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安田周平
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ベクトルと平面との垂直条件 +超良問

今回は「平面」に垂直なベクトルの条件について解説した後、演習問題には、空間ベクトルの重要な要素が殆ど入った良問を用意しています。

これまでのベクトルの記事は→「ベクトルを一から学ぶ解説記事一覧」よりご覧ください。

ベクトル同士からベクトルと平面の垂直条件へ

これまで「直線」のベクトルどうしの垂直条件は「内積が0」でしたが、「平面」に垂直なベクトルはどの様な条件がつくのでしょうか?

平面上に三点O,A,Bがあるとき、平面の外の点Pから平面に下ろしたベクトルPとベクトルOAが垂直(=内積0)かつベクトルOBが垂直な必要があります。

これは、ベクトルの垂直が一つだけだと、平面が決定できない為です。

ベクトルPと平面上のベクトル二つが垂直だと、Pと垂直な平面はただ一通りに決まります。

ここは少し理解しにくいところなので、一度紙にO,A,Bと書いて、シャープペンシルをOAに垂直に立ててみて下さい。

この時点では、P⊥OAなだけなので、平面が固定できません。

そこでOAに垂直な状態のまま、OBにも垂直になる様にペンを立てると、OABのある平面とペンが垂直で一通りに固定されることがわかると思います。

 

まとめると、Pと点OABを含む平面が垂直な条件は、P⊥OA  かつ P⊥OB  すなわちP・OA=0 かつP・OB=0となります。

百聞は一見にしかず、上の条件を使って実際に問題を解いてみましょう。単科医大の問題ですが、一つ一つ学習してきた事を使えば必ず解けるはずです。

空間ベクトルの演習問題

(問題)

各辺の長さが8の正四面体OABCがある。OAを3:5に分けた点をD、OBを5:3に分けた点をE、OCを5:3に分けた点をFとする。今DEFを直線で結んで三角形を作る。

$$\overrightarrow {OA}=\vec {a}、\overrightarrow {OB}=\vec {b}、\overrightarrow {OC}=\vec {c}$$

と置いたとき以下の問いに答えよ。

(1)三角形DEFの重心を点Gとする。この時$$\vec {OG}を\vec {a},\vec {b},\vec {c}で表せ。$$

(2)三角形DEFの重心Gを通り平面DEFに垂直な直線が三角形ABC上と交わる点を点Hとする。

$$この時の\vec {OH}を\vec {a},\vec {b},\vec {c}で表せ$$

福島県立医(改)

hints!(2)は共面条件を使います。未習の方やあやふやな方は→「ベクトルの共線条件/共面条件」を先に読んでから問題に取り組んで見てください。

(解答目安15分)

 

解答解説

(1)重心のベクトル

この(1)は、重心のベクトルの公式を知っているかどうかだけの問題です。

$$重心は\overrightarrow {OG}=\frac {\overrightarrow {OD}+\overrightarrow {OE}+\overrightarrow {OF}}{3}より、(*)$$

$$\overrightarrow {OD}=\frac {3}{8}\vec {a}、\overrightarrow {OE}=\frac {5}{8}\vec {b}、\overrightarrow {OF}=\frac {5}{8}\vec {c}$$

だから、それぞれを(*)へ代入して、

$$\overrightarrow {OG}=\frac {3\vec {a}+5\vec {b}+5\vec {c}}{24}$$

$$よって、\overrightarrow {OG}=\frac {1}{8}\vec {a}+\frac {5}{24}\vec {b}+\frac {5}{24}\vec {c}$$

(2)ベクトルの垂直条件

この2番で今回のメインテーマであるベクトルと平面(三角形DEF)の垂直条件を用います。更に、点Hが平面ABC上にあるという事より「共面条件」を利用します。

まず、DEFとGHが垂直であるから、$$\overrightarrow {DE}\bot \overrightarrow {GH}$$

$$且つ\overrightarrow {DF}\bot \overrightarrow {GH}より$$

垂直条件である内積が0より、

$$\overrightarrow {DE}\cdot \overrightarrow {GH}=0 $$かつ、$$\overrightarrow {DF}\cdot \overrightarrow {GH}=0 $$

$さらに、点Hは平面ABC上にあるので、共面条件より

$$\overrightarrow {OH}=s\vec {a}+t\vec {b}+u\vec {c}$$

と置いた時「係数の和が1」となるので、s+t+u=1

係数和1の法則と共面条件(参照)

共面条件について詳しくは

共面条件・共線条件の解説

係数の和が1について詳しくは

係数の和が1の意味の解説

をご覧下さい。

ここで2つの垂直条件と共面条件より、係数s,t,uを求める。

ここからベクトルの内積を多用するので、必要ならば→「ベクトルの内積の解説」を参照して下さい。

ベクトルの内積

OABCは正四面体なので、$$8=\left| \vec {a}\right| =\left| \vec {b}\right| =\left| \vec {c}\right| $$

