう一方の焦点F'”の2点からの”距離の差が常に一定”である点(:ここではPとする)の軌跡ことです。(ただし、差が0の時を除きます)

双曲線の方程式の導出

では、この点Pの軌跡を導出することで双曲線の式を求めてみます。

まず、”一定の距離”を2aとします。

さらに焦点Fの座標を(f,0),F'の座標を(-f,0)とする(ただしf>a>0)と、PFとPF'の差が常に2aであれば良いので、『図形と方程式』の“軌跡の求め方”の要領で、Pを(x,y)とおくことで次の式が成り立ちます。

|PF-PF'|=2a

\(|\sqrt{(x-f)^{2}+(y-0)^{2}}-\sqrt{(x+f)^{2}+(y-0)^{2}}|=2a\)

ここで絶対値をとっているのは、PF<PF'の場合でも距離>0を取るためです。

上の式を変形していきます。

まず、絶対値を外した上で一方のルートを右辺に、残りを左辺に移行して2乗をすると、

\(\sqrt{(x-f)^{2}+(y)^{2}}-\sqrt{(x+f)^{2}+(y)^{2}}=\pm 2a\)

\((左辺)=\sqrt{(x-f)^{2}+(y)^{2}}\mp 2a\)

\((右辺)=\sqrt{(x+f))^{2}+(y)^{2}}\)

より、

\((x-f)^{2}+y^{2}\mp 4a\sqrt{(x-f)^{2}+y^{2}}+4a^{2}\)

\(=(x+f)^{2}+y^{2}\)

まだルートが残っているので、このルートの部分だけ右辺へ移項した上で式を整理していきます。

\((左辺)=(x-f)^{2}+y^{2}+4a^{2}-(x+f)^{2}-y^{2}\)

\((右辺)=\pm 4a\sqrt{(x-f)^{2}+(y-0)^{2}}\)

左辺は綺麗に打ち消しあって、\(a^{2}-fx=\pm a\sqrt{(x-f)^{2}+y^{2}}\)

となるので、もう一度ルートを外すために二乗します。

すると、\(a^{4}-2a^{2}fx+f^{2}x^{2}=a^{2}(x^{2}-2fx+f^{2}+y^{2})\)

ゆえに、\(a^{4}+f^{2}x^{2}=a^{2}x^{2}+a^{2}f^{2}+a^{2}y^{2}\)

ここから少し慣れが必要かもしれません。

(とりあえず次の項で紹介する『双曲線の式』を目指して変形していきます。)

\(x^{2}(f^{2}-a^{2})=a^{2}(f^{2}-a^{2})+a^{2}y^{2}\)

ここで、はじめにf>a>0だったので、\((f^{2}-a^{2})>0;で両辺を割ります\)

$$x^{2}=a^{2}+\frac{a^{2}y^{2}}{f^{2}-a^{2}}$$

これを更にaの二乗で割ることによって、我々が知っている双曲線の方程式にかなり近づきました。

$$\frac{x^{2}}{a^{2}}-\frac{y^{2}}{f^{2}-a^{2}}=1$$

最後に、\(f^{2}-a^{2}=b^{2}\)(bは実数)と置くことで、$$\frac{x^{2}}{a^{2}}-\frac{y^{2}}{b^{2}}=1$$

となって、双曲線の式が導けました。

双曲線のグラフと式

上の項で導出したように、双曲線の式は$$\frac {x^{2}}{a^{2}}-\frac {y^{2}}{b^{2}}=\pm1$$で表されます。

(今回紹介したのは、右辺が1の双曲線でしたが、右辺が-1の場合も同様の考え方で導くことが可能です。)

焦点の座標

そして、その焦点の座標は、

・右辺=1の場合(すなわち以下の図1のように双曲線がx軸の正方向と負方向に開いている場合)\(F(\sqrt{a^{2}+b^{2}},0),F'(-\sqrt{a^{2}+b^{2}},0)\)

さらに

・右辺=-1の場合(今度は図2のように双曲線がy軸正・負方向に開いている場合)\(F(0,\sqrt{a^{2}+b^{2}}),F'(0,-\sqrt{a^{2}+b^{2}})\)

となります。

これは、はじめに焦点Fの座標を(f,0)としたので、\(f^{2}-a^{2}=b^{2}\)(bは実数)より\(f^{2}=a^{2}+b^{2}\)ここでルートを取ることによって、\(f=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\)から求めることができます。

 

双曲線(=1のタイプ)

<双曲線のグラフ:右辺が1の場合>

双曲線(=-1)のタイプ

<双曲線のグラフ:右辺が-1の場合>

漸近線など双曲線の特徴

双曲線には、図にも書いていますが”漸近線”(読みは『ぜんきんせん』です)という直線が2本引けます。

これは、双曲線を伸ばし続けた時に限りなく近づく直線で、2パターンのうちどちらも$$y=\pm\frac{ax}{b}$$という式で表せます。

双曲線のまとめと次回「楕円」へ

・双曲線の定義は「2つの焦点の距離の差が一定の点の軌跡」である

・方程式/焦点/頂点はそれぞれ右辺の±1に応じて1つずつある

・漸近線は、どちらのパターンでも共通で「$$y=\pm\frac{ax}{b}$$」で表すことが出来る

次回は、3つ目の二次曲線「楕円」の式の導出・面積公式、接線の求め方について紹介していきます。

二次曲線シリーズと楕円へ

第1回:「二次曲線と円錐の関係と『放物線』

第2回:「双曲線のグラフと方程式の定義・導出(今ここです)」

第3回:「楕円のグラフと式・面積公式と接線

 

 

今回も最後までご覧頂き、有難うございました。

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