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複素行列と随伴行列とは

<この記事の内容>:これまでの「線形代数・行列シリーズ(総まとめページ)」では行列の成分(要素)が実数であるものだけを扱ってきました。

ここからはもう少し発展させて、要素が複素数の場合の行列:「複素行列」について、数回にわたり解説していきます。

(この第1回は次回以降のユニタリ行列・エルミート行列の準備編です)

複素数の行列

行列の扱える範囲を実数から複素数へより広くすることで数学、特に線形代数において重要な性質が見えてきます。では、さっそく具体的な性質・公式に移ります。

複素行列の性質

まずはじめに、複素行列のいくつかの性質を紹介していきます。

A,Bを要素が複素数の行列として、その共役を\(\overline {A}と\overline {B}\)と置きます。さらにcを複素数の定数とします。

\(\overline {A+B}=\overline {A}+\overline {B}\)

\(\overline {A-B}=\overline {A}-\overline {B}\)

\(\overline {cA}=\overline {c}\overline {A}\)

\(\overline {AB}=\overline {A}\overline {B}\)

\(\left( \overline {\overline {A}}\right) =A\)

 

<複素行列の性質1〜5>

性質・公式の証明

  これらの公式は\(成分表示A=a_{i,j}\)を用いることで比較的簡単に示すことが出来ます。

それぞれの証明の流れを簡単に紹介します。

 

複素行列の性質の証明
このように、行列同士の積の性質は成分表示することで比較的簡単に見えてくることがあります。

1と2では、【和及び差の共役】を【共役の和及び差】に書き直す操作をしています。

複素行列の性質の証明2

 

3では、【定数と成分の積の共役】を【定数の共役と成分の共役】に変形しています。

4は少し複雑に見えますが、実は単純な計算を行っています。

行列の掛け算における成分の定義を応用して、証明の簡略化を図っています。

(参考:「行列の掛け算の注意点と手順」)

積の成分は成分同士の積の和になるため、複素数の性質を使って上手く計算できるようになっています。

また、5に関しては複素数の共役の定義から明らかです。

随伴行列とは?

線形代数において、この複素共役をとった行列も重要ですが、実はもう一つ欠かすことのできない行列が存在します。

それは「随伴行列」というもので、「転置行列」と「複素共役」を合わせた様な性質を持ちます。

転置行列と複素共役

まずは「転置行列」から紹介します。これは「行と列の関係を入れ替えた」行列の事で、Aを行列とすれば\(A^{T}\)と書くことが多いです。

(tを書く位置ですが、右上にtを表記してしまうと「Aのt乗」と誤解されてしまうため一般的に左上に書きます。しかしtではなくTと大文字で書く場合であれば右上でも問題ありません。)

ではここから先は、上述したように《転置行列と複素共役》を合わせた「随伴行列」を定義します。

随伴行列の表記はいくつかありますが、このシリーズでは\(A^{\ast}\)というように書きます。

いずれにしても、書き方が違っていても考えることは同じです。

随伴行列の性質・公式

随伴行列についても和や積の公式が存在し、行列の複素共役についての公式と、ここには掲載していませんが転置行列の公式を合わせたような見た目をしています。

\(\left( A+B\right) ^{\ast }=A^{\ast }+B^{\ast }\)

\(\left( A-B\right) ^{\ast }=A^{\ast }-B^{\ast }\)

\(( cA) ^{\ast }=\overline {c}A^{\ast }\)

\(\left( AB\right) ^{\ast }=B^{\ast }A^{\ast }\)

\(\left( A^{\ast }\right) ^{\ast }=A\)

 

証明は複素共役についてのものとほぼ同じで、成分の入れ替わりに注意しつつ、共役をそれぞれ取ることで示せます。

これらの公式についてですが、1,2,3ははじめに紹介した公式とほぼ同じで、4のみ積の順序が入れ替わっていることに注意です。

5に関しては「転置行列を転置すると元に戻る」という性質と「複素共役の共役をとると元に戻る」という、「元に戻す」2つの性質が上手く組み合わさったものになっていることがわかります。

複素行列(1)まとめと続編へ

・複素数を要素(成分)にもつ行列を複素行列といい、主な5つの性質とその証明を紹介しました。

・複素行列で、かつ転置行列の性質をあわせ持つ「随伴行列」は次回以降特に重要になってくるのでよく復習しておきましょう。

線形代数シリーズ一覧と「ユニタリ行列」へ

複素行列第一回「(今ここです)」

複素行列シリーズ(2)では、「直交行列とユニタリ行列の性質・定義とその証明

について詳しく紹介していきます。

また、これまでの線形代数は→「線形代数を0から始める!解説記事のまとめでご覧いただけます。

 

 

今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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