かつ、全ての角が60°なので、

$$\vec {a}\cdot \vec {b}=8\times 8\times \cos 60^{\circ }=32$$

$$同様に\vec {a}\cdot \vec {c},\vec {b}\cdot \vec {c}の内積も共に32$$

$$ここでDEF\bot \overrightarrow {GH}$$より、平面とベクトルの垂直条件より、

$$0=\overrightarrow {DE}\cdot \overrightarrow {GH}=\left( \overrightarrow {OE}-\overrightarrow {OD}\right) \left( \overrightarrow {OH}-\overrightarrow {OG}\right) $$

$$0=\overrightarrow {DF}\cdot \overrightarrow {GH}=\left( \overrightarrow {OF}-\overrightarrow {OD}\right) \left( \overrightarrow {OH}-\overrightarrow {OG}\right) $$

$$\begin{aligned}\left( \overrightarrow {OE}-\overrightarrow {OD}\right) =\frac {5}{8}\overrightarrow {b}-\frac {3}{8}\overrightarrow {a}\\
\left( \overrightarrow {OF}-\overrightarrow {OD}\right) =\frac {5}{8}\overrightarrow {c}-\frac {3}{8}\overrightarrow {a}\end{aligned}$$

これらの式と

$$\overrightarrow {OH}=s\vec {a}+t\vec {b}+u\vec {c}と、$$

$$\overrightarrow {OG}=\frac {1}{8}\vec {a}+\frac {5}{24}\vec {b}+\frac {5}{24}\vec {c}より$$

$$\left( \overrightarrow {OH}-\overrightarrow {OG}\right) \left( \overrightarrow {OE}-\overrightarrow {OD}\right) =$$

$$\left\{ \left( s\vec {a}+t\vec {b}+u\vec {c}\right) -\left( \frac {\vec {a}}{8}+\frac {5}{24}\vec {b}+\frac {5}{24}\vec {c}\right) \right\} \left( \frac {5\vec {b}}{8}-\frac {3}{8}\vec {a}\right) =0$$

(上の式が見切れてしまう人はスマホを傾けてみて下さい。)この式を計算すると、

$$=\frac {5s}{8}\overrightarrow {a}\cdot \overrightarrow {b}+\frac {5}{8}t\left| \overrightarrow {b}\right| ^{2}+\frac {5u}{8}\overrightarrow {b}\cdot \overrightarrow {c}$$

$$-\frac {5}{64}\vec {a}\cdot \vec {b}-\frac {25}{192}\left| \vec {b}\right| ^{2}-\frac {25}{192}\vec {b}\cdot \vec {c}$$

$$-\frac {S}{3}\left| \vec {a}\right| ^{2}-\frac {3t}{8}\vec {b}\cdot \overrightarrow {a}-\frac {3u}{8}\vec {a}\cdot \vec {c}$$

$$+\frac {3}{64}\left| \vec {a}\right| ^{2}+\frac {15}{192}\vec {a}\cdot \vec {b}+\frac {15}{192}\vec {a}\cdot \vec {c}$$

この式に内積=32、各辺の長さ=8を代入して、

$$\begin{aligned}\Leftrightarrow 20S+40t+20u-\frac {90}{6}\\
+\left( -24S-12t-12u+8\right) =0\end{aligned}$$

⇔ -7=4s-28t-8u・・・(1)

と共面条件より、s+t+u=1・・・(2)

$$更に、\left( \overrightarrow {GH}\right) \left( \overrightarrow {DF}\right) $$も同じように計算します。

(途中式は上と同じです。各自でやって見て下さい)

すると、4s-8t-28u=-7が出てきます。・・・(3)

ここで、(1)式と(3)式より、20t=20u 、 t=u

$$t=uと(1)式より、44t=11  よって、t=u=\frac {1}{4}$$

$$そして、S=\frac {1}{2}なので、$$

$$\overrightarrow {OH}=s\overrightarrow {a}+t\vec {b}+u\vec {c}にそれぞれ代入して、$$

$$よって解答:\overrightarrow {OH}=\frac {1}{2}\vec {a}+\frac {1}{4}\vec {b}+\frac {1}{4}\vec {c}$$

 

まとめ

かなりの計算量を要求されますが、解法はこれまでのベクトルの記事を理解できていれば難しくはなかったと思います。

ベクトルの内積、垂直条件、共面条件、係数和1の法則、等を全て使う復習に最適な問題なのでぜひ何度も繰り返し解いて見て下さい。

(計算ミスを防ぐため、&速度アップの為にも実際に、シャーペンや鉛筆で解くことをお勧めします。)

 

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