条件付き確率の攻略
<この記事の内容>この記事では、確率の中でも特に苦手意識を持っている人が多い「条件付き確率」について、その公式と、考え方を実際に例題を解きながら身につけていきます。
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条件付き確率の公式と解き方
いきなりですが、例題を挙げてみます。
上の例題文にある様に、「♦♦(後の出来事)」の時「〇〇(前の出来事)」である確率を求めよ。
と言う様なタイプの文章が出て来たら、条件付き確率の問題である事がほとんどです。
条件付き確率の式
条件付き確率の式は、1本目がハズレの確率をP(A)、そして2本目がハズレの確率をP(B)と置くと、
・1本目も2本目もハズレの確率はP(A∩B)、
・さらに問題の条件付き確率をPB(A)として、PB(A)=P(A∩B)/P(B)・・・(✳︎)で表わされます。
$$P_{B}(A)=\frac{P(A\cap B)}{P(B)}・・・(✳︎)$$
この(✳︎)の式を条件付き確率の問題では多用します!
以下の意味を理解した上で、いつでも書けるようになっておきましょう!
条件付き確率:PB(A)=P(A∩B)/P(B)・・・(✳︎)の式の意味
条件付き確率の式の意味
この意味だけでは?な人も多いと思うので、具体的に例題1を解きながら、詳しくみていきます。
問題をおさらいしておくと、
「ハズレくじが5本、当たりくじが2本入っている箱の中から2回連続でくじを引いて、2回目がハズレ」の時、「1回目に引いたくじもハズレである確率を求めよ」(ただし、一度引いたクジは箱に戻さない)
だったので、$$P_{B}(A)=\frac{P(A\cap B)}{P(B)}・・・(✳︎)$$の式を思い出して、
P(B):「2回目にハズレくじを引く確率」は、
”1本目当たり→2本目ハズレ”の確率と、”1本目ハズレ→2本目ハズレ”の確率の和なので、
P(B)=(2/7)・(5/6)+(5/7)・(4/6)=30/42
P(A∩B)は、”1本目ハズレ→2本目ハズレの確率”なので、P(A∩B)=(5/7)・(4/6)=20/42
より、PB(A)=(20/42)/(30/42)=2/3
よって、2本目がハズレの時1本目もハズレの確率は2/3である。//
ここではあえてP(B)とP(A∩B)について約分していません。
これは、PB(A)を求める際に分母、分子の42が共に消えるからです。(下手に約分してしまうとかえって計算がややこしくなる)
この様に、一見難解そうな条件付き確率の式ですが、「一つ一つ日本語に翻訳」してあげる事で単なる分数の計算になります。
原因・不良品の確率(やや難)
例題2(原因の確率)
いわゆる「原因の確率」、「不良品の確率」などと呼ばれる問題です。
似た様な類題として、「忘れ物をした場所の確率」を求めさせたり、「検査結果の陽性・陰性の正確さ」などを題材にしたものが多く出題されています。
これらの問題は、統計学に繋がって行く大変重要なものなのですが、それだけ理解しづらい生徒が多い所でもあります。
しかし、先ほどから使っている「条件付き確率の式」を上手く使えば必ず解ける=差が付く分野なので是非マスターしましょう。
step1:条件付き確率の式を立てる
不良品を選ぶ確率をP(E)、D工場で製造された製品を選ぶ確率をP(D)、選んだ製品が不良品でかつD工場で製造された確率をP(D∩E)。
更に、製品が不良品である時にそれがD工場で製造された「=題意の条件付き確率」をPE(D)とおく。
条件付き確率の式:(✳︎)より、PE(D)=P(D∩E)/P(E)
ここで、一旦つまる生徒が多いです。それはP(E)が少し求め辛いからです。
step2:全体の不良品を選ぶ確率を求める
今回のように求め辛い確率が出てきたら次の様に考えます。
【P(E)は不良品を選ぶ確率だから、P(E)は"D工場の製品を選んでそれが不良品である確率"と、
D工場以外(つまり"C工場)の製品を選んで、その製品が不良品である確率"の和である。】
従って、P(E∩D)=P(D)・PD(E)と、P(E∩C)=P(C)・PC(E)の和がP(E)である。
P(E)= P(E∩D)+P(E∩C)
よって、9/10・3/100=27/1000(これはC工場で不良品が製造される確率)
1/10・8/100=8/1000(これは、D工場で不良品が製造される確率)
よってP(E)=35/1000
すなわち、P E(D)=(8/1000)/{(35)/1000}
従って、製品を選んだ時その製造元が工場Dである条件付き確率は(8/35)である。
直感に反する?条件付きの確率まとめと統計学へ
この様に、選び出した不良品が工場Cで製造された可能性の方が、工場Dで製造された可能性より3倍以上大きいですが、不良品率C:D=3:8に惑わされると不思議に感じる人も少なからずいます。
原因は製造数が工場Cが圧倒的に多い為、不良品の絶対数も多いという単純なものです。
ちなみに、今回扱った条件付き確率は大学以降の統計学を学ぶ際、「ベイズの定理」という重要な定理に出現するほか、『ベイズ統計学』の分野で頻繁に現れます。近年では、これらを使って様々な予測や分類などに用いられています。
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