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化学反応式と係数決定(目算法と未定係数法)

この記事では、化学反応式の各原子(分子)の係数を決める際どんなに複雑な式であっても、

正確に「式を解いていくだけで」自動的に係数決定できる方法を解説します。

化学反応式の作り方と係数決定法の裏技?

・目算法のメリット

・目算法の限界と未定係数法

・未定係数法を実例を通して習得する

・未定係数法を更に効率化する

目算法のメリット

一般的に、化学反応式の係数を求める方法としてはじめに習う方法は目算法(他にも呼び方は有ります。)です。

これは、反応式の左右の分子の係数を過不足ないように”手動“で調整するものです。この方法は、式がごく簡単な場合(反応物と生成物の種類の合計がせいぜい3or4つまで)には、早さの面でこれから紹介する未定係数法に勝ります。

例)酸素と水素から自らが生成される式

H2 +O2→H2O

手順1)生成物のOの数を反応物のOの数と合わせる為にH2Oを2倍にする。

H2 +O2→2H2O

手順2)左辺と右辺のHの数を合わせるために、反応物のH2を二倍にする。

2H2+O2→2H2O

目算法の限界と未定係数法

しかしながら、ほとんど全ての反応式(イオン式も含む)はこの目算方で解くことが時間的に難しいです。

例2):硫酸酸性条件下で、過マンガン酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)から硫酸カリウムと硫酸マンガン(Ⅱ)、硫酸鉄(Ⅲ)と水が生成される以下の化学反応式の係数を決定せよ。

$$KMnO_{4}+FeSO_{4}+H_{2}SO_{4}$$

$$\rightarrow K_{2}SO_{4}+MnSO_{4}+Fe_{2}\left( SO_{4}\right) _{3}+H_{2}O$$

これを目算法で解くのはかなり辛いはずです。

ここで、使用するのが今回の本題である「未定係数法」です

未定係数法を習得する

未定係数法は、例を見ながらの方が習得しやすいので、実際に

$$KMnO_{4}+FeSO_{4}+H_{2}SO_{4}$$

$$\rightarrow K_{2}SO_{4}+MnSO_{4}+Fe_{2}\left( SO_{4}\right) _{3}+H_{2}O$$

この過マンガン酸カリウムと硫酸鉄と硫酸の反応式を使って、未定係数法を学んで見ましょう。

手順1:各分子/原子の係数部分にアルファベットを順番に振っていく

まず、反応式の各原子・分子・(あればイオン、電子にも)の前にアルファベット(係数)を書いていきます。

$$aKMnO_{4}+bFeSO_{4}+cH_{2}SO_{4}$$

$$\rightarrow dK_{2}SO_{4}+eMnSO_{4}+fFe_{2}\left( SO_{4}\right) _{3}+gH_{2}O$$

(手順2)元素ごとに等式を作る

以下に示します。

・Kについて、a=2d

・Mnについて、a=e

・Oについて、4a+4b+4c=4d+4e+12f+g

・Feについて、b=2f

・Sについて、b+c=d+e+3f

・Hについて、2c=2g

要するにアルファベットで置いた係数と各分子(原子)の数をかけて、反応式の(左辺)=(右辺)

の式を6つの元素があるので6本作ったわけです。

ここで重要な事は、係数がa,b,c,d,e,f,gの7つあるのに対して式が6つしかないので解けないという事です。

丁度、整数の不定方程式と似ています。

そこで、

手順3:取り敢えずa=1と仮定して式を解いていく

解決策は、とにかくどのアルファベットでも良い(基本的にはa)ので、=1とおくことです。

・Kについて、a=1とおいて、1=2d より  d=1/2 。

・Mnについて、a=e だからa=1よりe=1 。

・Oについて、4a+4b+4c=4d+4e+12f+2g は、

 a=1、d=1/2、e=1だから

4+4b+4c=4(1/2)+4(1)+12f+g 。

従って、4b+4c=2+12f+g・・・(※)

・Feについて、b=2f

・Sについて、b+c=d+e+3fの式で、b+c=(1/2)+1+3fよって、b+c=(3/2)+3f。

・Hについて、2c=2g より、c=g。

ここで、これらの式を整理して,4b+4c=2+12f+gと、4b+4c=6+12f、の2式より、

g=4、c=4、更に、b=2fとb+4=(3/2)+3fを解いて、b=5、f=5/2。

手順4:分母を払って、アルファベットに対応した数字が求める係数

反応式の係数に分数がつくとまずいので、これらをまとめて、整数になる様に2倍します

(a,b,c,d,e,f,g)=(2,10,8,1,2,5,8)

これらを先ほどの反応式に当てはめると、

$$2KMnO_{4}+10FeSO_{4}+8H_{2}SO_{4}$$

$$\rightarrow K_{2}SO_{4}+2MnSO_{4}+5Fe_{2}\left( SO_{4}\right) _{3}+8H_{2}O$$

※実際にはこれほど複雑な反応式の係数決定の問題は出題されませんが、極端な例として取りあげました。

(酸化還元反応<参考:「酸化還元反応をはじめから!意味と応用まとめ」>の半反応式を組み合わせる過程でたまに出てくる式です)

未定係数法を更に効率化する

この様にして、式を解いていくだけで自動的に係数決定ができる点がこの方法の大きな利点です。

欠点として、慣れないうちは時間がかかるという面がありますが、

慣れると計算を早くする方法が見えてきます

今回の例で言えば、a=2dの式の時点でa=2としておけば、分数の計算の量が減りspeed up 出来ます

他にもa=1と仮定するのでは無く、どの文字(ここでは、b,c,d,e,f,g)に数字を仮定すればさらに効率的か?

などのテクニックも分かるようになってきます。

化学反応式の係数決定法のまとめと続編「過不足のある化学反応を解くコツ」

はじめは未定係数法の方が複雑に見えますが、目算法はやはり限界があります。

従って、自動的かつ正確に反応式を作るためにも、早いうちから簡単な式であっても未定係数法を使うことに慣れておきましょう!

続編出来ました「過不足のある化学反応を解くために必須の表とは?」←の記事では、反応物が全て消費されず、余りが出るような反応の問題の解き方を具体的な3種類の例(酸塩基の中和・燃焼・アンモニアの生成)を使って解説しています。

 

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コメント一覧
  1. 川口 より:

    質問です!未定係数法の説明で最初にa=1と仮定すると書いてありますが、仮に答えがa=2だった場合a=1で進めてしまっては答えがバラバラになってしまうのではと思ったのですがどうすればよいでしょうか。拙い文章で申し訳ないですがよろしくお願いします。

    • Shu Yasuda より:

      ご質問ありがとうございます。確かにa=1と仮定して進めた結果、a=2であったと言うことはよくあり、(実際記事中で紹介している『過マンガン酸カリウム』の反応もa=2でした)この様な場合、a=2のところをa=1で計算すると、正しい係数の半分の値(それぞれの係数が分数で表されることもあります)が求まります。
      ここで大切なことは『係数の比は変らない』ので、a=1で各係数を求めた後”分数になっている係数が整数になるように”全体を2倍してあげることで正しい答えが導けます。
      まとめると、『a=1で仮定→正しい答えがa=1でなければ他のいずれかの係数が分数になる→その分数が整数になるように全ての係数を○倍する』の手順を踏めば答えがバラバラにならず正答できます。
      (長文になりましたが、理解できましたでしょうか?まだ引っかかる部分があれば遠慮なくご質問ください)管理人。

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