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執筆者・編集者プロフィール
安田周平
■個別指導塾YES/YESオンラインスクール塾長・船場物産株式会社代表取締役社長。
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理想気体のグラフの頻出問題を攻略!

<この記事の内容>:以下のような、

<問題例(解答方法は本編で詳しく解説します)>:次のグラフのうち正しいものはどれか。

理想気体のgraphの選択問題イメージ

・「理想気体において『PーVグラフ』での\(T_{1},T_{2}\)や、『V-Tグラフ』での\(P_{1},P_{2}\)、『P-Tグラフ』での\(V_{1},V_{2}\)などがそれぞれ並べてあって、正しいものを選ぶ」

という頻出問題が苦手な人を対象に、

・《状態方程式の利用と少しの変形》で確実に正答できるよう、具体的な問題を通して解説しています。

理想気体とP-T/V-T/P-Vグラフ

先に、ボイル=シャルル/ボイル/シャルルの各法則および、《理想気体の状態方程式》の知識を確認したい人は、

>>「状態方程式を0から解説!計算や式の意味ボイル=シャルルの導出など」<<をご覧ください。

圧力Pー温度TグラフとV(体積)の比較

まず縦軸にPressure(P)横軸にTemperature(T)温度を持ってきたグラフを見てみます。

P-T:graphとV1,V2の例

この図の正誤を判定する方法は、”『PV=nRT』を変形するだけ”です。

具体的には”数学のxーy座標”をイメージして、縦軸の”y”の代わりに”P"があり、横軸の”x”の代わりに“T”になっていることから、y=αxのグラフを作るように、P=αTの式へとPV=nRTを動かしていきます。

まず:P=(左辺)

にすると、

$$(右辺)=\frac{nRT}{V}$$となり、nとRは変化しませんから(どちらも定数扱いして)αと置いてみます。

$$P=\alpha \frac{T}{V}$$

上の式から、PとTは比例関係にあることがわかるので、確かに上のPーTグラフは◯。

図中のV1/V2の上下関係の判別法

ところで、”V”の扱い方ですが、問題の図中に\((V_{1},V_{2})\)といった2つ(以上)の直線or反比例の曲線が出てくる場合があります。

その時には『比例関係であることは変わらず意識しながら』、指定された\(V_{大},V_{小}\)を分母に代入してあげることで、

\(V_{大}\)の方が分母が大きくなる

よって全体としてPの値は小さくなる

二本の比例グラフのうち下側が\(V_{大}\)と判断できる。と言う風に解いていくことが出来ます。

(一例です。詳細は以下の問題編にて。)

圧力P-体積VグラフとT(温度)の比較

次に、縦軸にPressure(P)横軸にVolume(V)体積のグラフです。

P-V:graphとTの高低の比較・反比例のイメージ

同様にPV=nRTより、$$P=\frac{nRT}{V}$$

nとRはこの場合も(どちらも定数扱いして)αと置き、

$$P=\alpha \frac{T}{V}$$

上の式から、PとVは反比例の関係にあることがわかるので、確かに上のPーVグラフは◯です。

Tの扱い方

また、図中の\(T_{1}、T_{2}\)については、上で紹介した「P-Tグラフ中のV1、V2」の判定法と同じように進めます。

体積Vー温度TグラフとP(圧力)の比較

3つ目は、縦軸にVolume(V)体積、横軸にTemperature(T)温度のグラフを見てみましょう。

V-Tグラフと圧力の大小のイメージ図

もう立式の方法にも慣れて来たのではないでしょうか?(3回目です。)

PV=nRTより今度はVを(左辺)に残して、$$V=\frac{nRT}{P}$$

nとRをαと置き、

\(V=\alpha \frac{T}{P}\)

上の式から、TとVは比例の関係にあることがわかるので、確かに上のVーTグラフは◯。

Pの扱い方

図中の\(P_{1}、P_{2}\)もこれまで通りの方法で◯×を調べます。

比例/反比例の考え方で正しいグラフを選ぶ方法【問題編】

では、ここからは上のグラフを全て合わせて、正しいものを選ぶ”具体的な”例題を紹介します。

問題:6つのグラフから正しいものを選ぶ

以下の(a)〜(f)までの六つのグラフから、正しいものを選んで答えよ。ただし、\(T_{1}>T_{2},P_{1}>P_{2},V_{1}>V_{2}\)とする。

グラフ選択問題のイメージ図:(a)~(f)まで

センター試験、2次試験などでよく見るタイプの問題です。

解説と式変形の方法・考え方

ではここからは、(a)〜(f)まで、一つ一つ立式して◯×を判定していきましょう。

反比例になっている場合

(a)と(b):反比例のグラフになっています。

実際に縦Pー横Vの軸に合わせて式を立てて、定数部分をαとおいていくと、$$P=\frac{nR}{V}T⇔P=\frac{\alpha}{V}T$$

従って反比例である点は(a),(b)共に正解です。

次に図中の\(T_{1},T_{2}\)の上下について考えます。

すると、\(T_{1}>T_{2}よりT_{1}\)の方がPを大きくするので、正解は(b)・・・(答)。

比例関係の場合

(c)と(d):先ほど上で解説したV-Tグラフです。pv=nRTから変形することで、$$V=\alpha \frac{T}{P}$$(詳細は上の項を参照してください)。

あとは\(P_{1}>P_{2}\)を考慮するとPが大きいほど分母が大きくなり、Vが小さくなるので\(P_{2}\)が上に来る(c)が◯です。

値が一定となっている場合など

(e)と(f)は共に値が一定になっています。

縦P-横Tを見るとこれは本来、比例関係にないといけない:$$P=\frac{nR}{V}T⇔P=\frac{\alpha}{V}T$$ので、この時点で両方とも×です。

 

従って、(a)~(f)のうち、正しいグラフは (b)、(c)  ・・・(答)

解法の4stepまとめと理論化学:気体の記事へ

この様に、グラフがたくさんあり、軸も違う上に引かれた線も2本以上あるような「一見どこから手を付けていいかわからない」問題ですが、

step1:状態方程式を変形

step2:軸の2つと引かれた線の「3つ」以外を定数とおき、式を作る

step3:比例・反比例を(step2の式)で判定

step4:図中の曲線/直線の大小(上下関係)は変形した式から読み取る

この4つのstepで必ず正答できるので、何度か復習をしながら解法を身に付けてみてください。

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